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コメント
1件
お疲れさまです、寺島あおいです🌷 読ませていただきました……。 ファンレターとして始まった「白い封筒」が、徐々にストーカーの悪意を帯びていく空気感が本当に巧みで、読んでいて背筋が冷たくなりました。 特に、愛しいはずのめめへのスキンシップが「見苦しい」「迷惑」という言葉で毒されて、康二くんが自分の行動を疑い始める瞬間が痛くて。手を伸ばせなくなった距離感の描き方が、とても繊細で胸が詰まりました。 次、2人の関係がどうなっていくのか……すごく気になります。続きが楽しみです。
その手紙は、いつも楽屋のデスクの上にポツンと置かれていた。 上質な白い封筒。 宛名はなく、裏面にも差出人の名前はない。 ただ、封をされずに置かれたその中身を開くと、そこには驚くほど丁寧で、凛とした美しい文字が並んでいた。
『向井康二様。 先日のドラマの第3話、拝見いたしました。 涙を流すシーンの目の演技が本当に素晴らしくて、録画して何度も見返しています。 康二くんのビジュアルが最近どんどん洗練されて、大人の色気が増していくのを見るのが、毎日の私の生きがいです』
康二
テレビ局の単独楽屋。 衣装に着替える前、康二はその手紙を読んでふっと口元を緩めた。 自分の仕事をそんなに細かく見て、褒めてくれる人がいるのは、純粋に表現者として嬉しかった。 スタッフがファンレターBOXから持ってきてくれたのだろう――最初は、そう思っていた。 だけど、それが2回、3回と、異なる番組の楽屋でも「まったく同じ白い封筒」が先回りして置かれるようになってから、康二の胸に小さな冷たい違和感が宿り始めた。 マネージャーに「これ、いつも持ってきてくれてありがとうな」と伝えた時、彼は不思議そうな顔をして首を傾げたのだ。
マネージャー
局の人間しか入れないはずの、セキュリティがかかった楽屋。 そこに、誰が置いているのか分からない。 そして、何よりも康二の心をざわつかせたのは、その綺麗な文字で書かれた手紙の、いつも『最後の一行』にだけ、刺すような不満が綴られていることだった。
『……康二くんの笑顔は、世界を救うほど素敵です。 でも、昨日のYouTubeの撮影の時、目黒くんにベタベタしすぎではありませんか? 康二くんから何度もボディタッチをしていて、見苦しかったです。 目黒くんも少し迷惑そうな顔をしていましたよ。 あんな男に、あなたの綺麗な身体を安易に触らせるのもやめてください。 あなたはもっと気高く、美しくあるべきです。 次からは、気をつけてくださいね』
康二
衣装部屋の静寂の中で、康二の指先がピキリと凍りついた。 手紙に書かれた『目黒くんへのボディタッチ』という文字列が、網膜にべったりと張り付いて離れない。 めめへのスキンシップ。 それは康二にとって、昨日今日始めたことではなかった。 同じグループのメンバーになってから、そして恋人同士になってからの5年間、ずっと無意識に重ねてきたものだった。 めめが好きだから、近くにいたいから、隣にいると安心するから。 5年間、あたりまえに繰り返してきた、2人の愛しい日常の延長線。 だけど、あの熱愛報道があってから。 「世界中に恋人だと言えない不安」と、「いつかめめを失ってしまうかもしれないという寂しさ」が、康二の心の奥底でじわじわと膨れ上がっていた。 その不安を必死に埋めようとして、ここ最近、無意識のうちにめめへのボディタッチが増長し、激しくなっていたのだ。 (俺、ずっと無意識にやってた……。めめを独り占めしたくて、必死になって……) ストーカーの悪意ある手紙によって、康二は初めて、自分の歪んだ寂しさと、増長していた行動を客観的に自覚させられてしまった。 (めめ、迷惑そうな顔、してた……?) 恐怖よりも先に、絶望が胸を突き刺す。 あの優しくて真っ直ぐな目黒が、本当は自分の過度なスキンシップを「迷惑だ」「見苦しい」と、負担に思っていたのだろうか。 自分のせいで、めめの顔を曇らせていたのだろうか。 『次からは、気をつけてくださいね』という上品な文字の警告が、呪いのように康二の頭の中でリフレインする。 5年間の愛の証だったはずの触れ合いが、一瞬にして「犯してはならない過ち」に変わっていく。 ガチャ、と楽屋のドアが開いた。
蓮
ひょっこりと入ってきたのは、まさにその、愛しい恋人の姿だった。 いつも通り、康二を見つけた瞬間にふにゃりと柔らかい笑顔を浮かべる目黒。
康二
いつもなら真っ先に「めめ〜!」と抱きつきにいくはずの康二だったが、その瞬間、手紙の言葉が脳裏をよぎり、身体が反射的に一歩、後ろへと引いてしまった。 差し出そうとした手も、行き場を失って自分の服の裾をぎゅっと握りしめる。
蓮
目黒の眉が、怪訝そうにかすかに動く。 繋がっていたはずの2人の距離が、局内に潜む「見えない悪意」によって、静かに狂わされ始めようとしていた。