去華就実の風

どこから現れたのか分からないし

誰なのかも分からない

なのに…

不意に、懐かしいと思ってしまった

全く嫌な気配などせず

なにがどうなっているのか聞こうとして

風魔の方を見て、ぎょっとした

この状況……

どうするのが……正解なんだ……？

クルト様はなんか呆れてるし

風魔はただ黙って泣いてるし

この状況を打破するには…

自分で聞く以外、無いのである

それだけ言って

ゆっくりと風魔の方に近づく人

その姿が

この、八大陸に似合いすぎて

もはや、始めから八大陸の人間ですよね

と、いう気持ちに自然となってくる

そこに、存在するのが

まるで、当たり前のように

風魔は泣きながらその人に跪く

なにか言いたいのに、言えないような顔をして

でも、悲しい顔なんかじゃなくて

驚きと嬉しさが混ざったような顔だった

一息ついて、風魔は言った

……巫女様？

風魔がそう呼ぶのは、2代目様である桃香様のみ

……と、いうことは……

もしや……この方は……

この方が、この方こそが

風魔が唯一巫女と呼ぶ

沙羅家2代目巫女様

沙羅桃香様……

そういった途端、霧のようなものがボク達を覆う

風魔もボクも敵の攻撃かと思い術を発動させようとしたが…

と、2代目様に止められてしまった

その声が聞こえた後、ゆっくりと霧が晴れてくる

そしてさっきの声の主が少しずつ見えてきた

2代目様から目を逸らし風魔と向き合う

泣きたいけど、泣けないような

そんな顔をして

切なげな笑顔で蒼空と呼ばれた人は言った

……なんだか、とってもいい雰囲気

仲間はずれにされた気分だ

…いや実際されてるけど

さて、さっき捕まえていた人間でも……って

あれ！？逃げようとしてないか！？

…どうやらボクより先に風魔が気がついていたらしい

……多分、というか確実に…

今この場にいる人には

ボクが思っている常識が通用しないと分かったな…

クルト様なんてただ呆れてるし

と、楽しそうに話していた2代目様に声をかけるクルト様

ボクだったらあの2代目様に声なんてかけれないな…

……いや、さっきのはノーカンで

と、言いながらボクの頭に手を置き軽く叩かれた

……地味に、痛い

呼ばれた3人はいつの間にか2代目様の後ろにいた

四人が並んでると、中々様になる

少し考える素振りを見せて、クルト様は口を開いた

なんだろ…

黙っていると絵になってかっこよかったのに

喋り出すと、仲のいい仲間って感じで

いい意味で、ギャップ凄いな…

なんて思った、メシンであった…