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炎天下、蝉の声が頭に響いてとにかくうるさい。
うるさい。ただただ、うるさい。
黒羽(くろは)
喉が渇いて仕方がない、頭がクラクラする。
坂道をやっとの思いで上りきった先に、小さな神社があった。
鳥居は古びて赤い塗装が剥げかけていて、誰もいない境内はひどく静かに見えた。
でも、蝉の声だけは、なおさらうるさく耳をつんざく。
一歩、石段をのぼったところで、鳥居を潜ろうとした矢先、視界が一瞬ぐらりと揺れた。
黒羽(くろは)
・・・。
榛(しん)
...チリン。
榛(しん)
男は、竹箒を置いたあと、倒れている少年の前に座り込んでじっと様子をうかがった。
榛(しん)
榛(しん)
男はそう言うと、そっと少年を抱きかかえる。
榛(しん)
拝殿の方へと向かい、静かに歩き出した。