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ピアニスタの追慕

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ピアニスタの追慕

1 - ピアニスタの追慕 1話

♥

105

2020年08月09日

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現代

202X年○月×日

女子高生A

ねぇねぇ、“第三音楽室の人魚姫“って知ってる?

女子高生B

知ってるよ

女子高生A

女子高生A

今から第三音楽室に行ってみない?

女子高生B

……行ってどうするの?

女子高生A

だってもしかしたら

女子高生A

“人魚姫“の美声が聴けるかもしれないし、おもしろそうじゃん♪

女子高生B

アンタ、そーいうの本当に好きよね

女子高生B

……前に音楽科の先輩に聞いたことあるけど

女子高生B

なにもなかったって言ってたわ

女子高生B

それに──

女子高生B

今、合唱部が音楽室を使ってるでしょ

女子高生A

──ちぇ

ふたりは校舎をあとにした

20年前

200X年○月×日

第三音楽室(1階)

〜♪ 〜♪

ピアノを弾き終わると、そっと息を吐いた

パチパチ

用務員

何度聴いてもいいね〜

窓から上半身を覗かせ、男とも女とも見える中性的な顔がにっこりと微笑んだ

慎哉

慎哉

──仕事サボって、大丈夫なんですか?

用務員

休憩中なので大丈夫デス

ときどき、休憩と称して慎哉のピアノを聴きにやってくる

用務員

なので、なんの問題もありまセン

用務員

それに阿左美(あさみ)ちゃんのピアノ、好きだしさ♪

慎哉

……!

思わず視線をそらす

慎哉

慎哉

あの……いい加減、“阿左美ちゃん“って呼ぶのやめてもらいます?

テレ隠しのつもりでわざとぶっきらぼうに言う

用務員

イヤなの?

慎哉

そう呼ばれると、女の子と勘違いされるんです

用務員

そっかー。残念

用務員

呼びやすかったんだけどな

慎哉

…………

用務員

用務員

──もうすぐ、黄昏時だね

慎哉

え?

用務員

そろそろ帰った方がいいよ

用務員

──遅くならないうちに

阿左美慎哉(あさみしんや)

17歳。高校3年生

○○○高等学校、音楽科

国内外を問わず、コンクールを総なめにした天才ピアニスト。それに鼻にかけることもなく気さくで、人間関係は良好。学校一の有名人

一部、女子からは“王子さま“と呼ばれてる

*在校生(女子)たちに教えてもらった

今日も彼はやってきた

彼の巧みな指さばきはとてもすばらしい。惚れ惚れする

??

(……今日こそは声をかけなきゃ)

けれども、それは叶わなかった…………

??

(ああ、まただ…………)

今日もあの用務員がいた

気づかれないように隠れる

??

(……忌々しい)

腹立たしいとは思うものの、正面から立ち向かう気はない

??

(……あの用務員はやばい)

とにかく、彼がひとりになるのを待つしかない……

数日後

慎哉

(今日も来るかな。“あの人“──)

自然と足早になる

ここ最近、“あの人“が来ることを楽しみにしていた

慎哉

……ん?

なんとなく窓に目をやると──

用務員はほうきとちりとりを持ったまま、女子生徒と向かいあっていた

慎哉

慎哉

……誰?

ふたりは慎哉の存在に気づいていないかのように、なにかを話している

慎哉

なに話してるんだろう?

慎哉

……でも、なんか…………

慎哉

(…………ムカつく)

それ以上、ふたりの様子を見てられなくなって、第三音楽室へ向かった

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