風亜
風亜は溜息を吐いていた。
不満があるのではない。
安心したからだ。
自分のコンプレックスを否定されなかったことに安心したのだ。
風亜
暖かい涙を流しながら、そう呟いた風亜だった。
夜
どうやって外しましょうか…
耳ごと引きちぎることを想像しながら夜が声をかける。
朱亜
希愛
美月
3人が方針を固めていると夜が新たな意見を口にする。
夜
全員
それは危険だと思う。
その日の体育、夜達はバスケでパスの練習をしていた。
美月
希愛
夜
朱亜
その時…
ゴンッ
鈍い音がした。
風亜
音に驚いたクラスメイトが音が鳴った方向を見ると、風亜が耳を押さえていた。
運藤
体育教師の運藤が声をかける。
風亜
すみません、頭をぶつけてしまったので保健室に行ってきます。
風亜は、1度しゃがんでから保健室へ向かった。
床に落ちた血塗れのピアスを握りしめて──
風亜
風亜は、耳を押さえていた右手をゆっくりと離した。
手には、べっとりと言ってもいいほど血が付いていた。
風亜
すると風亜は恐る恐る鏡の前に立った。
鏡には、耳たぶがぱっくりと割れ、血に塗れた右耳が映っていた。
その時、突然ガラガラと音を立てて誰かが入ってきた。
風亜
そう、夜だ。
夜
…その耳は何ですか?
夜は風亜の耳を見て問い詰めた。
風亜
夜
風亜
夜
これに懲りたらもう片方のピアスも外してください。
風亜
夜
風亜
外し方が分からない。
夜
風亜
夜
風亜
星那は授業に戻ってくれ。
夜
話を聞くまで帰りません。
風亜
夜の圧力に負けたのか、風亜は渋々と語り出した。
風亜
ネクタイが似合わないって。
それが嫌でネクタイを付けなかったら今度は不良扱い。
ピアスも無理矢理開けられてさ…
しかも一般とは違うみたいで外し方も分からない。
かと言ってこのままでも校則はアウト。
学校辞めようかな…
夜
風亜
夜
ペンチ持ってるので。
風亜
夜
風亜
こんなコントのようなやり取りを終えた後、夜は風亜のピアスを切断した。
夜
風亜
夜
風亜
夜
風亜
※形成外科の医師免許が無いのに人を縫おうとしないでください。
夜
風亜
夜
風亜
学校中に風亜の悲鳴が響き渡ったという。
夜
風亜
夜
風亜
※お願いですから医師免許持ってない人はやらないでください。
夜
ガーゼは持ってないので保健室の使いますね。
風亜
夜
風亜
再びコントのようなやり取りを繰り広げる夜達だったが…
風亜
星那のおかげでピアスも外せたしネクタイも着けれそうだし…
まあ、耳の縫合は医者にお願いしたかったけど…
とりあえず、ありがとう。
夜
これからは、校則違反はしないでくださいね。
風亜
風亜は苦笑いをして言った。
風亜が苦笑いだろうが笑顔を見せたのは、転校後初めての事だった。
夜
夜
今のは…?)
そして夜は授業に戻り、風亜は怪我を悪化させない為見学となった。
るいの
るいの
※自分の作品で笑わないでください
るいの
るいの
るいの
るいの
るいの







