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ばたっちゅ
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桜城
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#ファンタジー
comi
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それは、 突然の出来事だった
僕たちが通う学校に、 転校生がやって来ることになった
僕は転校生のことなんか、 正直言うと興味がなかったため、 壁のシミだけを見つめることにした
扉の音と共に、 転校生の少女が教室に入ってきた
一ノ瀬露子
一ノ瀬露子
その少女は、 自らを「露子」だと名乗り、 礼儀正しくお辞儀をした
僕はさっきまでなんとも思っていなかったが、 なぜか違和感を覚えた
今までの人間は、 醜いものもそうでないものも、 本心が見えていた
だけど、露子だけは読めない 僕は彼女を見ても、 奇妙な空白しか見えなかった
本心の底が見えない人間は、 転校生の露子が初めてだった
露子は露子で、 なぜか僕に興味を示している
僕は窓際にいる露子の元へ動いた
古賀勲
すると、 後ろにいた勲が慌てながら僕を追いかけ、 僕の服の裾を引っ張ってきた
古賀勲
都築慎一
きっとこいつは、 僕が変わってしまうのではないかと、 不安を胸に抱いている
だから僕は、 特に態度を変えるわけでもなく、 いつもと同じように接した
しかし、
古賀勲
いつもなら乱暴に強がる勲が、 今回だけはあっさりと引き下がり、 僕の服の裾をすっと離した
眉が下がった勲の表情は、 「僕を困らせた」という罪悪感が、 そのまま現れたものだった
僕はそれを否定しようと思ったが、 僕が何かを言う前に、 勲は僕に背を向けてしまった
放課後の夕方 僕は重い足取りで家に帰ろうとすると、 校庭から「かごめかごめ」の歌声が聞こえてきた
人影の正体は、 転校生の露子だった
都築慎一
気がつくと、 僕は露子の元へ近づいていた
一ノ瀬露子
露子は上品な仕草をしながら、 静かに微笑んだ
その笑顔には、 年相応のあどけなさと 大人っぽさが両立していた
一ノ瀬露子
都築慎一
都築慎一
一ノ瀬露子
露子は妙な言葉を言うと、 意味深で、どこか怪しげに笑った
何を考えているのかわからないその表情を見て、 僕の心臓が跳ね上がるような感覚がした
一ノ瀬露子
一ノ瀬露子
露子は教科書を包んだ風呂敷を持つと、 遠くへ走って行った
…が、 彼女は途中で足を止めた
一ノ瀬露子
露子は僕に名前を聞いてきた
都築慎一
一ノ瀬露子
都築慎一
___なんで僕に、こんなに興味を持つんだろう 僕は目を逸らしながら、 素っ気なく言った
都築慎一
一ノ瀬露子
僕の名前を知れた露子は、 目を細めて笑いながら、 「さようなら」と言い、 遠くへ走って行った
どこまでも奇妙で、 わからない奴
そして、 なぜか僕に興味を持つ素振りをする
都築慎一
僕は風呂敷を手に持って、 校庭を後にした
露子が転校してから数日が経つと、 僕と4人の同級生が集まって、 「かごめかごめ」をして遊ぶようになる
しかし、 一緒に遊ぶにつれて、 どこか「おかしいところ」が目につく
陽一は命への共感がないし、 志乃は捏造した暗い過去を語る
露子はやたらと「かごめかごめ」の遊びに積極的だし、 普通の顔をして、自分のことを傷つける
そして、 純粋な少年だった勲でさえ、 露子が転校してきたあの日から、 僕の服の裾をすっと離したあの日から、 様子がおかしかった
一ノ瀬露子
都築慎一
一ノ瀬露子
古賀勲
次の瞬間、 勲が露子の顔面目掛けて、 思い切り殴った
一ノ瀬露子
露子は悲鳴を上げずに、 赤くなった頬を押さえている
一ノ瀬露子
一ノ瀬露子
露子は痛くて泣くどころか、 勲の顔を見ながら、 彼をさらに怒らせるように挑発した
古賀勲
勲は簡単に露子に乗せられ、 顔を真っ赤にすると、 露子の胸ぐらを掴んで、床に叩きつけようとする
都築慎一
僕はそれを見ると、 後先を考えずに、 咄嗟に勲を殴り返してしまった
一ノ瀬露子
都築慎一
僕は我に返ると、 「やってしまった…」と後悔をした
ふと勲の顔を見ると、 勲は僕に怒ったりせず、 それどころか不気味に笑った
古賀勲
僕は思わず、顔を顰めた
目の前にいるのは、 僕に揶揄われて、顔を真っ赤にして強がった、 ピュアな少年じゃない
都築慎一
僕は心の中で問いかけるが、 薄々わかっていた
だけど、 僕にはどうすることもできなかった
都築慎一
言葉通り、 この日はやけに静かな日だった
いつもの炭鉱跡には、 珍しく二人しかいない
僕の隣には、 木の棒で砂に文字を書いている勲がいる
勲は僕に気づくと、 慌てて文字を足で消した
古賀勲
…嘘だ 強がっているだけだ 残念そうに言うが、 本当は独占欲で溢れているくせに
都築慎一
出会った頃と同じような、 図星を突いた言葉
勲は何も言わなかったものの、 思い切り感情が顔に出ていた
動揺しているのが、 僕にはバレバレだった
勲は帰ろうとするどころか、 その場に座り込んだ
古賀勲
都築慎一
僕は勲の近くに座り、 物理的に距離を縮めた
母親に邪魔者扱いされたこと、 母親が連れ込んだ男に暴力を振るわれ、 愛犬もその男に殺されたこと、 そして、頬にある傷も、その男に酒瓶でやられたこと
勲は家庭環境の全てを語った
都築慎一
古賀勲
都築慎一
勲はすぐに、 僕の胸ぐらを掴みながら怒鳴った
都築慎一
古賀勲
僕が胸ぐらを掴む勲の手に指を差すと、 勲はバツが悪そうに、あっさりと手を離した
服の裾を掴んできた、 あの頃と同じように
古賀勲
都築慎一
古賀勲
都築慎一
僕が何かを言おうとすると、 勲はすぐに遮って、僕に背を向けた
古賀勲
古賀勲
都築慎一
古賀勲
勲は僕に向かって手を振った 勲が変わってしまったと思っていたが、 一瞬だけ、あの頃と同じ健気に笑っているように見えた
都築慎一
僕は勲に手を振り返した やっぱり、勲は勲だった
露子の希望によって、 僕たち5人は、 滅多に近づかない坑道に来た
いつもと同じように、 かごめかごめを歌おうとしたその瞬間、 坑道全体が激しく震える
露子はやけに冷静で、 怪しく微笑むと、 何もない場所に向かって走る
そして、僕の方を向いた
都築慎一
露子はいつもの儚い笑顔で笑う
一ノ瀬露子
都築慎一
次の瞬間、 露子が瓦礫の下敷きになった
都築慎一
僕は目の前の光景を信じたくなかった
露子の怪しげな行動や、 意味深なセリフの正体が、 これで明白になってしまった
いつもは表情を変えない僕だが、 今回だけは感情を露わにして、 露子の元へ駆け寄る
一ノ瀬露子
都築慎一
都築慎一
一ノ瀬露子
露子が諦めかけたその瞬間、 ずっと見えなかった露子の「本心」がようやく見えた
見えたのは、 露子の「生きたい」という願いだった
都築慎一
一ノ瀬露子
露子は僕の名前を呼ぶと、 そこで力尽きてしまった
露子の体が冷たいのを感じると、 彼女が亡くなったという実感が湧いてくる
都築慎一
都築慎一
僕は泣き叫びはしなかったが、 静かに啜り泣いた
露子の体がどんどん冷たくなっているが、 僕は露子の傍を離れる気にはなれなかった
僕が露子の近くにいると、 勲が僕に近づいてきた
古賀勲
都築慎一
古賀勲
都築慎一
…いつもの強がりだ 勲の強がりは、僕には見え見えだった
彼の奥底には、 周囲から問題児扱いされる「孤独」が眠っているからだ
古賀勲
勲は焦りながら、 僕から露子を引き離そうとする
次の瞬間、 露子に続いて、 勲も瓦礫の下敷きになってしまった
都築慎一
僕は露子の手を離すと、 震える足を動かして、 その場から逃げ出そうとする
変わり果てた勲のことを、 置いて行こうとしていた
しかし、 僕の足元から、 掠れた振り絞るような声が聞こえる
古賀勲
僕は勲の声に反応して、 弱々しく手を伸ばす勲の近くに座り込む
やっぱり、 放っておけなかった
都築慎一
古賀勲
勲はいつもの強がりの仮面を崩し、 最期にようやく本音を口にした
しかし、 その直後に勲は力尽きた
都築慎一
都築慎一
本心が見えていたはずなのに、 僕はあいつのことを置いて行って、 気持ちに応えられなかった
僕は最後に、 勲の坊主頭をそっと撫でた
だけど、 気のせいなのか…? 僕が頭を撫でた時、 勲が微笑んだように見えた
それを見た僕は、 声を殺して泣いた 戻らないあの頃の光景が、 映画のように流れ込んでくる
あの出来事が起きてから数日が経つが、 僕はずっと忘れることができなかった
夕焼けを見るたびに、 取り押さえられた志乃、 蝶々を追いかけて行った陽一、 露子と勲が亡くなった瞬間が、 昨日の出来事のように思い浮かぶ
夕凪村では、 なんともなかったかのように、 子供達の無邪気な声が聞こえる
今では、 その声ですら、 恐ろしく思えてしまう
都築慎一
次の瞬間、 背後からかごめかごめを歌う露子の声がする
「後ろの正面だあれ」
都築慎一
露子の名前を呼ぼうとすると、 頭が雷のように痛む
僕は立っていられなくなり、 視界がぐわんぐわんと歪む
しかし、 歪んだ視界には、 露子の幽霊が立っていた
一ノ瀬露子
一ノ瀬露子
表には出してこなかったが、 あの時に受けたショックが大きかったはずだ
話しかける露子の霊に何も言えず、 僕はその場で気を失った
コメント
1件
えええっ…露子ちゃんの本音が最後に見えたのに、その直後に…って展開が切なすぎるよ〜😭💔 勲くんの「置いて行くな」もグサッときた…。心読める主人公が誰の心も救えなかったもどかしさが胸に刺さる話だった…!続きがすごく気になる〜!