──数時間後
下校
林田
カー、カー
林田
駅前まで歩けば、商業施設くらいはあるだろうが…………
林田
ガァッ!
ごっ
林田
背後から押され、そのまま倒れ込み鼻を強打した
林田
その場で蹲り、鼻を押さえる
なんとか上半身を起こし空を見上げた
カラスが羽ばたいていた
林田はようやく、カラスに蹴られたのだと気づいた
鼻からドロっとしたものが垂れてきた
林田
それを拭うと赤い色が付いた
林田
どんなに拭っても、血は流れ落ちる
林田
そのとき視線を感じ林田は、恐る恐る周囲を見回すと……
無数のカラスがいた
屋根の上、電線、街路樹にもいる
じろりと見詰める
林田
全身に鳥肌が立つ
脇目も振らず逃げ出した
林田は必死に走っていた
その顔は恐怖心によって歪められていた
カァァ
カァァ
疾走している間も視線を感じる
ガァッ!
ガァッ!
後頭部を狙うように蹴ってくる
林田
数えきれないほどのカラスが林田を凝視する
中には敵意を向けるカラスもいた
ガァッ!
ガァッ!
林田
気がつけば人気のない雑木林にいた
林田
林田
逃げまわるのに必死で覚えていない
林田
カァ
林田
カラスが林田を見下ろしている
思わず後ずさりをした
林田
その拍子に足を踏みはずし、仰向けに倒れ込む。慌てて起き上がろうとしたが足をくじいたらしく、苦痛で顔が歪んだ
ガァ
1羽のカラスが近づいてくる
林田
すでに林田の中でカラスは鬱憤を晴らす対象ではなく、恐怖でしかなかった
じょじょにほかのカラスたちも集まってくる
カァァ
カァァ
林田
大声で叫ぶがカラスの鳴き声でかき消される
林田
ポケットに手を突っ込むが、そこにあるはずのものがなかった
林田
絶望感が林田を襲った
カラスたちに囲まれ、そして──
いっせいに
林田
ガァッ
ガァッ
林田
ガァ
林田
林田の断末魔が響いたが、じょじょに聞こえなくなった…………
数ヶ月後──
コメント
7件
怖いけど面白い…!