どうしようも無いの
えへへ
貴方の愛が 欠乏してたのが悪いのよ
最近、彼の帰りが遅い
そう言って、先週は 急な仕事って言って
家を出ていったくせに
そしたら彼は一瞬 戸惑ったみたいな顔をして
頭を掻いて彼は言った
嘘つき
初デートで映画に誘ったら 断ったくせに
嘘をつくと頭を掻く癖があること
知ってるんだから
なにそれ
今やってる映画じゃないよね?
しょーちゃん 歴史苦手じゃなかった?
顔を歪めて頷いたのは アナタに届いたのかしら
ワクワクしたような
心底楽しそうに話す彼
なんでこんなにも 楽しそうに話すの?
私と話すとき そんな顔してる?
わざと声を明るくして言うと アナタは何も言わずに
DVDをセットし始めた
リモコンを操作して 画面が動き出した
ようやく物語も終盤に さしかかったころ
プルルルルル
彼のスマホが鳴った
それで部屋を出ていった彼
また出かけるとか言ったら
許さないんだから
まくしたてるように叫んだら 彼が怯えてた
ドンッと彼を壁に押してぶつけると
しょーちゃんが顔を歪めたから
優しく、笑って頭を撫でた
その言葉で心底ホッとした
だって大切な人だもの
心配するのは当たり前でしょう?
警戒するような彼の目が 不思議だったけれど
甘く陶酔するような声で しょーちゃんに囁いた
単調なリズムを声にすると
彼の左手薬指に きらびやかな輪をつけた
結婚してから半年
何気なく彼に問う
その声音に安心すると同時に
証明のようなキスをして
強く強く
彼の首を絞めた
そのセリフと同時に
自分の持つ全ての質量を 彼の首に預けた
虚ろな彼の視界に映る私は どんなふうに映ったんだろう
そんなことを考えている間に
しょーちゃんは二度と 動かなくなった
数日前のスマホ画面
知らない女とのチャット履歴
あの映画も あの女の趣味なんでしょ?
私が好きなものでは あんなにウキウキしないくせに
バカね。とっても。
ピコン
しょーちゃんのスマホが鳴った
今日、家行っていいかなぁ?🎶 久しぶりにしょーたんと会えるのワクワクしてるんだ😆
うん、全然イイヨ👌 寝室で待ってるから、おいで🙆