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#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
コメント
1件
え~~~っ、今回は休息回なのにめっちゃ胸にくる…😭💦 志穂の「達哉が泣くから帰らなきゃ」っていう弟想い、海凜の「死ぬより忘れられる方が嫌」って感覚、菜々美の「ママとパパに会いたい」…それぞれの“縋るもの”が見えてグッときたよ…! そして何より「慈悲」って名の優しい監視、好みまで知り尽くしてる部屋の気持ち悪さがゾッとする…🥶 青い光が優しすぎて眠りに落ちていく構図、めっちゃエモくて怖い…!次が待ち遠しすぎるよルミエール先生…!!🌸
生徒ナンバー31・牧原志穂の部屋――
志穂は、青い光に包まれたユニットバスの前で立ち尽くしていた。
牧原志穂
牧原志穂
第1試練でテーブルの前に立った時を思い出す。
あの時、自分は生き残った。
けれど、今も生きているだけだ。
助かったわけではない。
次の死ぬ順番が来ていないだけ。
志穂は息を吐き、シャワーを浴びた。
弟の達哉が、ふと頭に浮かぶ。
牧原志穂
牧原志穂
湯の温かさが、張り詰めた身体を解いていく。
それでも、心は緩まなかった。
生徒ナンバー32・三島海凜の部屋――
海凜も、ユニットバスの前でぼんやり立っていた。
三島海凜
三島海凜
第2試練で同じCチームだった菜々美の顔が浮かぶ。
菜々美は、代表として演壇に立った。
自分は答えを知っていると言いながら、前に出られなかった。
そのことが、今になって胸に刺さる。
三島海凜
喉が詰まった。
それでも、汗も涙も恐怖も洗い流したかった。
シャワーを浴び、パジャマに着替えてベッドへ倒れ込む。
空中モニターには、好きなアイドルが出演するドラマが映っていた。
三島海凜
好きな番組。
好きな出演者。
普段、自室で観る時と同じような角度。
監視はしないと言っていた。
けれど、この部屋は自分の好みを知りすぎていた。
菜々美は、パジャマに着替え、毛布に包まれてベッドに横になっていた。
警戒している。
自分でも、それはわかっていた。
空中モニターには、毎週欠かさず観ている歌番組が映っている。
その前にニュースも確認したが、自分たちが事件として報道されている様子はなかった。
生島菜々美
バスで意識を失い、気づけば、どこかもわからない場所で試練に参加させられていた。
学校は――
家族は――
警察は――
誰も異変に気づいていないのだろうか。
生島菜々美
目頭が熱くなった。
歌番組の明るい音楽が遠い。
画面の中のアイドルも、観客も笑っている。
世界は、何も知らずに進んでいる。
それが、たまらなく残酷だった。
けれど、いくつかの顔はもう霞んでいた。
生島菜々美
そう思うのに、青い光は優しすぎた。
疲れきった身体に、眠りが沈み込んでくる。
志穂は、ベッドではなくソファーに座っていた。
空中モニターは点けていない。
考えているのは、達哉のことだけだった。
牧原志穂
牧原志穂
サイドテーブルには、甘めの栄養ドリンクとバレー雑誌が置かれていた。
牧原志穂
ぞくりとした。
監視はしない。
そう言っていた。
だが、この部屋は今を見ていないだけで、これまでの自分を知っている。
青い光が、急に冷たく見えた。
三島海凜
三島海凜
けれど、別の考えが浮かぶ。
三島海凜
誰かが死ぬたび、輪郭が薄れていく。
悲鳴と恐怖だけが残り、名前も顔も遠くなる。
三島海凜
声にはならなかった。
菜々美だけではない。
志穂も、海凜も――
他の生徒たちも――
16人は、それぞれの個室で休息を与えられていた。
温かいシャワー。
清潔な服。
柔らかいベッド。
好きな番組。
好みに合う飲み物や本。
それはたしかに、慈悲のように見えた。
けれど、都合がよすぎる。
この部屋は、彼女たちの好みも、求めるものも、縋る記憶も知っている。
慈悲とは、相手の痛みを理解して手を差し伸べること。
だが、このゲームにとっての慈悲は違う。
相手の弱さを把握し、そこにいちばん柔らかな布をかける。
そして、眠ったところで剥ぎ取る。
青い光が、静かに部屋を満たしていた。
ひとり、またひとり――
疲れきった生徒たちは、深い眠りへ落ちていく。
タイマーだけが、時間を削っていた。
8:12:44。
8:12:43。
8:12:42。
慈悲の時間は、まだ終わらない。
生島菜々美
生島菜々美
凪津美。
玖玖瑠。
雷良。
珂瑛来。
梓。
葉月。
好美。
由香利。
名前を思い出す。