Stくんに稽古をつけてもらいはじめてから1ヶ月ほど経ち、
オレたちは今もなお彼の稽古を受け続けていた
St
お、Ktyも意識をまんべんなく配れるようになってきたね

St
守るべき主であるTgちゃんに意識の重きを置きつつ、
自分のダメージを最小限にとどめる動きができるようになってる

Kty
ありがとうございますっ!!

StくんはKtyちの成長を褒めたかと思うと、
今度はニヤリと笑ってPrーのすけに不意打ちを仕掛けた
Pr
!?

Pr
ちょ、いきなり危なくないですか!?

St
Prちゃんも成長してるね、ちゃんと避けれるようになってる

Pr
めちゃくちゃ苦手な範囲やったのですごい練習しました

St
見てればわかるよw

Stくんの指導を受けて、KtyちもPrーのすけもどんどん成長している
Ak
(でも、、、)

オレはどんなにStくんに教えてもらって練習しても、
なんだか他の仲間を頼れなくてあまり成長していなかった
Ak
(Stくんの教え方はすごくわかりやすいし、ちょっと大変だけど嫌じゃない)

Ak
(だけど、なんか周りを頼れないんだよね、、、)

Ak
(なんでだろ、)

Pr
(Ak、しんどそう、、、)

Pr
(俺、どうにかして力になれんかな、、、)

St
Prちゃーん、戦闘中に集中してなかったら不意を突かれるぞー?

Pr
あ、すみません!!

Stくんに教えてもらっているKtyちとPrーのすけを
オレがしばらく眺めていると、
それに気がついたStくんがオレに声をかけてくれた
St
Ak、どうかした?

St
なんかわからないところでもあった?

Ak
あ、えっと

Ak
その、、、

Ak
(どうやったら人を頼れるか、教えて欲しいけど)

Ak
(これはオレの問題だし、Stくんにいうことじゃないよね、、、)

このクセがいつからあるものかということなんて微塵も覚えてはいないが、
いつの間にかオレは周りの誰かを頼るということが苦手になっていた
自分の足で立たなきゃいけない、甘えてはいけない、迷惑かもしれない
そんな気持ちばかりが心の中をぐるぐると回ってしまって、
誰かに甘えたり弱みを見せたりしようとすると喉が張り付いて
動かなくなってしまう
Ak
あの、なんでもないです、、、

St
そっか、?

Stくんは相手の気持ちを察するのが苦手だと本人も言っているし、
何か要求があれば声に出して伝えてくれと頼まれている
その話を聞いた時は、言えばいいんだと思うけど、
いざ伝えようとするとやっぱり何も言えなくなってしまった
Ak
(まあ、オレのこの性格はStくんに限ったことじゃないけど、、、)

Pr
(……。)

St
(……。)

Kty
Stくん、ちょっとここのこと聞いてもいいですかっ!!

St
あ、はーい、今行くね

今日も今日とて稽古が終わり、
オレたちはそれぞれの部屋に戻って寝る支度をする
Pr
今日も疲れたなぁ、、、

Ak
そうだね

眠そうにあくびをするPrーのすけに笑って同意を示しながらも、
オレが考えているのは一向に上達しない自分の剣術に関することだった
Ak
(Stくんに、あんなに丁寧に教えてもらってるのに、、、)

Ak
(なんで、全然上達しないんだろ)

Ak
(そもそも、どうしてこの世にいくらでもいる
オレより強い人を差し置いて、オレが勇者なの、?)

Ak
(神様って意味わかんないなあ、w)

そんなことを考えているオレを見て、
Prーのすけは不安げに瞳を揺らしてこちらを見ている
Pr
Ak、

Ak
どうかした?

Pr
何か、あったん、?

昔からオレのことを知ってくれているPrーのすけなら、頼れるかもしれない
そんな期待が頭をよぎったけれど、いざ悩みを話そうとすると、
やっぱり舌が固まって動かなくなってしまった
Ak
(やっぱり、頼れないっ、!)

Ak
……なんでも、ないよ

Pr
……ほんま?

うん、ともいいえ、とも返さずに、オレは布団から立ち上がる
Ak
オレ、、、ちょっとトイレ行ってくるね

Pr
あ、Ak!?

驚いてオレの名前を呼ぶPrーのすけに背を向けて、
オレは部屋の扉を通って寝室を後にした
そのまま風にあたろうとStくんの家から出ると、
あたりに街灯がないからなのか夜空には満天の星が輝いていた
Ak
わ、綺麗!!

自分の悩みを全て忘れてしまうような美しい星空に
オレがしばらく見入っていると、後ろから声をかけられた
St
あれ、Akまだ起きてたの

Ak
Stくん、!

St
そんなびびんないでよ、怒ったりしないからさ

彼はそう言いながらオレの隣に立って、
手に持っていたグラスにお酒を注ぐ
Ak
大人だ、!!

St
未成年はまだ飲酒禁止ですよー?w

Ak
それはわかってますっ!!

オレの返事にStくんはふふっ、と笑みをこぼすと、
グラスに注がれた白ワインを一口飲む
St
ここの夜空、なかなか綺麗でしょ?

St
俺、この空見ながらお酒飲むの好きでさ、
ふとした時にこうやってぼーっと空見ながら晩酌してるんだよね

Ak
そうなんですね、、、

St
この夜空が綺麗だからこんな辺境に住んでるってのもあるけど

St
普通にClとの思い出もあるんだ

Ak
師匠との、?

St
そう

St
Akはさ、昔俺がClと2人で世界中を旅してたってのを知ってるよね

Ak
はい、師匠から聞きました

St
俺とあいつは同い年で、誕生日はClの方が早いから
二十歳になったのは俺が後だったんだけど

St
Clは俺が二十歳になるまでお酒飲むの待っててくれて、
俺の二十歳の誕生日に2人で初めてのお酒をこの夜空の下で飲んだんだ

Ak
へぇ、!

St
その後2人ともこの夜空が気に入っちゃって、
今でもたまにClが遊びに来て2人で飲んでる

Ak
だから、定期的に師匠は1ヶ月くらい
村にいない時があったのか、、、

St
そうそう、1ヶ月村を離れるときはだいたい俺のとこ来てるよw

St
しかもあいつ数週間くらい俺の家にバカンスだー、って泊まるしw

そう言って師匠のことを話すStくんはすごく楽しそうで、
師匠との長年の友情と絆を感じる
Ak
(お互いに、信頼しているし頼り合ってるんだろうな、、、)

St
俺ばっかり話しちゃってたけど、Akにも悩みがあるんでしょ?

Ak
え、どうしてそれを、、、

St
俺は人の気持ちを察するのが苦手なんだけど、
Akに関しては何もかもがClとそっくりすぎてなんかわかるんだよね

St
察するのは苦手でも一度経験したことは覚えているから

Ak
……。

St
Akは、、、自分は人にたくさん親切を振りまくくせに
自分が誰かを頼るのは苦手なんでしょ?

Ak
!!

St
Clもそうだったんだ

St
俺とClが初めて会ったのって、ちょっと困っていた俺に
Clが手を貸してくれた時なんだけど、、、

Ak
師匠っぽい、!

St
でしょ?w

St
そこで俺とClは仲良くなって、
気が合いすぎてもう2人で旅をしようってなった

St
最初の方は俺ばっかりClに親切にしてもらってて、
俺たちは本当の意味ではお互いを分かってなかったし、
簡単に言えば俺だけClに助けてもらってる状態だったんだけど

St
出会ってから一年経った頃だったかな、、、

St
Clの剣の軌道がいつもと違うことに気がついたんだよね

Ak
そうなんですか、?

St
うん、俺は察するのが苦手な分、その人の動きや剣の使い方で
その人の状態や特徴を判断する

St
だからこそ、なのかな

St
態度はいつも通りを貫いていたClの異変に気づけたのは

Ak
!!

St
当時Clには大きな悩みがあって、人を頼る必要性があった

St
でも、あいつは周りに善意を振り撒きすぎて
自分は人のことを頼るのがヘタクソになってたんだ

Ak
そう、なんですね、、、

St
俺は察するのが苦手だからAkが
なんでそうなったのかはわかんないけど、、、

St
Akも、同じなんでしょ?

Ak
え、、、

師匠みたいに立派な理由があるかどうかは別として、
人を頼るのが苦手で自分から言い出せないというのは確かにそうだ
ここで頷けばいいアドバイスを得られるかもしれないのに、
そうなんです、と認めるのはなんだか甘えてるようでやっぱり遠慮してしまう
Stくんは、そんなオレの反応すら予測していたように
優しく微笑んで、言葉の続きを話した
St
反応までClとそっくりw

St
これは、今までAkを観察して思ったこととClに関する経験から
俺がしたただの憶測に過ぎないけど、、、

St
なんだか誰かに甘えちゃいけない気がして、
うまく周りを頼れない

Ak
!!

St
自分1人の足で立たなきゃ行けないと思い込んでしまって、
自分の悩みや弱いところを誰かに見せるのを遠慮してしまう

Ak
……。

St
いざ悩みを話そうとすると、やっぱり喉や舌が動かなくなって
結局言葉にならない

Ak
あぅ、

St
自分が誰かを頼るのは、“迷惑”なことだと思っている

Ak
っ!!

図星すぎる相手の言葉にオレが言葉を詰まらせていると、
Stくんは少しイタズラっぽい笑顔を浮かべてこう尋ねてきた
St
図星?w

オレがまた固まってしまいそうな体に必死で抗って、
こくりとほんの少しだけ頷くと彼は、本当にClみたい、と笑っていた
St
それならアドバイスをあげよう

St
これは、Clの時にも言ったけど、、、

St
Akはさ、例えば、、、Mzが自分を頼ってきたら、どう思う?

Ak
助けてあげたい

St
Ktyや、Tgは?

Ak
力になりたい

St
Prちゃんは?

Ak
オレにできることならなんでもしてあげたい、、、

St
頼られると迷惑だなんて思った奴、いた?

Ak
そんなのいないよっ!!

St
なんで?

Ak
だって、大事な仲間だし、友達だから

St
そうだよね

St
向こうだって同じだよ

Ak
!!

St
Akのことを大事に思っているし、助けてあげたいと思っている

St
そうじゃなかったら、
海賊に襲われかけている君をわざわざ救ったりしないし

Ak
!!

St
もう分かった?

St
Akがみんなのことを大事にしていて助けてあげたいと
思っているように、みんなだってAkのことを大事にしていて
助けてあげたいと思っている

St
君に頼られるのを迷惑なんて思ってる人は1人もいないし、
むしろあいつらは頼ってもらえたら喜ぶんじゃないかな

Ak
……。

St
確かに、自分1人の足で立てるのはすごく立派なことだし、
周りに頼りっきりじゃいけないよ

St
でもさ、ずっと1人で立ってるとやっぱり寂しいし疲れてしまう

St
その疲れはやがて蓄積していって、君自身を壊していく

St
そんなことになったら、みんな悲しむよ

Ak
Stくんの言うこと、理解はしてるんですけど、、、

やっぱり、今まで何年も癖になっていたことを直すのは難しいし、
心のどこかで不安になってしまう
St
まあ、そうだよね

St
長年の間体に染みついている癖を治すのは本当に大変だよ、
現に俺もあんだけClに言われたのに気配を消す癖全然治ってないし

St
だから、俺がAkにしてあげられるのはここまで

Ak
え、?

St
Akの癖をぶち壊すのは、俺よりずっと適任の人がいるから

Stくんはにこりと含みのある笑顔を浮かべると、
少し開いている家のドアに向かって話しかけた
St
ね、さっきからずーっと盗み聞きしてるPrちゃん?w

Pr
……ムスー

Stくんの視線が向かう先には、
少し不満げにこちらを見つめてるPrーのすけがいた
Ak
わっ、Prーのすけっ!?

St
そんなほっぺふくらませててもわかんないよー、
Akは鈍感なんだからw

Pr
別に変な意味やないし!!///

St
どーだかw

Ak
ぷ、Prーのすけ、、、

Pr
……どしたん、Ak

Ak
い、いつから聞いてたの、?

Pr
StくんがClくんとお酒飲んだことについて話してた時

Ak
ほとんど最初じゃんっ!!

St
俺はすぐに気がついたけどねw

Ak
明日も早いんだからちゃんと寝なきゃダメだよぉ!!

Pr
Akが言えたことやないやろ!!

Ak
た、確かに、、、

St
www

St
Prちゃん、せっかくずっと会いたかった幼馴染が
そばにいるんだから素直になんなきゃダメでしょw

Pr
だってぇ、、、

St
あははっ、若いっていいねぇw

St
俺が手助けしてあげられるのはここまでだから、
あとはAkが自分自身でなんとかするべきだよ

Ak
……。

St
それじゃあPrちゃん、あとは任せた

Pr
え、でも、俺、、、

St
大丈夫だよ、きっとAkの心が無意識に作っている壁を
ぶち壊せるのはPrちゃんだけだから

St
俺はそろそろ寝ようかなぁ、一杯飲み終わったし

そう言いながらStくんは空っぽのグラスと
まだ中身の残った白ワインの瓶を持って、
先ほどまで立っていた場所から家に向かって歩き出した
St
あ、そうだ2人とも

Ak
?

Pr
どうかしました?

St
明日の朝は特別に寝坊しても許してあげるから、
ちゃーんとお互いに話し合いなよ

Ak
!!

Pr
!!

St
じゃ、また明日

それだけ言い残して、師匠の親友で世界一強い剣士である男は、
家の中へと戻っていく
その場に沈黙が落ちたが、数分後にPrーのすけが口を開いた
Pr
……とりあえず、部屋に戻らん?

Ak
そ、そだね、、、
