この作品はいかがでしたか?
183
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月琴
公園のベンチのような所で
月琴は目を覚ました
月琴
昨日と比べると、随分まともな世界だ
ベンチから降り、公園内を歩く
自分が子供の頃に住んでいた場所に似ている
もう、あの頃には戻れない
何度起きても、同じ世界に居られた
あの頃には
月琴
月琴
月琴
あの頃通った公園にあったものと似た鉄棒の前でそう呟く
月琴は目覚める度に並行世界に移動する
何故なのかは分からない
でも、絶対に移動する
この事には例外は無いし、同じ世界には二度と戻ってこれない
十年で知ることが出来たことだ
同じ世界に留まり続けるには眠らなければ可能だ
それで一度二日間同じ世界に滞在できた
月琴
話すことを忘れないように呟きながら公園を出る
周りは閑静な住宅街だ
特徴は何も無い
子供
子供の母
子供の叫ぶ声と、それを宥める母親の声がする
日常的にどの世界でも見かける光景だが、
何となく母親の声に聞き覚えがあった
故に、声の方をむく
子供
子供の母
月琴
思わず、声が出た
何となく、見たことがある人だ
他の世界で会ったのだろうか
そんな感じはしなかった
もっとずっと前
起きても起きても、同じ世界に居られた頃
彼女に会った気がしているのだ
子供の母
自分が迷惑がって見てきたと思われたのだろう
母親は子供を抱きかかえ
足早に去っていった
月琴
待ってください!と、声に出すことは出来なかった
月琴
目覚めた時に寝ていた公園のベンチに座り、溜息をついた
いつから並行世界を彷徨っているのかは忘れてしまった
こんな事になる前の日、何をしていたかすら思い出せない
ただ、この世界は自分の並行世界の旅のトリガーになった世界のような気がする
全てが、懐かしく
見覚えがあるのだ
少年
ほかのベンチだって空いているのにとおもって相手を見る
それは、自分自身だった
今の自分と何一つ変わらない姿をしている
月琴
少年
少年は座ったきり何も話さない
とても気まずく、重い沈黙だ
少年
少年
月琴
少年
月琴
少年
少年
月琴
少年
月琴
月琴
少年
少年
月琴
月琴
少年
少年
月琴
少年
少年
少年
月琴
月琴
少年
少年
月琴
少年
月琴
少年
月琴
月琴
少年
月琴
白く、美しい光で自分の視界は覆われた
白く無機質な光が差し込んでくる
あまりの眩しさに目を開けた
月琴
見るからに病室だ
なんで自分はこんな所にいるのだろうか
全く思い出せない
思考を巡らせていると、見回りに来たのだろう看護師と目が合った
月琴
看護師
月琴
看護師
看護師は急いで病室を飛び出した
数十分後、とっくの昔に忘れたはずの両親がやってきた
彼らの話によると、自分は2年前塾の帰りに事故にあい
ずっと意識が戻らなかったらしい
脳死判定を受けても諦めずに
自分が目覚めるのを待っていたらしい
この世界で、自分を待っていた人は彼らだったのだろう
もう1人の自分を名乗った少年が誰だったのか
10年経った今でも分からない
コメント
14件
ハ━━━ヾ(。´囗`)ノ━━━イ ありがと!
全然いいよー!気にしないで。
そなの!?なんか、ネタばらしになっちゃったね...。Sorry(._.)))