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銀行強盗犯

さっさと金を入れろ

銀行強盗犯

モタモタすんなよ

唐突に現れた銀行強盗。 驚きのあまり完全に脳の活動が停止したコウスケは、ただ立っていることしかできなかった。

銀行強盗犯

客、そこに並べ

銀行の利用客はコウスケを含めて5人ほど。皆は銀行強盗の指示に従い、横一列に並んだ。

銀行強盗犯

金の準備ができるまで時間がある

銀行強盗犯

どう時間をつぶそうか

銀行強盗犯

うーん…

長く重い静寂が続く。 カウンターの内側にいる銀行員は、札束をせっせとカバンの中に詰め込んでいた。

銀行強盗犯

そうだ

銀行強盗犯

これから俺が指名したやつ

銀行強盗犯

俺が笑うような面白い話をしろ

コイツは何を言っているんだ。 人質全員がそう思った。

銀行強盗犯

もし

銀行強盗犯

つまらない話をしたら

銀行強盗犯

すぐ殺す

空気が一変した。 辺りには重々しい緊張感が漂う。

銀行強盗犯

じゃあ…

銀行強盗犯

お前だ

銀行強盗が銃を突きつけた先にいたのは、スーツを着た小太りの中年男性だった。

小太りの中年男性

わ、わたしですか…

銀行強盗犯

ああ

銀行強盗犯

ほら、早くしろ

小太りの中年男性

面白い話…

小太りの中年男性

……

銀行強盗犯

さっさとしろよ

銀行強盗犯

撃つよ?

小太りの中年男性

わ、わ、わかりました!

小太りの中年男性

話しますので、待ってください!

銀行強盗は銃を下ろし、近くのソファーに腰かけた。

小太りの中年男性

いつだったか、新卒が入社した頃の話です

小太りの中年男性

新人は電話対応を担当するのですが、

小太りの中年男性

ある新卒の女の子は電話対応が苦手みたいで、電話に出るたびにえらく緊張していました

小太りの中年男性

言葉遣いもめちゃくちゃでしたね

いまのところは悪くない。 他の人質たちはそう思っていた。

小太りの中年男性

私も先輩としてアドバイスしたりして、徐々に言葉遣いは改善されていったんです

小太りの中年男性

しかしある日

小太りの中年男性

彼女はいつものように電話対応をしてたのですが、

小太りの中年男性

クレームだったみたいで、相手方からかなり怒鳴られたそうなんです

小太りの中年男性

相手から「おまえの名前はなんだ?」って聞かれたとき、

小太りの中年男性

彼女は咄嗟に

小太りの中年男性

拙者ですか?

小太りの中年男性

と言ったんですね

小太りの中年男性

いやいやいや

小太りの中年男性

お前は武士か!

小太りの中年男性

その後も拙者、拙者って何度も言ってましたよ

小太りの中年男性

思い出すだけでも笑えてきますね

小太りの中年男性

……

中年男性はそれ以上話を続けなかった。無情にも辺りは静寂に包まれた。

銀行強盗犯

おわり?

小太りの中年男性

はい、以上ですけど…

破裂音が響き渡った。

膝から崩れ落ちる中年男性。 額から大量の血が溢れ出ている。 銀行強盗は中年男性を射殺したのだ。

銀行強盗犯

くっっそつまんなかった

銀行強盗犯

でも、人を殺すのって…

銀行強盗犯

快感

人質や銀行員の女性は悲鳴を上げる。銀行強盗は、甲高い声で笑い続けていた。

コウスケ

ためらいもなく殺しやがった…

コウスケ

たしかに話はつまらなかったけど

コウスケ

殺す必要はないだろ

コウスケ

こいつ…

コウスケ

殺人を楽しんでやがる…

銀行強盗と自分は大差ないのではないか、とコウスケは思う。 自分は自殺を求め、銀行強盗は殺人を欲している… 似た者同士なのかもしれない、と。

銀行強盗犯

はい、次

銀行強盗犯

誰にしようかな

人が一人殺された。次は自分の番かもしれない、皆がそう思った。恐怖感が急速に上昇していく。

銀行強盗犯

よし

銀行強盗犯

決めた

銀行強盗犯

次はお前だ

銀行強盗が手に持った銃は、コウスケの方を向いていた。

自殺に憧れて 全4話

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