私の恋人は
魔女に殺されました
馬鹿なことを言っていると 思うでしょう
しかし本当です
そしてこの手紙が 人の目に触れているということは
私も魔女に殺されたのでしょう
ここから先に書いてあることは
私が死ぬまでに調べたことです
これを読み終えたら
アナタが魔女を追ってください
これから先 魔女によって 人が殺されることを
必ず防いでください
あの手紙を読んだ日から
こうなることが 決まっていたのかもしれない
「怖い」
「辛い」
「嫌だ」
そんな言葉達が頭に浮かぶ
だけど体は引き返そうとしなかった
目的の場所へ自然と足が動く
止める気もなかった
昼間の喧騒が嘘のように
夜の学校は静まり返っている
自分の足音がやけに大きく感じられる
いつもの見慣れた校舎が
何故か酷く恋しくなる
優しかった友達
お世話になった先生達
もう会えないのだと思うと
とても寂しくなった
冬原くんは私を止めた
「俺が行きます」
そう言ってくれたのが嬉しかった
でも断った
彼に死んで欲しくなかった
久世さんは優しく見送ってくれた
「君が選んだ道なら」
最後までよく分からない人だったけど
良い人だった
「自分は幸せ者だなぁ」と 心の底から思う
冬原くんから貰った鍵で
屋上の扉はすぐに開いた
重たい扉を動かし足を踏み入れる
ぬるい夜の風が 私の頬を優しく撫でた
紗奈
手紙を書いた
部屋を片付けた
紗奈
紗奈
私はフェンスを乗り越える
ある程度の覚悟はできた
そっとスカートのポケットの中の 手紙を触る
紗奈
紗奈
紗奈
涙を拭い目を瞑る
瞼の裏に 姉の姿が浮かぶ
紗奈
後悔がないと言えば嘘になるけど
もう
死んでも大丈夫だ
そして
私は
そっと
足を踏み出した
To be continued
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