俺がマップで示されたネカフェの扉を開けると、
店員さんがニコッと笑って挨拶をしてくれた
Kty
いらっしゃいませ、、、って

Pr
は!?Kty!?

Pr
なんでこんなところにおるん!?

Kty
いやいや、Prちゃんこそなんでここにいんの!?

Kty
Prちゃんが住んでるところ、ここから学校挟んで反対側でしょ、?

Pr
それは、、、まあ、色々あって

Kty
……Mzちと喧嘩したの?

Pr
……違う

Ktyが放った『喧嘩』という言葉に
At兄の傷ついたような顔を思い出し、俺は今更ながらに
自分がどれだけ大好きな兄に酷いことをしたのだろうと思い知る
Pr
おにーちゃんと、けんかしてもーた、、、

Kty
お兄ちゃん、ってことは

Kty
Mzちの彼氏さん?

Pr
……うん

Pr
だから、、、今日は帰りたくなくて

Kty
うーん、気持ちはめちゃくちゃわかるけど、、、

Kty
一応店のルールで18歳未満の人は宿泊禁止なんだよね、、、

Pr
……まあ、普通はそうやんな

Kty
でもPrちゃんがあんなに大好きなお兄さんと
家に帰りたくなくなるほど喧嘩したってことは
今ここを追い出されても帰らないでどっか適当に泊まるんでしょ?

Pr
なんでバレたん

Kty
何年も友達していればわかるよw

Kty
どうしようかなあ、
Prちゃん帰らないって決めたら公園で野宿になろうが関係無しに
家に帰らないでその辺で寝そうだもんな、、、

Pr
お前の中の俺どんだけ帰りたくないねんw

Kty
でもそうでしょ?

Pr
……まーな

Kty
僕の家は一人暮らしで
Prちゃんを泊めれるほど広くないんだよなあ、、、

Ktyがどうしようかなとぶつぶつ言いながら考え事をしていると、
奥から小柄な可愛らしい見覚えのある男性が現れた
Tg
Kty、どうかした?

Tg
お客さんトラブル?

Pr
(この前Ktyとデートしとった人や、、、)

Kty
あ、Tg先輩っ!!

Kty
違うんですよ、知り合いなんですけど、、、

Ktyが事情を説明すると、なるほどね、と言って
Tg先輩と呼ばれた青年がこちらを見て驚いたように目を見開いた
Tg
あれ、君もしかしてAtくんの弟くん?

Pr
え、あ、はいっ!!そうですっ!!

この前Mzとショッピングモールでストーカーした時に
AkとAt兄が彼を追跡していたから、俺は彼が兄の知り合いであることを
知っていたが、どうして彼は俺がわかったんだろう
Pr
えと、なんで知っとるんですか、?

Tg
あんだけAtくんにもAkにも
めちゃくちゃ可愛いんだよって語られてたら
どんなに記憶力が低い人でも流石に覚えるって

Pr
え、At兄は想像できますけど

Kty
(想像できるんだ、、、)

Pr
なんでAkが俺のこと語っとるんですかっ!?

Pr
俺はただのあいつの幼馴染の弟で、あいつの弟の幼馴染なのに、、、

Tg
……案外、それだけじゃないかもよ

Pr
え、どゆこと、?

Tg
Kty、この子さえ良ければおれの家に泊めようか?

Kty
えっ、いいんですかっっ!?

Kty
Prちゃん、実はTg先輩って
ここのネカフェの経営者の息子さんなんだよ

Pr
えっ、、、そうだったん!?

Tg
そーだよ、小遣い稼ぎに親の手伝いしてんのw

Tg
今日はおれも夜番ないし、家ならすぐ裏にあるから泊まりなよ

Tg
お父さんとお母さんは今二人で旅行中だから

Pr
仲良しなんですね、、、

Tg
ほんとだよ、おれがいるのに
普通にイチャイチャしてるんだからw

Kty
Prちゃん、Tg先輩ならいい人だし大丈夫だと思うよっ!!

Pr
まあ、Ktyが言うならそうなんやろうな、、、

Pr
それじゃあ、、、お願いしてもいいですか?

Tg
もちろんっっ!!

キラキラ輝かんばかりの笑顔を振りまいている彼に、
今更ながらに『Ktyが好きそうな人やな』と思った
Pr
お邪魔します、、、

Tg
はーい、どうぞ!!

Tgさんが俺を泊まらせてくれると発言した数時間後、
俺はTgさんのバイト終わりまで待機した後彼と一緒に家に向かい、
ぺこりとお辞儀して彼の家に上がらせていただいた
Tg
夕飯とかは大丈夫?

Pr
はいっ、待っている間にコンビニパン食べたので、、、

Tg
りょーかい、じゃあ準備はいらないか

そう言って彼は棚からコップを取り出し、冷蔵庫からオレンジジュースも出す
Tg
Prちゃんが好きなの、甘いやつだよね?

Pr
え、なんで知ってるんですか、?

Tg
Atくんがいっつも話してるからだよ

Tg
『俺の弟は甘いオレンジジュースが好きだから、
苦いジュースを渡すとむっと膨れっ面して可愛い。本当に天使』
っていっつもおれとAkに言ってるよw

Pr
なんやあいつ恥ずかしい、、、///

Tg
www

Tgさんは少し照れている俺を見てころころと楽しそうに笑いながら、
ことんとコップ一杯のオレンジジュースを俺の前に置いてくれた
そしてTgさんはもう一つのコップに
オレンジジュースをコップのふちスレスレまで入れ、
ごくごくと可愛らしく飲んでぷはっと息をする
Tg
おれもね、オレンジジュースは甘いやつが好き

Pr
大人でも、甘いのが好きな人っておるんや、、、

Tg
確かにAkはあんまり甘い飲み物のイメージないけど、
Atくんは実は案外甘党なんだよ?

Pr
……え、そうなんですか?

Tg
確か果糖ミルクコーヒーを買ってきてくれってAkに頼んだのに
Akがわざと無糖のブラックコーヒー買ってきて
『飲めない、、、』ってAtくんが涙目になってたこともあったなあ

Pr
At兄、ブラックコーヒーとか
余裕で飲んでそうな顔しとるのに飲めないんか、、、

Tg
ほんとだよね、おれも最初びっくりしちゃった

Pr
でも、、、そういう意外な魅力がみんなを惹きつけるんやろうな

俺の言葉を聞いてTgさんは少し不思議そうな顔をしたが、
途中で何かを察したかのように優しくにこりと笑う
Tg
やっぱり、Akのこと?

Pr
うぇ!?///

Pr
なんで、

Tg
おれは、、、中学生の頃から二人と友達で、
二人のいろんなことを見てきたから

Tg
Akの恋心も知ってたんだよね

Pr
そう、なんですね

Pr
そりゃAkもMzもあいつを好きになるのはわかりますよ、
At兄ってかっこよくてなんでもできるのに
たまにどこか抜けてて可愛くて

Pr
それを計算じゃなくて天然でやってのけて、
周りの人の心をぎゅっと鷲掴みして離さない

Pr
俺がMzを好きだろうと、Akを好きだろうと、
結局どっちにしろ二人ともAt兄のことが好きなんや

Tg
……Prちゃんは、昔はAtくんのカノジョさんが好きだったの?

Pr
はい、昔は好きでした

Pr
今は、、、Akの方が好きやけど

Pr
最近Akの視線をどうにかこっちに向けられないかって
いろんな恋愛方法を試したり、少しはあざとくやってみたりも
したんですけど、結局効果は全然なくて

Tg
……本当にそうかな?

Pr
え、?

Tg
Prちゃんはさ、さっきおれが店の方で話した
おれがPrちゃんを知っている理由思い出せる?

Pr
Tgさんが俺を知っている理由、ですか?

Tg
うん、そうだよ

ニコニコと優しい笑顔を浮かべながら
俺を見守っている彼を見ながら、俺は記憶の糸を必死で手繰り寄せて
先ほどのTgさんとの会話を思い出そうとする
Pr
えっと、確か、、、
At兄とAkがよく俺の話をしとるから、でしたよね?

Tg
正解だよ、おれは確かにそう答えた

Tg
昔っからね、Akってばわかりやすくて、
好きな人のいないところでその人の話をたくさんするんだよ

Tg
おれが中学・高校・大学と二人と交流を重ねていく中で、
おれとAkが二人きりの時の会話の話題はもっぱらAtくんのことだった

Tg
でも最近、、、彼はAtくんの前でも好きな人の話をするようになった

Tg
これの意味するところが何かわかる?

Pr
At兄に自分以外の恋人ができたからヤケクソになった、?

混乱して頓珍漢な回答をした俺にTgさんは楽しそうに笑い、
『違うよ』と俺の言葉をはっきりと否定してから答える
Tg
Akの好きな人は、Atくんじゃなくなったんだよ

Pr
え、?

Tg
もう一度聞くよ?

Tg
おれがPrちゃんのことを知っていたのは、
Atくんと“誰”がよくPrちゃんの話をしているからだっけ?

誰、のところをわざわざ強調したTgさんに
俺は彼が何を言わんとしているか理解した
しかし、いくらなんでも流石に予想外すぎるし
自分の一番の欲望をそのまま言葉にしたようなものだから、
俺の脳は処理できなくて俺も一緒に固まる
もしかして、という期待が頭をよぎったが、
そんなことありえないので俺はブンブンと首を振った
Pr
からかわんといてくださいっ!!

Pr
だって、、、Akが好きなのは俺やなくてAt兄やもん!!

Pr
だから、だからこの関係を終わらせようなんて言ってきたんや!!

Pr
だって、せっかく好きなやつとヤれるのに
それを拒絶する意味がわからんっっ!!

思わず生々しいことを言ってしまったことに気がついた俺は、
ハッとして慌てて口を押さえるが吐き出してしまった言葉は戻ってこない
Pr
ごめんなさいTgさん、こんな生々しい、、、

Tg
大丈夫だよ、気にしないで

Tg
Prちゃんが混乱しているのは知ってるし、
AkとPrちゃんがどんな関係なのかも、、、知ってるから

Pr
え、なんで知ってるんですか、?

Tg
あ、Akが言いふらしてたわけじゃないよ?

Pr
そんなんわかっとります、だから余計意味がわからんくて

Tg
実は今日、、、AtくんとAkの会話聞いちゃったんだよね

Pr
……やっぱりAt兄が関係しとるんか

Tg
まあ、関係してないって言ったら嘘になるけど、、、

Tg
多分、その“関係”はPrちゃんの予想とは180度正反対だと思う

Pr
どゆこと、?

Tg
Akは多分自分から話したがらない、
Atくんもおそらく言おうと思っても言い出せない

Tg
だからおれから話すけど、、、

彼はすうっと大きく息を吸い込んだ後はあっと息を吐いて、
オレの瞳をその美しい千草色の双眸で覗き込みながら言った
Pr
へ、?

Tg
今からおれが二人の会話を聞いて知ったことを話すけど、
きっとAkがPrちゃんから離れた理由は君には理解し難いと思う

Tg
Atくんだってびっくりするくらい
予想外の反応だったから、いろんな疑問が
湧いてくるとは思うんだけどとりあえず聞いてもらえる?

Pr
……わかりました

俺の返答を聞いたTgさんは『ありがと』と言って柔らかく微笑むと、
今日At兄とAkが話したことを伝えてくれた
Tg
まずは、Akくんが離れたきっかけは君の予想通りAtくんだよ

Tg
でもね、その根本的な理由はAtくんじゃない

Pr
それは、どういう、、、

俺の疑問にTgさんはニコッと笑って人差し指を自身の唇の前に持ってきて、
内緒話をするようなヒソヒソとした声で説明してくれる
Tg
今日ね、AtくんがAkにとある質問をしたの

Tg
彼としてはただ単に自分の弟の想い人が
ちゃんと君を好きか確認したかったんだと思うけど、、、

Tg
それがAkに余計なことぐちゃぐちゃ考えさせちゃった

Tg
その質問は、確か、、、

Tg
だったかな、、、

Pr
……なんでそんなこと

Tg
きっとAtくんは、
思春期の男の子にとって濃厚な身体的接触が
どれだけその恋心を揺らすものなのかわかってたんじゃないかな

Tg
だから、AkにPrちゃんへの恋愛感情がないなら
君に期待させるようなことをやめてほしいって言おうとしたんだと思う

Pr
そんなんほっとけばええのに、俺はもうガキじゃない

そう言ってむくれた俺をみてTgさんは笑い、
優しい声で彼自身の予想を返してくれる
Tg
Atくんにとっては、きっとPrちゃんは
いつまで経っても一生懸命自分の後を
とてとて頑張って歩いていた幼い子供のままなんだと思うよ

Pr
こんなでっかい子供がいてたまるか

Tg
www

Tg
それでね、そのAtくんの言葉に対してAkはこう返したの

Tgさんはその時の光景を思い出すかのように優しく目を閉じて、
Akが言っていたと言う言葉を並べていく
Tg
『オレはPrーのすけが好きだよ、それは絶対』

Tg
『でもね、まだこの気持ちが
Atの期待に応えられるほどのものだとは思えない』

Tg
『Prーのすけを絶対に幸せにするだなんて、無責任に言えない』

Tg
『だから、離れる』

Pr
……。

Tg
『Prーのすけは本当に素敵な人だよ、
彼を好きになってくれる人はきっとこの世にいくらでもいる』

Tg
『きっと、オレより自信を持って
Prーのすけを幸せにすると言い切れる人だっていると思う』

Tg
『本当は嫌だし、オレじゃないやつと
Prーのすけが付き合ってるのを想像したら辛くなるけど』

Tg
『それ以上に、彼が嬉しそうに笑っている未来の方が大事だと思った』

Tg
『こんな不安定な状態のオレが
あの子の気持ちをぐちゃぐちゃにすることなんて
絶対にやりたくないと思った』

Tg
……だってさ

Pr
なんやあいつ、めちゃくちゃどアホやんっっ、!!

Tg
ほんとだよね、w

Akの決断が気に食わなくて、
でもそれだけ大切に思ってくれているということが
びっくりするくらい嬉しくて、俺はボロボロと溢れる涙が抑えきれない
そんな俺をみて優しく笑ったTgさんが、
俺の頭をよしよしと撫でながらこんなことを言ってきた
Tg
あのね、Prちゃん

Tg
今から大事なことを話すから聞いて

Pr
?

Tg
大人ってね、実は案外バカなんだ

Tg
自分の感情をコントロールして、
自分のやりたいことや欲しい物を時には諦めて、
本当は泣いているのに表面上は笑いながら生きようとする

Tg
それは社会では必須のスキルだし表面上の付き合いには
うまく作用してくれるけど、それが必ずしも
誰にでも適切な接し方、というわけではない

Pr
……そうなん?

Tg
そうだよ

Tg
例えば想像してご覧よ、
Atくんが仮にカノジョさんと喧嘩したとして

Tg
Prちゃんに『彼と喧嘩してしんどい、すごく不安』っていう
泣いている心を見せてくれなかったら、君はどう思う?

Pr
……いやだ、俺ら兄弟なんやから頼ればええのにって思う

Tg
でしょ?

Pr
でもAt兄は多分俺が
『頼ってくれるAt兄のほうが好き』って言ったら
めちゃくちゃなんでも報告してきそうでだるいわ

Tg
www

俺の言葉に爆笑したTgさんは目に涙をいっぱい溜めた後、
まだ落ち着かない呼吸を整えながら目尻を拭って
『それでね』と話を続けていく
Tg
こんなふうに、誰にでも建前で関わって
本音をずっと閉じ込めてると、たまに本当に大切な人に
距離を感じさせちゃったり悲しませちゃったりするんだ

Tg
それは時に、将来かけがえのない関係になるはずだった
相手との繋がりを壊してしまいかねない

Tg
ちょうど、今のAkみたいに

Pr
……。

Tg
子供はね、親のしがらみや勉強が嫌で、
自由のきかない生活に反抗して

Tg
『早くかっこいい大人になるんだ』って光り輝く将来や
これからやってくるワクワクした未来を夢見ながら
自分を磨いて大人になる準備をする

Tg
それを素直に表現するから単純だし、
余計なことをぐちゃぐちゃ考えない子が多いから
行動は予測しやすい

Tg
つまり、良く言えば無垢で悪く言えば騙されやすい

Tgさんは子供時代の自分を思い出しているのか、
どこか遠くの方を見つめながら言葉を紡ぎ続ける
Tg
でも、いざ大人になってみれば、
結局大人になったところで
いろんな問題がついて来るのは変わらなくて

Tg
『子供の頃は良かったな』だなんて遠い過去を夢に見ながら
“将来”や“未来”のプレッシャーで潰れそうになりながらも
自分に適した仮面を見つけてそれを被りながら生きていく

Tg
彼らは子供の頃と比べたら騙されない方法や
問題の解決策を知っているけれど、
活き活きとした感情表現をいつの間にか忘れてる人も多いんだ

Tg
つまり、良く言えば現実的で悪く言えば淡白で疲れやすい

Tg
こうして並べてみると
どっちの方が絶対的にいいとは必ずしも言えなくて、
大人の方が生きやすいけど子供の方が幸せだよね

Tg
まあ、それはあくまでおれの考えであって、
家庭事情やその人自身の環境によっても変わってくるけど、、、

Pr
そう、ですね

彼の言葉に相槌を打った俺にTgさんは優しく微笑み、
『でもね』とおそらく本題であろうことを話し始める
Tg
そのどっちのいいところも持ってる年代があるんだ

Pr
え、?

Tg
それが、“君達”ティーンエイジャーだよ

Tg
大人ほど世の中の闇や汚いところを知っているわけじゃない、
子供ほど無知で無垢で騙されやすいわけじゃない

Tg
彼らは大人になる予行練習のような段階にいて、
思春期の子たちにはいろんな問題が降ってかかるし
社会で生きていく素質を確かめられるよね

Tg
でもね、彼らはまだあくまで“子供”という期間から
出てきたばかりという状況だから、
まだ感情が豊かで表現も大人より素直

Tg
子供の時より経験も多いから賢くて、不要で余計な問題を避けやすい

Pr
……。

Tg
これに関して話すのはこれくらいにしておくけど、
おれが君に伝えたいのは“感情表現がまだ豊か”ってことだよ

幼い子供を諭すような目をしているTgさんの声音は
柔らかいのに芯が強くて、俺に何か大切なことを
伝えようとしているということが伝わってくる
Tg
大人にも子供にも共通点があるんだよ、それも教えておくね

Tg
大人も子供も思春期の子達も、みんな一緒

みーんなみーんな、より良い未来のために、
自分の欲しい未来のために、あがいてる。
Pr
!!

Tg
おれにとっての欲しい未来は、おれの隣でKtyが笑ってる未来

Tg
だから、頑張って会話を繋ぐし困ってたら助けてあげる

俺は、ショッピングモールでストーカーをした時に
AkとAt兄が言ってた『後輩くんと話繋ごうとして必死』という言葉や
先ほど店でKtyに対応した時の優しい顔を思い出していた
Tg
Atくんにとっての欲しい未来はきっと、
カノジョも弟も幼馴染も、みんなが楽しそうに笑ってる未来

Tg
彼はそれなりに自分に自信があるから、
自分が誰よりもカノジョくんを幸せにできると思って口説いたし、
PrちゃんやAkの背中を押したくて言葉を口にしたんだよね

Tg
彼だって完璧じゃないから、それがここまで二人を拗らせちゃったけど

俺は、MzからAt兄の告白を聞いた時に微かに抱いた
『At兄にしては珍しく衝動的な行動だな』という違和感と、
俺が『大嫌い』と言ったときの心の底から傷ついたような、
でも申し訳なさそうな表情を思い出していた
Tg
Akにとっての欲しい未来はきっと、
Prちゃんが誰よりも幸せそうに笑っている未来

Tg
だからこそ、Atくんほど自信のない彼は
自分から離れようとしたし、Prちゃんの心を
ぐちゃぐちゃにしたくなくてそういう関係をやめたんだと思う

Tg
でも多分、彼は今頃自分でもわからないくらい後悔してると思うよ

俺は、俺を何よりも大切そうに眺めているAkの優しい視線と、
俺に『この関係をやめよう』と言ってきたときに彼の瞳に揺れていた
“恋するあの子”のことを考えている時の光を思い出していた
Tg
Prちゃん、君が欲しい未来は何?

Tg
そのために、“感情表現がまだ豊か”な君ができることは?

Tg
その答えは、おれが言わなくてもきっとPrちゃんにはわかってるよね

俺は当たり前だ、と言葉の代わりに仕草で伝えるように強く頷き、
椅子を引いて立ち上がってTgさんの目を見ながら言う
Pr
……Tgさん、俺明日Akと話さなあかん

Pr
そして、、、At兄とも

Tg
……そうだね、それがいい

Tg
それじゃあ明日に備えて、今日はもう寝ないとダメだよ?

Pr
……はい

Tgさんが貸してくれると言う部屋に向かって歩きながら
居間の扉を開けた時、俺はもう一度振り返って
深々とKtyの最愛の人にお辞儀をする
Pr
本当に、本当に、ありがとうございます

Tg
いいんだよ、ゆっくり休んで

愛らしい笑顔を浮かべながらふりふりと俺に手を降っている彼を見て、
やっぱりKtyが好きそうな人だと思いながら俺は居間を後にした