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ひきこもりの僕は秘密の地下室で君に手錠をかける

ひきこもりの僕は秘密の地下室で君に手錠をかける

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ひきこもりの僕は秘密の地下室で君に手錠をかける 第1話

♥

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2020年12月30日

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真理亜

(ここが今回依頼された場所…)

真理亜

(こんな大きなお屋敷に)

真理亜

(高1の男の子が1人で3年間も引きこもっているなんて…!)

真理亜

(サイコフル・フレンドのアルバイトも、もう3件目で少し慣れてきたし)

真理亜

(今回も頑張ろう!!)

「サイコフル・フレンド派遣事業」は

不登校やひきこもりの青少年に対して

真理亜のような大学生くらいの若者が 兄・姉・友のような役割で関わり

再登校や社会的自立を促している

真理亜

(今回、担当する高1のルイ君は)

真理亜

(中高一貫校に通っていたけど)

真理亜

(4年前に父親が浮気して家を出て離婚)

真理亜

(3年前に今度は母親に恋人ができて)

真理亜

(子供を置き去りにして家出したって…)

真理亜

(子供は男の子が2人だけど)

真理亜

(親が出て行ってしまってから、お兄さんの方は行方不明になって…)

真理亜

(今、ここにいるのはルイ君だけだって聞いたけど…)

ピンポーン!!

真理亜

(…応答ないな)

真理亜

(でも、なんか走ってる足音は聞こえる…)

真理亜

(鍵かかってるかな…)

試しにドアノブを回してみる

──ガチャッ!

真理亜

あっ、開いた!

真理亜

(もしかして、開けてくれたのかな)

真理亜

(今日、私がここに来ることは)

真理亜

(事務所が手紙で連絡してるはずだし)

真理亜

(入らせてもらってもいいよね?)

真理亜

(わぁ!中も豪華だし、広い!)

真理亜

ルイ君、どこにいるの~?

真理亜はルイを探して屋敷内を回る

真理亜

(ん~見つからないな…)

真理亜

(だけど、人の気配は感じる)

真理亜

(あ、ここはキッチンか)

真理亜

(うわ…!)

缶詰・レトルト食品・インスタントラーメンなどの 空き容器が山積みになっていた

真理亜

(この様子だと、まともな食事をしてないな)

真理亜

(高1の男の子の一人暮らしだもん)

真理亜

(こうなるのも無理ないか)

真理亜

(──あ!いいこと思いついちゃった!)

真理亜

(でも、材料が必要だな…)

真理亜

(明日、買ってきて試してみよう)

真理亜

ルイくーん!明日もまた来るからね!

呼びかけてみても、返事はない

真理亜

(でも、近くにいる気配は感じる…)

真理亜

(私、諦めないからね!)

翌日、大学終了後に食材を持って訪問し

様々な料理を作って、匂いで誘いだそうと試みる

真理亜

(よっし!ステーキ焼くぞ!)

ジュー、ジュー

真理亜

(これで出てきてくれないかな…)

ガタッ!!

真理亜

(──えっ!?)

背後で物音がして、とっさに振り返る

真理亜

ルイ君!?

ダッと廊下を走り去っていく気配を感じる

真理亜

(これは、大チャンス!!)

急いでステーキのお皿をテーブルに置き、物陰に隠れる

真理亜

(お願い!ルイ君、戻ってきて)

カタッ…

おずおずと辺りの様子をうかがいながら テーブルに少年が近づいてくる

真理亜

(やった!食べてくれてる!!)

物陰に隠れたまま、ルイの様子をそっと見守る

真理亜

(髪がボサボサで顔が見えない…)

真理亜

(けっこう背は高いんだな)

真理亜

(服も汚れてシワだらけ…)

真理亜

(だけど、病気とかケガとかは無さそうで良かった!)

その時、不意に、背後から強い視線を感じた

真理亜

(──!?)

真理亜

(なんだろ、誰かに見られてるような…)

真理亜

(でも、この家にはルイ君しかいないはず)

真理亜

(きっと気のせいだよね…?)

翌日以降も、真理亜は料理を作り続けた

彼女が危害を加えないことに安心したのか ルイも過度に逃げることはなくなっていった

真理亜

(今日こそ思い切って話しかけてみよう)

真理亜

…あの、ルイ君

ルイ

…ッ!!

ピザを頬張ったまま、ルイの肩がビクッと震える

真理亜

ごめん!驚かすつもりじゃなくって…!

真理亜

ただ、ちょっと話してみたかっただけ

ルイ

…………

真理亜

えっと…ピザ、好き?

ルイ

…まぁ

真理亜

(わぁ~!!答えてくれたっ!)

真理亜

ね、ルイ君の大好物ってなに?

ルイ

…………

真理亜

教えて?作りたいんだ

ルイ

…オムライス

真理亜

(やった!会話が成立した!!)

その時、また背後に強い視線を感じた

真理亜

(──また、あの視線!!)

振り返った瞬間、気配は消え去った

真理亜

(…なんだか気味悪いな…)

毎日、放課後にルイの家に通ううち 2人は仲良くなっていった

真理亜

ね、ルイ君。ひとつ提案なんだけど

真理亜

髪の毛、カットさせてくれないかな?

ルイ

…えっ!?

真理亜

前髪が顔にかかって、前が見えにくそうだし

真理亜

シャワーで、髪洗ってきてくれたら嬉しいな

ルイ

…めんどい

真理亜

その間にオムライス作っとくから!

ルイ

…なら

真理亜

ありがと、ルイ君!

ルイ

…いや、髪、僕も鬱陶しかったから…

シャワーを浴びてサッパリしたルイを 洗濯した清潔な服に着替えさせ

自己流ながらも真理亜は彼の髪をカットする

真理亜

わぁ…!

身綺麗になったルイは 見違えるような美少年だった

真理亜

ルイ君って、かっこいいんだね!!

ルイ

…えっ!?

真理亜

学校に行ったら、きっと女の子にモテモテだと思う!

ルイ

…学校なんて、行く気ないし

ルイ

行く意味もない

ムッとしながらも、ルイは少し照れている

真理亜

でも…勉強、遅れちゃうよ?

ルイ

勉強ならちゃんとしてる

真理亜

(そうは言っても、3年も学校に行ってないんだもん)

真理亜

(学習の遅れが心配だよ)

真理亜

(せめて私にできる範囲でサポートしたい!)

真理亜

試しに、高1のこの問題、解いてみて?

ルイ

…こんなの簡単だよ

ルイは、スラスラと数学の問題を解いていく

真理亜

(すごい!私よりずっと早い!)

真理亜

じゃ、英語を…

ルイ

これも簡単

ルイは理系も文系も難なくこなしてしまう

真理亜

ルイ君、ほんとにすごいね!!

真理亜

ひとりでこんなに解けるようになったの?

ルイ

…うん、まあ

真理亜

驚いたなぁ!塾に行ってるわけでもないよね?

ルイ

何年も外に出てないのに、行くわけない

真理亜

でも、そんなに外に出てなかったら

真理亜

買い物とかだって不便でしょ?

ルイ

ネットでなんだって買えるし

真理亜

(だけど、買うお金はどうしてるのかな?)

真理亜

(…さすがに生活費ぐらいは、ご両親が面倒みてくれてるんだよね?)

そんなある日──

真理亜

じゃ、ルイ君、また明日ね!

ルイ

…また帰っちゃうの?

真理亜

えっ?どういう意味?

ルイ

…真理亜が帰っちゃった後が寂しすぎるんだ

ルイ

その…泊まっていってほしい

真理亜

え、いいの!?嬉しいよ!

真理亜

(あんなに私のこと避けてたルイくんが…!)

真理亜

(これは断るわけにはいかないでしょ!)

真理亜

わかった、今夜は泊まらせてもらうね

その晩は、真理亜が腕を振るった夕食を囲んで

2人は和やかな時間を過ごした

深夜──

コンッ、コンッ!

真理亜

(…う…ん?こんな時間になに…?)

ガチャッ…と、遠慮がちにドアが開いた

ルイ

真理亜、もう寝ちゃった?

真理亜

ううん、起きてるよ

真理亜

でも、こんな夜中にどうしたの?

真理亜はルイに借りたパジャマ姿で 驚いてベッドから起き上がる

ルイ

その…一緒に寝ていい?

真理亜

えっ!?

廊下から漏れる光に照らされたルイの顔は 耳まで赤く染まっている

真理亜も思わず頬が熱くなる

真理亜

(高1だけど、年齢的にはまだ中学生みたいなものだもんね)

真理亜

(それに、多分、この部屋やこのベッドは)

真理亜

(家出してしまったお母さんのだろうから)

真理亜

(お母さんの面影を私に重ねて見てるんだろうな)

真理亜

(それなら断ることなんかできない…)

真理亜

ルイ君、来て。一緒に寝よ?

ルイ

ありがとう、真理亜

真理亜の隣に、ルイが寝転がった

ルイ

お母さん以外の女の人と添い寝するなんて初めてだ

ルイ

…ちょっと体に触ってもいい?

真理亜

(──えっ!?)

真理亜

…お母さんのこと思い出してるの?

ルイ

別に。僕くらいの男子が、女の人の体に興味持つのは普通でしょ?

真理亜

ん、そだね…

真理亜

(ルイ君ぐらいの年齢の男の子だと)

真理亜

(お母さんが恋しいだなんて言いにくいもんね…)

真理亜

──ルイ君、触っても大丈夫だよ

ルイ

ほんと?

真理亜

うん

自分から言い出したことなのに ルイは落ち着きなくモゾモゾしていたが

やがて遠慮がちにそっと パジャマの上から真理亜の胸に触れる

そして、そのまま眠ってしまった

ルイ

──お母さん…

真理亜

(寝言?それに、ちょっと涙ぐんでる…)

真理亜

ルイ君──

せつない思いが込み上げ 真理亜は指先で優しくルイの髪をなでた

真理亜

(口ではあんなふうに言ってたけど)

真理亜

(やっぱりお母さんを私に重ねてたんだね)

翌朝

真理亜

う…ん…

真理亜

(あ…もう朝…)

真理亜

(あれから眠っちゃったんだ)

ジャラ…

真理亜

(あれ?なんだろ、腕が重い…)

真理亜

(──なっ!?)

愕然と見下ろす自分の左手首には 重々しい手錠がはめられていた

その手錠の一方はルイの右手にはめられている

ルイはまだスヤスヤと 穏やかな寝息をたてて眠っている

真理亜

(ルイ君、どうしてこんなこと!?)

真理亜の中に恐怖と混乱が湧きはじめた その瞬間──

また、あの誰かに見られているような 突き刺さる視線を感じて

背筋がゾクッと凍りついた

真理亜

(誰!?やっぱり誰かが見てるの!?)

真理亜

(ルイ君しかいないはずなのに…!)

真理亜

(それに、この手錠、どうしたら…!!)

ひきこもりの僕は秘密の地下室で君に手錠をかける

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コメント

14

ユーザー

馬鹿なの?この女

ユーザー

500~1000までいいね押しちゃったw

ユーザー

るい様……

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