Akの協力を得ながらも、何とか勇気を振り絞って
Ktyと2人きりになることに成功したおれは、誰よりも大好きな自分の騎士と
ほこらの中を進んでいた
Tg
この辺結構敵多いね

Kty
そうですね、ちゃんと警戒して進まないと、、、

やっぱりタメ口を使ってくれないKtyに複雑な気持ちを感じていると、
Ktyが不安げに聞いてくる
Kty
Tg王子、不躾なことを聞きますが、、、

Tg
どうしたの?

Kty
王子がまだAkに慣れていないのも承知なのですが、
先ほどは国王陛下の命令のためにもAkと2人で行動した方が
よかったのでは、、、?

Tg
……別に、Akに慣れてないわけじゃないよ

Tg
Akとはこの前友達になったし、
相談だってしようと思えばできる

Kty
では、なぜ、、、?

Tg
誰よりも偉い人の命令を無視して、
慣れていて大好きな友人と一緒にいる時間を手放してまで
その人と一緒にいたいって気持ち、何だと思う?

Kty
え、、、

Kty
文脈だけを考えると好意を寄せている者のように感じますが、、、

Tg
ねえKty、今の状況は、?

Kty
えっ、と?

Tg
(これでも、気づかないんだ、、、)

Tg
(これ以上勇気を出すのは、無理っ!!)

Tg
やっぱり何でもない

Kty
あ、そうですか、?

なかなか好意が伝わらなくてモヤモヤしていると、
連絡魔法でMzたんから連絡が入った
Mz
『Tg、そっちはどんな感じか、?』

モヤモヤしている気持ちを追い払いながら、
おれはMzたんに返事をする
Tg
今のところめぼしい収穫はないかなぁ、、、

Mz
『うーん、流石にすぐには見つからないか、、、』

Mz
『ちなみに今、階段何回使った?』

Tg
えーっと、上に登る階段を2回登ったから、、、

Tg
今は3階かな、?

Mz
『そっちは登り階段なのか?』

Mz
『こっちは下り階段なんだよな、、、』

Tg
え、そうなの?

Mz
『うん』

Mz
『ブルーオーブは最深部にありそうってことしかわかんないから、
最上階の可能性も全然あるな』

Tg
とりあえずおれ達もMzたん達もこのまま進むってこと、?

Mz
『そうなるな』

Tg
わかった!!それじゃあ一旦連絡切るね

Mz
『了解、なんかあったらまた連絡しろよ』

Tg
そっちもね!!

Tg
今のところ、このまま進むって方針みたい!!

Kty
了解です

どこまでも敬語を貫くKtyに、
おれの胸はぎゅっと苦しく締め付けられる
昔はあんなに仲が良かったのに、
そのKtyに敬語を使われると距離を取られている感じがしてしまって、
すごく寂しいのだ
Tg
……。

今まで数年間溜め込んできた寂しい、が唐突に全部襲ってきて、
おれは気がついたらぽつりとこんなことをこぼしてしまっていた
Tg
あのさ、Kty

Kty
どうかしました?

Tg
前から気になってたんだけど、、、

Tg
どうして、おれに敬語使うの?

Kty
!!

Tg
昔は普通に話してくれたのに、、、

おれがうつむきながらそういうと、Ktyが息を呑む音がした
彼はしばらく複雑そうな表情を浮かべるが、
やがてその口をきゅっと結んでおれの質問に答える
Kty
僕の中で、ちゃんとケジメをつけるためです

Tg
ケジメって、なんの、?

Kty
……。

Kty
それは、内緒です

そう言って悲しげに微笑むKtyは何だか辛そうで、
目の前にいる近くて遠い彼に手を伸ばしたくなった
Tg
(大好きの気持ちをずっと誤魔化してると、後悔する、、、)

Jlくんが去り際におれの耳元で言い残したその言葉と、
あの夜Akの部屋で彼に宣言した決意を思い出す
Tg
(今ここで勇気を出さなかったら、きっとKtyの幼馴染としてのおれも
Ktyのことが好きなおれも後悔する)

Tg
Kty、

Kty
……はい

Tg
そのケジメって、誰のため?

Kty
えっ、と

Kty
僕がこの剣を捧げる国と、Tgのため、、、

Tg
(Tg呼び、!)

Tg
(もしかしたら、少しKtyの一定の態度を崩せるかも、!)

少しだけ希望の光が見えてきたところで、
おれは更に彼の心に向かって詰めていく
Tg
国のためって気持ちとおれのためって気持ち、どっちが大きいの?

正直なことをいうとすごく恥ずかしいし、
今すぐやっぱりやめた、と言ってしまいたいが、
ここで引き返したらもう二度と大好きな彼に触れることができない気がした
Kty
それはっ、!

言葉を詰まらせたKtyに歩み寄って、
おれはそっとその空色の瞳を自分の掌で覆い隠す
Kty
わ、

Tg
Kty、今Ktyの目の前にいるのは君が剣を捧げる国の王子なんかじゃない

Tg
ただのTgだよ、王子でも何でもない、ただのTg

Tg
ねえKty、国のためとおれのため、どっちの方が重要?

Kty
……。

Kty
Tgの方が、重要です、、、

Tg
そっか

おれは少し嬉しくなりながら空色の宝石を隠していた自分の手をどけ、
Ktyの視界をそっと開放する
Tg
おれの方が重要なら、
おれはタメ口の方が嬉しいからそっちを優先してほしいな

Kty
でも、、、

Tg
表向きの立場とかもあるだろうから、
公的な場ではいつものままでいいよ

Tg
だけど、2人だけの時とか、
周りにMzたんとAkしかいない時とか、、、

Tg
そういう時は、Tgって呼んでほしいし昔と同じ話し方がいい

おれが精一杯の勇気を出してKtyにしたおねだりに
彼は一瞬迷いを見せたが、しばらくおれの瞳をじいっと見つめると、
いつもとは少し違うため息でそれを受け入れてくれた
Kty
わかった、今度からは昔と同じように話すね

Tg
ありがと、Kty

おれが今胸の内に込み上げてきた喜びを
全部込めた笑顔を浮かべると、Ktyはふいっと目を逸らしてしまった
Kty
(うう、立場とかを考えたら絶対に距離をとった方がいいのに)

Kty
(どんどん元通りになっちゃってるし、
どんどんTgのこと好きになっちゃう、、、)

Kty
(僕、そろそろ陛下の命令聞けなくなっちゃうよ、、、)

Tg
Kty?

Kty
ごめんTg、ちょっと考え事してて、、、

Tg
そっか、?

ずっと聞きたかったおれのことをTgって呼ぶKtyの声が嬉しくて、
かなり上機嫌になったおれに、Mzたんから連絡が入った
Mz
『ブルーオーブこっちで見つけたぞ!!』

Tg
ほんと!?

Mz
『ほんとほんと!!』

Mz
『戻れなくなる仕掛けを解除するスイッチもこっちにあったから、
もう引き返して大丈夫だと思う』

Tg
わかった!!

Tg
Kty、もう引き返して大丈夫だって!!

Kty
そーなの?

Kty
じゃあ戻ろ!!

Tg
うんっ!!

本当ならあの頃みたいに手を繋いで歩きたかったけど、
そこまでする勇気は今のおれにはなかった
Tgちゃん達と別れたオレは、Mzちにハンカチを手渡して
彼とほこらの最深部に向かって進んでいた
Ak
TgちゃんとKtyち、進展するかなぁ、、、

Mz
あれ、お前あの2人のこと知ってんの?

Ak
この前Tgちゃん本人から聞いた!!

Mz
なるほどな

Mz
どうりで見るからに鈍感なAkがTgの気持ちに気づいているわけだ

Ak
あれ、もしかしてバカにしてる?

Mz
そんなことねーよ?w

Ak
絶対バカにしてるやつじゃん!w

その後も他愛のない雑談をしながらほこらを進んでいくが、
途中でMzちがTgちゃんに進捗確認の連絡を取る
MzちがTgちゃんとの連絡魔法を切った後、
オレは唐突にMzちに聞こうと思っていたことを思い出した
Ak
あ、そういえばMzち、聞きたいことがあるんだけど

Mz
?

Ak
あのさ、“魔法“ってその人の個性が現れたりするの、?

Mz
え、、、

Mz
確かに同じ魔法でも使う人の人間性や気持ちによって
少し感じ方が変わったりはするけど、、、

Mz
急にどうした?

Ak
いや、さっきMzちが索敵魔法使ったじゃん?

Mz
森に入った時、?

Ak
そうそう

Ak
その時ね、Mzちの魔法を見て、誰か大切な人を
優しく包んであげてるみたいなあたたかみを感じたんだよね

Mz
え、そうなの?自覚は全然ないけど

Mz
まあAkがそれを感じたのはいいとして、、、

Mz
Tgと比べてなんか違うところでもあったのか?

Ak
Tgちゃんに魔法を使ってもらったことはあるんだけど、
あの時はTgちゃんを守るのに精一杯で特に何も感じてなくて、、、

Ak
違いを感じたのは、AtとMzち

Mz
!!

Mz
それは、、、どういうこと?

Mz
Atが、邪悪ってこと?

何だか雰囲気が変わったMzちに少しびっくりするが、
別にそういうことが言いたいわけではないので素直に答える
Ak
え、違うよ!!

Ak
そうじゃなくて、Atの魔法からは、
悲しい、とか苦しい、っていう辛い気持ちと

Ak
ほんの少しの、助けてほしいっていう気持ちを感じたの!!

Mz
……。

Mz
それを見たお前はどう思った?

Mz
魔王のくせに、とでも思ったのか?

Ak
えぇ、魔王だって人間なんだし
そういう気持ちがあるのは変なことじゃなくない?

Ak
そんなこと思うわけないじゃんっ!!

Mz
へぇ、Akはそんなふうに考えるんだな

Mz
(こいつって、やっぱり前代の勇者とは根本的なとこが違うよな)

Mz
(まあAtは、人間ではないけど)

Ak
ねぇねぇMzち、魔王って倒さなきゃダメなのかな?

Mz
は?どういうこと?

Ak
だってさ、Atも助けて欲しいって思ってるかもなんでしょ?

Ak
だったら、倒す以外の方法で助けてあげられないかな、、、って

Mz
……お前、本当に勇者?

Ak
一応勇者の剣は抜いたよっ!?

Ak
でもそれ以外はれっきとした根拠がないかも、、、

Mz
(こいつは、本当にあのクズ勇者とは違うんだ)

Mz
(勇者として急に持ち上げられたのにおごってないし)

Mz
(自分の敵である魔王のAtにすら助けてやりたいなんて考えてる)

Mz
(今まで何度も思ったけど、ガチのお人好しなんだろうな、、、)

Ak
Mzち、?

Mz
悪い、ちょっと考え事してて

Mz
でも、、、どうなんだろうな

Mz
仮にAtが助けて欲しいと思っていたとして、
もしAkがそれを助けられたとして

Mz
結局は国王陛下の命令が全てだからな

Ak
まぁ、、、そうだよね

Ak
でもそれを言い出したらキリがないから、、、

Ak
国王陛下のことは後で考えるとして、
なんかAtを助けられるのってオレじゃない気がするんだよね

Mz
どういうこと?

Ak
個人的に、Atを助けてあげられるのってMzちなんじゃないかって思ってる

Mz
!!

Mz
なんで、?

Ak
なんで、って、、、

Ak
AtのMzちを見た時の反応、明らかに他の人たちとは違ったじゃん

Ak
だから、Atを助けてあげたいんだったら、
オレのやることってMzちを魔王城まで連れて行くことなんじゃないかな

Mz
……。

Ak
あ、でもMzちは大切な人に会うために冒険に来たんだったよね!!

Ak
流石にそこまでついてきてもらうのは申し訳ないか、、、

Mz
いや、、、それは全然大丈夫だけど

Ak
そっか、?

Mz
……。

なんとなく会話が途切れたので、
オレは周囲を見回しながら次の階に進む階段を見つける
Ak
あ、Mzち!!

Mz
どうした?

Ak
あそこに階段あるよ

Mz
建物の構造から見てもここが最後っぽいな

Mz
ブルーオーブ、あるといいんだけど

見つけた階段を降りていくと、そこにはただただ小さな空間があって、
その真ん中にある台座にブルーオーブがぽつりと置かれていた
Ak
え、なんかこわ

Ak
罠かな、?

Mz
いや、

Mz
このスペースだと魔物も潜伏できないし、普通に最深部に
敵がいないだけだと思う

Ak
そっか

オレが手を伸ばして青い光を放つ綺麗な宝石を手に取ると、
カチリと音がして部屋の奥にある魔法陣が作動する
Mz
あそこから外に出れそうだな

Ak
KtyちとTgちゃんは大丈夫かな、?

Mz
見た感じ分かれ道のとこにあった透明な壁を消去する術式が
組み込まれてるし、向こうも引き返せば大丈夫な気がする

Ak
わかった!!連絡お願いしてもいい?

Mz
了解

Tgちゃん達に連絡を済ませたMzちとほこらの入り口に戻って
しばらく待っていると、ほこらから出てきた2人と合流した
Tg
あ、Ak!!

Kty
ブルーオーブ見つかったんだね!!

Ak
うん、でもこれどうやって使うんだろ、?

Mz
確か空高く掲げるんじゃなかったか?

Ak
わかった、やってみるね!

オレが陽の光を受けてキラキラと輝く青い宝石を掲げると、
その宝石がきらりと強い光を放って、南の方に赤い光の柱が立った
Kty
あっちの方にレッドオーブがあるってことかな?

Tg
そうっぽいね!!

Mz
南の方角だな、あの辺だと港町か?

Kty
Tgと昔遊びに行ったとこだね!!

Tg
Kty、覚えてるのっ!?

Kty
もちろん!!

Ak
あれ、え、Ktyち、?

Tgちゃんにタメ口で話しかけるKtyちにオレが戸惑っていると、
満面の笑みでTgちゃんが答えてくれた
Tg
Kty、タメ口使ってくれるようになったんだー!!

どうやら、先ほどKtyちとTgちゃんを2人きりにしたのは
我ながら素晴らしい判断だったようだ
Ak
ほんと!?よかったね!!

Tg
うんっ!!

Mz
お前ら、早くしないと置いてくぞー

Kty
港町まで、ちょっと遠いけど案内するね!!

Ak
よろしく!!
