俺が佐々木先輩に告白してから佐々木先輩は学校に来なくなった。
鈴木大飛
(これ完全に俺のせいじゃん…)
告白するタイミングを間違えたと未だに今頃する。でも先輩たちはとても鈍感なのか鈍感を超えすぎて鋭感なのか。
とにかく今は佐々木先輩を泣かせなかったことにしているから良しとしよう。
だけどその次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も次の日も佐々木先輩が学校に来ることはなかった
山岸涼太
…
山岸涼太
鈴木
鈴木大飛
はい
山岸涼太
お前れいに告白したろ
鈴木大飛
っ
山岸涼太
図星か
山岸涼太
俺とれいが幼馴染なのは知ってるか?
鈴木大飛
はい…
鈴木大飛
前に聞きました
山岸涼太
俺らにはもう1人幼馴染がいるんだ
鈴木大飛
え?
山岸涼太
神谷透っていう俺とれいの同級生
鈴木大飛
…
山岸涼太
れいは透を好きになった
鈴木大飛
え…
山岸涼太
結局れいは透と付き合ったんだがな
鈴木大飛
待ってその人はどこに___
山岸涼太
死んだ
鈴木大飛
は、?
俺は脳内が停止するかと思った。そう言われると佐々木先輩のこれまでの言動の辻褄が合う。恋愛の話になるとそっぽ向いたり悲しい顔をするのは…過去に彼氏が死んだからなんだ
山岸涼太
れいの目の前で死んだ
鈴木大飛
じゃあもしかして心臓発作が出るようになったのも
山岸涼太
ああ
山岸涼太
透が死んだ悲しみから生んだストレスからだ
鈴木大飛
そういうことだったのか…
山岸涼太
頭の回転が早いな
山岸涼太
もっと知りたいか?れいのこと
鈴木大飛
はい
山岸涼太
俺とれいと透は幼稚園からの幼馴染で
山岸涼太
俺と透の学力はそこそこだったんだけどれいを追っかけるようにしてここの高校に入った
山岸涼太
透はバスケ部で俺はサッカー部に入った
山岸涼太
れいは帰宅部
山岸涼太
俺がいないときに透はれいに告白して実はれいも透が好きだったらしくてさ2人は両想い
鈴木大飛
山岸先輩も佐々木先輩が好きなんですか?
山岸涼太
…幼馴染としてな、
鈴木大飛
いや絶対恋愛としてですよ
山岸涼太
バレた?w
山岸涼太
ここからはれいから聞いた話なんだけどさ
山岸涼太
ある日れいと透が喧嘩しちゃったらしくて…その日は部活がなくてデートに行こうって約束してたんだけど
山岸涼太
小さなことでれいが怒ってデートは中止で先に帰っちゃって。透はあとから後悔して追っかけてさ。れいが横断歩道渡ってるときに軽トラがれいを突き飛ばそうとしてて。
山岸涼太
それを透が自ら突っ込んで助けたんだ
鈴木大飛
え……
鈴木大飛
つまり佐々木先輩は神谷さんが死ぬ瞬間を目にしたってことですか、?
山岸涼太
その通り
山岸涼太
あの日かられいは人生の落ちるとこまで落ちた
山岸涼太
3ヶ月くらい立ち直れなかったかな…俺は毎日ベランダでれいと話してるんだがそれもなかった
鈴木大飛
佐々木先輩、誰かを好きになっちゃだめって言ってたんですけどそれって…
山岸涼太
そう
山岸涼太
自分に近づく人はみんな死ぬって思ってるからだ
鈴木大飛
……
佐々木先輩は…今もきっと神谷さんを思い出すだろうに…。誰かが目の前で死ぬ。それがトラウマで恋愛が好きじゃないんだ
鈴木大飛
3年生の先輩はそのこと…
山岸涼太
全部知ってる
鈴木大飛
だから先輩が倒れたときも
山岸涼太
そう
山岸涼太
゛あの状態のれい゛を安心させられるのは俺しかいないからな
鈴木大飛
…
山岸涼太
れいは付き合ってた頃からバスケ部のマネージャーになりたいって言っていた。今の部長とも正式的に話してたし透もいたから
山岸涼太
だけど透は死んじまった
山岸涼太
けどれいは…それでもマネージャーを引き受けたいって言ったんだ。そういうれいに憧れて俺は腐るほどサッカー部の部長に退部したいって言った。やっとそれが叶った瞬間俺は今のバスケ部に入部した
鈴木大飛
なるほど
鈴木大飛
佐々木先輩が「ぎしはバスケ上手くないよ」って言ったのはそういうことだったんですね
山岸涼太
れい…あいつ…
鈴木大飛
でも山岸先輩バスケ初心者ですよね?
鈴木大飛
それにしてはすごい上手いじゃないですか。スリーポイントシュートなんてお手の物でしたよね
山岸涼太
まぁ…な
鈴木大飛
佐々木先輩のためですか?
山岸涼太
まぁそうだな
山岸涼太
れいにかっこいいとこ見せて透の辛さを上書きさせたかった。今の俺にはそれしかできない。忘れさせることしかできないから
鈴木大飛
おふざけも山岸先輩なりの優しさだったんですね
山岸涼太
おふざけって言うなw
俺はこの日佐々木先輩の全てを知った。
知ったからこそ俺はもっと先輩を好きになる。
山岸先輩…いや、神谷さんを超えて俺は佐々木先輩が好きだ