日下部彰
近衛副総監
日下部彰
この国の宝だ!
日下部彰
近衛副総監
近衛副総監
たたん子供など
近衛副総監
河上啓一
日下部彰
投資なんだ!
近衛副総監
近衛副総監
全てを捧げてくれる
近衛副総監
欲しいんだよ
日下部彰
近衛副総監
政界に進出しようと
思っていてね
日下部彰
近衛副総監
近衛副総監
安い人間では無い
近衛副総監
背負って立つ選ばれた
人間なんだよ
日下部彰
河上啓一
目指してるようや奴が
河上啓一
近衛副総監
都合のいい信者が欲しいと
日下部彰
近衛副総監
近衛副総監
轟かすほどの不妊大国だ
日下部彰
近衛副総監
およそ81万人だ!
近衛副総監
受精による出生数は
約7万人にも上るんだ
近衛副総監
河上啓一
近衛副総監
体外受精で生まれた!
近衛副総監
7万組の不妊夫婦──
近衛副総監
不妊に悩んでいる
と言う事になる!
近衛副総監
日下部彰
近衛副総監
不妊大国日本で──
近衛副総監
救いの手を差し伸べる
神になろうと考えたんだ
河上啓一
近衛副総監
足りない脳で考えてみなさい
近衛副総監
近衛副総監
提供してくれて
近衛副総監
セミナーまでを
やってくれる人間が
近衛副総監
見えるだろうか?
日下部彰
彰は近衛の恐ろしい 策略を感じ取る
日下部彰
日下部彰
都合のいい信者・・・
近衛副総監
日下部彰
提供してやった
その見返りとして
日下部彰
14万票を選挙の時に
手に入れようと?
近衛副総監
近衛副総監
近衛副総監
ギブアンドテイク
というヤツだよ
近衛副総監
不妊夫婦に念願の子供を
提供してやる!
近衛副総監
近衛副総監
私が出馬した時に
私に投票する!
日下部彰
河上啓一
近衛副総監
私が議員になる未来への
投資なんだよ
日下部彰
政治家になって
甘い汁を啜りたいから
日下部彰
だけじゃないか!!
近衛副総監
Dクラブで子供を手にし
近衛副総監
夫婦もいる
近衛副総監
小さな物差ししか
持ち合わせていない
近衛副総監
この高貴なる思想が
理解できない様だね
日下部彰
日下部彰
河上くんの奥さんは
自殺したんだぞ!
河上啓一
近衛副総監
近衛副総監
日下部彰
近衛副総監
営業などはしていない
近衛副総監
救いの手を差し伸べているんだ
近衛副総監
勝手に他の女に
タネ付けして
近衛副総監
死んでいくヤツなど
私の知ったことか!
日下部彰
近衛副総監
ここで終わりだ!
近衛副総監
しようじゃ無いか!
日下部彰
近衛副総監
近衛副総監
なりなさいと!
日下部彰
近衛副総監
1人選んで──
近衛副総監
日下部彰
日下部彰
いい加減にしろ!
日下部彰
出来る訳がないだろ!
近衛副総監
奥さんがどうなっても
構わないんだな?
近衛は千里の頬を 手のひらで摩りながら 不的な笑みを浮かべる
日下部千里
千里は恐怖のせいで 言葉にならない声を出しながら 体を小刻みに震わせる
日下部彰
近衛副総監
日下部彰
日下部千里
日下部彰
日下部千里
気にしなくて良いから
日下部千里
千里は目に涙を浮かべながら か細い声を出す
日下部彰
日下部彰
出来る訳ないだろ!
日下部千里
みんな只じゃ済まない
かもしれないんだよ?
日下部千里
しれないんだよ?
日下部彰
日下部千里
全然・・いい・・
日下部彰
彰は歯を食いしばり 拳を力強く握る
近衛副総監
日下部彰
日下部彰
日下部彰
彰は潤んだ目で 近衛を睨みつける
日下部彰
近衛副総監
やってくれるか!
近衛副総監
初めてもらおうか!
日下部彰
日下部千里
近衛副総監
近衛副総監
近衛副総監
妖艶な女性
日下部彰
日下部彰
日下部彰
近衛副総監
この子で決まりだな!
近衛副総監
用意してある!
近衛副総監
日下部彰
日下部千里
日下部彰
日下部彰
こうするしか・・・)
妖艶な女性
妖艶な女性
女性は彰の腕に 自分の腕を絡ませ 胸を押し当てる
日下部彰
彰は女性に促され 奥の部屋へ消えていく
河上啓一
日下部千里
近衛副総監
日下部千里
近衛副総監
近衛副総監
子宝に恵まれる訳だ
日下部千里
近衛副総監
日下部千里
近衛副総監
近衛副総監
子供は悲願だった
んじゃないのか?
日下部千里
日下部千里
居る訳ありません・・
河上啓一
河上啓一
河上啓一
居る訳なかったんだ)
河上啓一
数日前
河上啓一
河上啓一
出会えるなんて!
河上明菜
そ、そうだね・・
河上啓一
メンタルケアから
セミナーまでって
河上啓一
河上啓一
居るんだな!
河上明菜
河上啓一
河上啓一
河上明菜
河上明菜
河上啓一
河上明菜
し、幸せだね・・・
河上啓一
明菜が喜んでる?
子供ができて幸せ?
馬鹿やろーが!
こんなのが幸せなんて 俺はなんて馬鹿だったんだ!
明菜はずっと悩んでた・・・
子供ができない事を 自分のせいだと悔やみ 自分自身を責めてた
だからクラブの話を 俺が持ち出した時も
嫌だって言いたくても 言いづらかったんじゃないか!
自分のせいだって責めていたから
拒否したくても 出来なかったんじゃないか!
明菜の立場になって 考えたら直ぐに理解る事なのに
千里さんだって きっと同じはずなんだ!
千里さんだって 本当は嫌だって言いたいはずなんだ!
辛いはずなんだ!
自分に子供ができないからって 愛した人が他の女性と 体の関係になるなんて嫌に決まってる!
やめて!って言いたいに決まってる!
でも拒否をしたら みんな只じゃ済まない
だから受け入れるしかないんだ!
でも千里さんには 明菜と同じ道を歩んで欲しくない!
日下部さんに 俺と同じ轍は踏ませない!
踏ませちゃいけないんだ!
ここで動かなきゃ──
俺は──
俺は‼︎‼︎‼︎‼︎
警察は勢いよく 近衛に突進する
近衛副総監
日下部千里
河上啓一
河上啓一
奥の部屋に行って
河上啓一
ここから逃げてく下さい!
日下部千里
河上啓一
河上啓一
日下部千里
千里は彰が居る 奥の部屋に走っていく
近衛副総監
河上啓一
河上啓一
啓一は馬乗りになり 近衛の首を両手で締め付ける
近衛副総監
近衛副総監
河上啓一
河上啓一
河上啓一
近衛副総監
河上啓一
河上啓一
河上啓一
河上啓一
河上啓一
俺は啓一の後頭部を 角材で思いっきり殴打する
河上啓一
河上は後頭部を 両手で押さえながら その場にうずくまる
河上啓一
日下部千里
奥の部屋に入ろうと ドアノブに手をかけた千里が 立ち止まり背後に振り返る
大丈夫ですか!?
近衛副総監
近衛副総監
脳の足りんバカは
近衛副総監
分からん!
どうしますか?
近衛副総監
近衛副総監
近衛はそう言うと懐から リボルバーを取り出し男に手渡す
日下部千里
近衛副総監
心配するな!
近衛副総監
副総監である私が
もみ消してやる
男は近衛から拳銃を受け取ると 銃口を河上に向け トリガーに指をかける
日下部千里
千里が駆け寄り 男の前に立ち塞がる
河上啓一
河上啓一
来たんですか!?
日下部千里
殺されちゃうのは──
河上啓一
殺されてーか!?
河上啓一
やめてくれ!!
河上啓一
するとそこへ 男が何やら慌てた様子で 駆け足でやって来る
近衛副総監
近衛副総監
近衛副総監
近衛は男に言われるがまま 小窓に近寄り外の様子を伺う
近衛副総監
近衛副総監
近衛副総監
近衛の額からは 冷や汗が滴り落ちる
嗅ぎつけられたのか
非常にマズいです
離れましょう!
河上啓一
近衛副総監
近衛副総監
満谷巡査部長か?
近衛はポケットから 何かの小型端末を取り出し
近衛副総監
近衛副総監
パトロール中だ!
近衛が取り出した端末は 警察手帳に仕込んである 発信機の信号を受信する機械のようで
その画面には 周辺を縦横無尽に駆け回る 赤い丸が表示されていた
野良猫
薄暗い住宅街を 駆け回る野良猫
子供
子供
ママ
子供
子供
つけてるよ?
子供が指差す野良猫の体には
警察手帳が 紐で巻きつけられていた
河上啓一
河上啓一
日下部さんの所へ!
日下部千里
日下部千里
起きてるんですか?
河上啓一
動いてくれたんです
日下部千里
河上啓一
河上啓一