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「泣くことは弱いことじゃない」 って言葉すごく好きでした!! 続きを楽しみにしてます!
図書館の床に落ちた本を、
橘遥樹は静かに見つめていた。
その表紙にははっきりと書かれている。
『橘遥樹』
橘遥樹 タチバナハルキ
遥樹の声が、少し低くなる。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は答えられなかった。
この図書館に並ぶ本は、
すべて誰かの涙から生まれたもの。
嬉しくて泣いた日。
悲しくて泣いた日。
誰にも見せなかった感情。
その瞬間が、本になる。
でも_____
橘遥樹 タチバナハルキ
さっき遥樹が言った言葉が、
桜月の頭の中で静かに響く。
泣いたことがない人の本は、
ここには届かないはずだった。
それなのに、
桜月はゆっくり遥樹の方へ歩く。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
遥樹は視線を上げた。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月はそっと本を拾い上げる。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
静かな声で続ける。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
遥樹は少し驚いた顔をした。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は小さく頷く。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
本を胸の前で抱える。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
遥樹が少し考えた後、小さく笑った。
橘遥樹 タチバナハルキ
雨嶺桜月 アマミネサツキ
橘遥樹 タチバナハルキ
冗談みたいな口調だった。
でもその目は、どこか少しだけ 寂しそうだった。
桜月は本を本棚に戻す。
『橘遥樹』
その名前の本は、
まだ新しい本棚に置かれた。
遥樹はそれをじっと見ていた。
橘遥樹 タチバナハルキ
ぽつりと呟く。
橘遥樹 タチバナハルキ
桜月は少しだけ考えてから言った。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
遥樹は首を傾げる。
雨嶺桜月 アマミネサツキ
雨嶺桜月 アマミネサツキ
遥樹はしばらく黙っていた。
そして小さく言った。
橘遥樹 タチバナハルキ
窓の外を見る。
雨はまだ降っている。
橘遥樹 タチバナハルキ
橘遥樹 タチバナハルキ
その言葉は、静かな図書館の中でゆっくり響いた。
桜月は何も言わなかった。
この図書館には、たくさんの涙がある。
強い人の涙。
優しい人の涙。
誰にも見せなかった涙。
泣くことは、
弱いことじゃない。
でもそれを、
今ここで言うことができなかった。
その時だった。
桜月の視線が、ある棚で止まる。
そこには、もう一冊の本があった。
『雨嶺桜月』
自分の名前の本。
まだ生きているはずの、
自分の人生の本。
桜月はその本を見つめる。
すると_____
表紙の端から、
新しい文字がゆっくりと浮かび上がる。
桜月の胸がわずかに揺れる。
そこには、こう書かれていた。
「その日、 図書館に一人の少年が迷い込んだ。」
桜月は息を止めた。
ページはまだ開いていないのに。
本は、
"今この瞬間を書いている"
桜月はゆっくりと顔を上げる。
窓の近くで、
遥樹は雨を眺めている。
その背中は、
どこか少しだけ寂しそうだった。
雨は、まだ静かに降っていた。