凜
どういうこと……
怜央
凜さん?
怜央
顔色……悪いですよ
凜
ねぇ、怜央くん……この後って時間ある?
怜央
え、ま、まぁ……大丈夫っすよ
凜
一緒に、美月ちゃんの家に行かない?
怜央
その人が誰かわからないですけど……
怜央
凜さんの為なら
凜
ありがとう
焦りが胃の奥底で暴れまわっている。
どうなったの?
美月は、
美月は……!!
凜
あれよ、美月のマンション!!
怜央
キレイなとこっすね
凜
数年前に出来たばかりの新築よ!
凜
美月の金持ちさに驚いたのを覚えているわ!!
怜央
凜さん危ない!!
強い力で腕を引っ張られる。
ふわっと、落ち着く香りが安心感をもたらしてくれた。
凜
はぁ、はぁ、ど、どうしたの……急に、
凜
急に、抱きしめたりなんか、して……
怜央
ごめんなさい……凜さんを守れるのはこの方法しかなくて……
凜
え?
怜央
このままマンションを見ながら走っていったら盛大に転んでいたと思いますよ
怜央
この"人"に足を引っ掛けて……
凜
どういう……
怜央
酷い有様ですよ……刺し傷が無数に……
凜
ねえ、人って……
凜
人って、
凜
誰なのよ……
怜央
さあ、僕は分かりかねます。知らない人なので……
怜央
ただ、とてもキレイな女性、ですよ。
知ってる。
知ってた。
彼の行動を愛情と捉えたかった。
悲惨な状況から守ってくれているだけと、知っていたのに。
凜
うぅぅ……、、うう、、
凜
美月……
仲のいい友達は……最期まで可愛かった。