この作品はいかがでしたか?
30
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──恐ろしい程に静かだった
相模原中学校は、私の学年が卒業した後
新校舎を建てたらしい
今、少し廃れた校庭を歩いている
勿論亜里沙は、旧校舎をよく知らない
けれど、私にとっては思い出の場所なのだ
旧校舎 音楽室
昼
神様
渚
神様
渚
渚
渚
神様
渚
神様
神様
神様
渚
渚
神様
渚
渚
誇りを被った鍵盤に指を置く
高い音が、音楽室に木霊した
ドビュッシーの、月の光
私が唯一、覚えられた曲だった
滑らかなメロディが、木漏れ日の差すこの空間に溶けだした
聞いてくれる人は、たった1人
その人の為だけに
今は、弾きたいと思えている
勝手に、旧校舎に入っていながら
その古いピアノで音楽を奏でるという
罪に罪を重ねた結果広げられる
まるで夏の幻想のような時間が
ずっと続けばいいだなんて
思ってしまったのだ
音が止んだ
余韻も、無慈悲に足を離されて消えた
残るものは、静寂だった
神様
神様
神様
渚
渚
神様
渚
神様
神様
渚
神様がピアノに手をかざすと
ひとりでに、音楽を奏で始めた
渚
渚
神様
渚
神様
渚
渚
神様
呆れたのか、苦笑いで私を見つめる
でも、次の瞬間小さくこう言った
神様
と…──
渚
渚
神様
神様
神様
渚
渚
神様
神様
神様
渚
オカルト研究部 部室
渚たちと別れた後
名部 亜里沙
田辺 幸人
松本 誠太
ボクが話し出すと
皆に、眉をひそめられる
虐められてはいない
ただ、皆ボクを嫌っているだけだ
名部 亜里沙
名部 亜里沙
名部 亜里沙
田辺 幸人
松本 誠太
名部 亜里沙
松本 誠太
田辺 幸人
田辺 幸人
松本 誠太
名部 亜里沙
相模原町立図書館
初めて、ここに来た時
扉を開けた瞬間
図書館特有の香りと
黙々と読書、学習を進めている人々の
「来るなよ」という視線が肌に刺さったものだ
懐かしい、いつの事だっただろうか
…ボクは、ここが嫌いだ
名部 亜里沙
田辺 幸人
田辺 幸人
松本 誠太
名部 亜里沙
田辺 幸人
名部 亜里沙
名部 亜里沙
田辺 幸人
松本 誠太
松本 誠太
名部 亜里沙
田辺 幸人
名部 亜里沙
田辺 幸人
松本 誠太
田辺 幸人
松本 誠太
名部 亜里沙
渚
神様
渚
相模原中学校通り
夕方
神様
渚
神様
渚
渚
渚
神様
神様
渚
神様
渚
渚
神様
神様
神様
渚
神様
神様
渚
渚
渚
──帰路へつき、角を曲がった時だった
不意に、私の横を風が吹き抜けた
渚
振り返ると
誰も、見えなかったが
焦げ茶色のツインテールが
風に揺られているのを、視た気がした
渚
渚
渚
渚
渚
そう思いながら、私は足を進めた
亜里沙の自宅
同刻
名部 亜里沙
妙に湿っぽい家の中からは
誰の返事も聞こえない
名部 亜里沙
名部 亜里沙
名部 亜里沙
名部 亜里沙
名部 亜里沙
名部 亜里沙
名部 亜里沙
ボクは、ギシギシとなる階段を
急ぎ足で駆け上って行った
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