僕の好きなものは、ちょっと変わっているらしい
とかげの尻尾
足のとれた人形
片方だけの靴
光らなくなったサイリウム
役に立たないものばかり、とみんなは言うけれど
役に立ちそうにないから、なんだか不思議で、面白い
そんなある日、僕はまた、変なものを見つけた
僕
丸っこいぬいぐるみみたいだけど、ごわごわしてる
顔には目も口もなくて、角が生えてて
コウモリの羽に、長い尻尾
フォークみたいなものを持ってる、黒いやつ
僕
僕
抱えると、かなりあったかい
まるで生きてるみたいだと思って撫でていると
それはクププと笑った
???
僕
突然聞こえた声に驚いて、僕はそれを落としてしまった
するとそれ、ふんわり浮かんで、ふるると頭をふった
???
???
???
僕
僕
???
???
???
僕
???
???
僕
僕
僕
僕
僕
???
太短い喉が震えて、まるで笑っているみたいだった
???
僕
僕
ナイト
ナイト
それから、ナイトは僕の家で暮らすようになった
口がないからご飯もいらない
お母さんたちに見つかる心配はほとんどなかった
ナイトは友達を追いかけて、間違ってここに来たらしい
ナイト
ナイト
ナイト
ナイト
ナイト
ナイト
ナイト
僕
ナイト
そう、ナイトは夢の国に住んでるらしい
だからこっちにはいない生き物なんだって
ナイト
僕
僕
ナイト
僕
ナイト
ナイト
ナイト
僕
なぜかナイトは毎日、僕をくすぐりたがった
ひとしきりくすぐって、僕が疲れると、ナイトは笑うんだ
なにもパーツが乗っていないけど、それだけは分かった
ナイト
ナイト
僕
僕
ナイト
ナイト
ナイト
僕
ナイト
ナイト
僕
ナイト
ナイト
ナイト
ナイト
僕
よく分からなかったけど、僕は興味を持った
だってドリームランドなんて、聞くだけで楽しそうな場所だ
それに神様の話し相手なんて面白そう
僕
ナイト
そう言うと、ナイトはまた笑ったようだった
今夜の夢で、ドリームランドに行けるらしい
どんな場所なのか、どんな神様なのか
そして僕と、どんな話をしたのか
帰ってきたら、この日記にたくさん書こう
それを最後に、息子の日記は途切れていた
父親
父親
父親
父親
父親
当家の家族は、数年前から不仲だった
妻がよそに愛人を作ったのをきっかけに
私は仕事に集中するようになり
そして妻は、たまに帰っては息子と話す程度
深夜帯の子どもの失踪事件
捜査に当たった警察からは、家庭に問題があったのではと責められた
もちろん、それに言い訳をするつもりはない
ただ、息子の日記を見た捜査員の一人がこう言ったのだ
捜査員
捜査員
捜査員
捜査員
捜査員
捜査員
ぶつぶつと呟きながら爪を噛んでいたその捜査員は
異常に凹凸の少ない顔で目が丸く
そして不自然なほど瞬きが少なかったことを覚えている
あまりに風貌に異様さを感じ、他の捜査員に聞いたのだ
あれは何だと
すると彼らも、困ったように答えた
捜査員
捜査員
捜査員
そう言われたが、気にせずにいられるものか
なにせ、彼は言ったのだ
家を出る直前、まるで吐き捨てるように
捜査員
捜査員
捜査員
捜査員
捜査員
その言葉に、真実を感じてしまったのはなぜだろう
あまりに不謹慎で無礼なその言葉に、私は憤慨すらできず
ただ、その場に立ち尽くす他なかったのだ
我々の信じる神以外のモノがもし本当に存在するとして
息子は、なにに関わってしまったのだろう
そして私に
息子を取り戻す術など、あるのだろうか
コメント
21件
まさかの最後でとても面白い作品でした。 後々の想像もしやすいですし、表現力が高いのがとても羨ましい限りです!
いいねありがとうございます!フォローしますね。捜査官の顔で目が覚めました!
不気味さがあって 面白かったです!!