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2021年04月12日

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8月3日 午後10時

最高裁判所 第2法廷

裁判長

これより阿部章宏の法廷を開廷します。

藤井聡太

検事側、準備完了しておりまーす。

伊藤勇魚

べ、弁護側、準備完了してます。

裁判長

…弁護人。

裁判長

今回の法廷は初めてですよね?

伊藤勇魚

はい…緊張してます。

裁判長

依頼人が有罪になるか無罪になるか、あなたにかかってます。

裁判長

頑張ってください。

裁判長

ですが、本当に「準備完了」しているか確認しますか。

伊藤勇魚

え、何をするんですか

裁判長

まず、今回の事件の被告人の名前を言いなさい。

伊藤勇魚

(ええと、被告人は…と)

伊藤勇魚

(今回の犯人だから)

伊藤勇魚

阿部章宏さんですよね…?

裁判長

その通りです。

裁判長

そんな感じで落ち着いていればよろしい。

裁判長

では、次の質問です。

裁判長

今日の事件は殺人事件ですが

裁判長

その、被害者の名前を答えてください。

伊藤勇魚

(被害者…今回死亡した人だから)

伊藤勇魚

加藤一二三さんですね!

裁判長

その通りです。

裁判長

それでは、被害者の死因は?

伊藤勇魚

えっと、それは…

加藤 一二三の解剖記録 死亡時刻は、7月31日 午後4時以降5時までで、現場の置時計で確認。 鈍器による一撃で失血死

伊藤勇魚

(解剖記録によると…)

藤井聡太

そんなの聞くまでもないですよ裁判長。

伊藤勇魚

…!

藤井聡太

拳銃による一撃で即死です。

裁判長

おや?間違えてますよ。

裁判長

鈍器による一撃で失血死ですよ。

裁判長

しっかりしてください…

藤井聡太

あ、そうでした…

藤井聡太

恥ずかちい

伊藤勇魚

鈍器による一撃で失血死でしたね。

伊藤勇魚

(しっかり確認しないとだな!)

裁判長

それでは検事

藤井聡太

はい。

藤井聡太

なんでしょう

裁判長

鈍器とは具体的にどういったものですか…?

藤井聡太

はい

藤井聡太

灰皿ですね

裁判長

ほう…

藤井聡太

死体のそばに転がってました。

裁判長

証拠品として提出しておきましょう。

灰皿 どこにでもある普通の灰皿。 被告人である阿部章宏の指紋と、 被害者の加藤一二三の血痕が 付着している。

裁判長

では藤井検事

裁判長

被告人を呼んでください

藤井聡太

はい。

被告人 あきひろ登場

藤井聡太

さて、阿部くん

藤井聡太

あなたは最近彼氏に振られたらしいですね

阿部章宏

言うなや

藤井聡太

阿部章宏

ころすぞ

阿部章宏

あいつの話はするな

伊藤勇魚

(あいつ…?)

伊藤勇魚

(誰のことなんだ…)

藤井聡太

まあ振られるのも仕方ありません。

藤井聡太

あなたの彼氏はあなたをほったらかして遊んでいたんですからね。

藤井聡太

その証拠に

阿部章宏

やめろ

藤井聡太

あなたの彼氏はこの

藤井聡太

このパスポートを使って何度も海外旅行に行っていたんですからね。

藤井聡太

あなたの彼氏、そう。

加藤一二三は

裁判長

…!

伊藤勇魚

…!!?

阿部章宏

言うなよ…言うなよおおお

阿部章宏

あいつ、記念日や誕生日も仕事を理由に海外に行っていたんだ…

阿部章宏

どんな善人でも怒るぜ

藤井聡太

しかしまあ立派な動機ですね笑

裁判長

あなた…まさか自分の彼氏を

阿部章宏

やってない!断じてやってない!

裁判長

…?

裁判長

被告人、あなた顔半分…火傷ですか?

阿部章宏

……

阿部章宏

世界には上り坂と下り坂どっちの方が多いか知ってますか?

裁判長

裁判長

同じですが?

阿部章宏

阿部章宏

モキャキャ

裁判長

………

裁判長

被告人、あなたの発言は目も当てられません。

裁判長

次なにか支離滅裂な発言したり取り乱したりしたら法廷侮辱罪になるので気をつけてください。

阿部章宏

ンッ

裁判長

それでは藤井検事、冒頭弁論をお願いします。

藤井聡太

はい。

藤井聡太

今回の事件

藤井聡太

KS6号事件。

藤井聡太

そう名付けられたこの事件はジムで起こりました。

藤井聡太

午後4時以降5時までの間に、ジムにてダイエット中の加藤一二三に阿部章宏が背後から接近。

藤井聡太

凶器の灰皿で思いっきり殴りました。

藤井聡太

ジムは貸切っていたようなので背後に注意がいかなかったようですね。

藤井聡太

後頭部に綺麗に当たったらしいです。

藤井聡太

そのまま大量に出血して死亡。

藤井聡太

その後サンドバッグに詰められた。

サンドバッグ 硬いゴム製のサンドバッグ。 普通のナイフでは傷1つ付かない。

藤井聡太

その六時間後に遺体が発見されたのだ。

藤井聡太

K加藤一二三

藤井聡太

Sサンドバッグ

藤井聡太

6六時間後に発見

藤井聡太

で、私が名付けた

裁判長

あ、そうなんですね

伊藤勇魚

どっ

阿部章宏

イクイクイクイク!

藤井聡太

では、ここで刑事に証言してもらいましょう。

藤井聡太

高橋刑事、こちらへ

高橋眞弥

まなやです

高橋眞弥

シコシコ

藤井聡太

それでは高橋刑事、証言をお願いします。

裁判長

それでは、弁護人は証言に対して尋問をお願いします。

裁判長

変な尋問をしたらペナルティですよ

伊藤勇魚

はい!

伊藤勇魚

(ここが見せ場だ…がんばるぞ!)

証言開始

高橋眞弥

まず、第1発見者は被告人の阿部章宏。
彼は一二三さんのジムの貸切が終わったタイミングでジムに入りました。

高橋眞弥

貸切が終わる時間が4時。
そして被告人は入ってすぐ灰皿を手に取り、殴りました。

高橋眞弥

そのまま大量に血を流し失血死。
サンドバッグに詰められました。

高橋眞弥

そのしばらく経った後の五時間後に警察に連絡し、自分は犯人ではないことを装ったみたいですね。

異議あり!

伊藤勇魚

死体が発見されたのは殺害された後の6時間後じゃないですか?

伊藤勇魚

先程の藤井検事の話だと、6時間後に発見。とのことでしたよ。

高橋眞弥

あれ?そうですか?

高橋眞弥

高橋眞弥

あ、ほんとだ

高橋眞弥

はずかちいよぉ…あきぃ……

ザワザワ…

高橋眞弥

シコシコ

高橋眞弥

すみません、証言を訂正します。

高橋眞弥

そのしばらく経った後の六時間後に警察に連絡し、自分は犯人ではないことを装ったみたいですね。

高橋眞弥

被告人はサンドバッグを殴った時に違和感に気付き、手刀で切断し、死体を発見したとのことです。

待った!

伊藤勇魚

手刀で切断?

高橋眞弥

そうですよ?

伊藤勇魚

(そんなこと可能なのか…?)

裁判長

どうしました弁護人。

裁判長

なにか反論でもあるんですか?

伊藤勇魚

あります!

伊藤勇魚

(手刀で切断はあの証拠品と一致しない)

裁判長

それでは弁護人、その証拠とは?

くらえ!

伊藤勇魚

サンドバッグです。

伊藤勇魚

このサンドバッグはとても硬いゴム製でできており、

伊藤勇魚

「ナイフでは傷1つ付かない。」

裁判長

!!!

伊藤勇魚

わかりますか?

伊藤勇魚

ナイフで傷1つ付かないものに

伊藤勇魚

手刀で傷をつける事なんて不可能だ!!

裁判長

た、たしかに!!

裁判長

何故か違和感を感じていませんでしたが

裁判長

手刀でって意味わかんないですね

藤井聡太

フッフッフ

伊藤勇魚

何がおかしい!

藤井聡太

情報が足りてなくて申し訳ございません

伊藤勇魚

どういうことだ…?

藤井聡太

被告人の阿部章宏。彼は別名、

章海皇

伊藤勇魚

なん…だと…!?

藤井聡太

彼は中国拳法を極めています。

藤井聡太

ゴム製のサンドバッグにナイフで傷はつかなくても

藤井聡太

彼の手刀なら話は別だ。

伊藤勇魚

そんなことが…

裁判長

…!

阿部章宏

アチョー!

阿部章宏

モキャキャ

藤井聡太

弁護人、またまた劣勢ですね。

藤井聡太

そろそろ王手かな?

伊藤勇魚

くそ…

裁判長

では、次の証人を呼びます。

裁判長

ですがその前に

裁判長

30分の休憩を挟みます。

伊藤勇魚

(休憩か…その間になにか練り直さないと!)

裁判長

それでは、しばし閉廷!

8月3日 午後11時

最高裁判所 被告人第1控え室

伊藤勇魚

くそ…どうすればいいんだ…

伊藤勇魚

なにか検事側の推理に穴はないのか…?

伊藤勇魚

章宏さん、なにかアリバイなど話していただけないでしょうか?

阿部章宏

アリバイねぇ

阿部章宏

検事に取り調べされた時に何言っても聞いてくれなかった。

阿部章宏

仕舞いには殺人犯呼ばわりして即刑務所行きさ。

阿部章宏

俺はもうなにも言うつもりは無い。

阿部章宏

ぜんぶ諦めたよ。

伊藤勇魚

検事…?

伊藤勇魚

(普通取り調べをするのは警察じゃないのか??)

阿部章宏

まあ一つだけ言えるとしたら

阿部章宏

ジムに4時に行ったのは事実だし、第1発見者ってのも事実だよ。

阿部章宏

あのジムの予定表には「4時まで貸切にて使用不可」と書いてあったからな。

阿部章宏

多分4時前に行く人は居なかったはずだ。

阿部章宏

6時間後に遺体を発見した、これも事実だ。

阿部章宏

6時間アップして、そのあとサンドバッグを殴り始めた。

阿部章宏

その時に見つけたんだ

阿部章宏

阿部章宏

せいぜい役立ててくれよ。

阿部章宏

諦めたとは言え、希望があったらすがりたいからな。

伊藤勇魚

わかりました…!

伊藤勇魚

あなたを信じます!

藤井聡太

フッフッフ

伊藤勇魚

藤井聡太!!

藤井聡太

この裁判は実に面白い。

伊藤勇魚

どういうことだ!

藤井聡太

こちらには検事側勝利のための全ての証拠が揃っている。

藤井聡太

そう「決定的証拠」も、ね。

伊藤勇魚

決定的証拠だと…!?

藤井聡太

全ては定石通りに。

伊藤勇魚

やっぱり貴方は手強いな…

伊藤勇魚

私が法廷に経つきっかけになった存在、藤井聡太さん。

藤井聡太

伊藤勇魚

私は弁護士である貴方に憧れて弁護士を目指した。

伊藤勇魚

だが私が弁護士になる頃既に貴方は検事になっていた。

伊藤勇魚

被告人を全身全霊で守る貴方が本当に好きだったのに…

伊藤勇魚

貴方に…憧れていたのに…

藤井聡太

藤井聡太

伊藤勇魚くん。

伊藤勇魚

なんですか…

藤井聡太

藤井聡太

憧れは理解から最も遠い感情だよ。

伊藤勇魚

…!?

藤井聡太

それでは。

伊藤勇魚

伊藤勇魚

伊藤勇魚

(悔しい、悔しいよおぉぉ!!)

高橋眞弥

いさな

伊藤勇魚

ま、まなや…

高橋眞弥

お前、俺のギャグセンが低いって馬鹿にしてたよな

伊藤勇魚

…?

伊藤勇魚

何の話だこんな時に

高橋眞弥

俺は他のみんなにもギャグセンが低いと言われていた

伊藤勇魚

だろうな

高橋眞弥

それが可哀想になったお前は俺の事を助けようとしていた、そうだろ?

伊藤勇魚

違います…

高橋眞弥

でもなにも行動に移せなかった。お前は悔しくて泣いていたな

伊藤勇魚

がちで何の話?

高橋眞弥

お前さ、

伊藤勇魚

なんだよ

高橋眞弥

また護れなかったって

高橋眞弥

そこで座って泣くのかよ!?

伊藤勇魚

…!

高橋眞弥

また同じ過ちを繰り返すのか?

高橋眞弥

お前はそんな男じゃないことを俺は知っている。

高橋眞弥

言いたいことは全て伝えた。じゃあな。

伊藤勇魚

伊藤勇魚

なんだったの

8月3日 午後11時半

最高裁判所 第2法廷

裁判長

では、審理を再開しましょう。

藤井聡太

それでは証人をお呼びしましょう。

藤井聡太

この証人の証言で王手となるでしょう。

裁判長

そ、そうですか…

裁判長

それでは来てもらいましょう

伊藤勇魚

…!?

藤井聡太

この人は被害者の実の兄

藤井聡太

加藤四五六です。

四五六

しごろでしゅ

藤井聡太

加藤一二三さんに似ていてびっくりしたでしょう

伊藤勇魚

(似ているなんてもんじゃない…)

伊藤勇魚

(瓜二つじゃないか!)

藤井聡太

私も初めて彼を見つけた時は驚きました。

藤井聡太

彼と会ったのは今月の1日。

藤井聡太

死んだはずの一二三さんにそっくりで1度腰を抜かしかけました

藤井聡太

私はすぐに証言人になることを要求しました。

藤井聡太

そして快諾してもらい、ここに来てもらいました。

伊藤勇魚

兄弟でこんなに顔が似るもんなんだな…

藤井聡太

それでは証言してもらいましょう。

裁判長

そうですね。四五六さん、よろしくお願いします。

四五六

はい

証言開始

四五六

私が証言しゅるのは事件が起こる少し前の話でしゅ

四五六

私は弟の一二三から着信が来て、電話で話していました。

四五六

「今ジムでダイエットをしている」「3時には終わる予定だから終わったら会おう」と、楽しそうに話していました。

異議あり!

伊藤勇魚

ジムの貸切が終わったのは4時では?

伊藤勇魚

情報にもそう書いてありますよ。

四五六

え?そうなんでしゅか?

四五六

たしかに「3時」といっていましたよ

四五六

その証拠に、3時にまた電話が来て、もう終わったからこれから準備して出る。との連絡が入りましたよ?

伊藤勇魚

え、それは本当ですか…!?

藤井聡太

クッヨケイナコトヲ

四五六

まあ、その後会えなかったのも事実なんでしゅがね。

伊藤勇魚

あはは…笑

伊藤勇魚

(これは一体どういう事なんだ…?)

伊藤勇魚

(考えられる可能性はいくつかあるけど…)

[報告書が間違えていた] [一二三が終わる時間の嘘を付いていた] [事件は4時前から起きていた]

伊藤勇魚

(まず1つ目、[報告書が間違えていた])

伊藤勇魚

(これは有り得ない。)

伊藤勇魚

(藤井聡太検事の関わる事件は完璧な報告書で有名だ。)

伊藤勇魚

(事実、高橋刑事と藤井検事の発言は一致している)

伊藤勇魚

(いや、少し違和感がなくもないけど…)

伊藤勇魚

(それはいいとして、)

伊藤勇魚

(となると2つ目、[一二三が終わる時間の嘘を付いていた])

伊藤勇魚

(これも有り得ない。)

伊藤勇魚

(このあと会う約束をしていたのだから3時と嘘をついて一二三に利があるとは思えなく、そもそも嘘をつく理由がない。)

伊藤勇魚

(でも…章宏さんの話によると)

伊藤勇魚

(予定表には4時まで貸切にて使用不可って書いてあったはずなんだよな)

伊藤勇魚

(となると…)

伊藤勇魚

(3つ目の[事件は4時前から起きていた])

伊藤勇魚

(これは有り得る。)

伊藤勇魚

(4時前から事件は起きていたとしたら)

伊藤勇魚

(章宏の発言の筋が通る。)

伊藤勇魚

(恐らく実際に3時までの貸切で、ジムの会員達には間違った情報が伝えられていたのだろう。)

伊藤勇魚

(この仮説を中心に推理を進めるとしよう。)

伊藤勇魚

(誰かの陰謀的なものなのか…)

伊藤勇魚

(この推理で行くとひとつの事実が浮かび上がってくる。)

真犯人は他にいる

伊藤勇魚

(章宏さんは4時より前にジムには行ってないと言っていたし、行く理由もないからな。)

伊藤勇魚

(貸切が4時終了だという情報を流した、3時から一二三に用があった人物がいる。)

伊藤勇魚

(そいつが真犯人。という推理だ。)

伊藤勇魚

(でも、そんな大層なことができる権限を持っている人なんているのか…?)

伊藤勇魚

(弁護士の俺なら事件の捜査とか言ってそういうことができなくもないが…)

伊藤勇魚

(想像が付かないな。)

伊藤勇魚

くそ、なにか掴めそうだったのに!

裁判長

どうしました、弁護人?

伊藤勇魚

あれ、声に出てました?

裁判長

だいぶ大きな声でしたよ!

伊藤勇魚

はずかちーね

裁判長

では、証言を続けてもらいましょう。
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