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〜真冬 side〜
真冬
優
渉
午前の授業が終わって、昼休み
ちょうど集まっていた優と 浦田先輩に話しかけた
真冬
真冬
二人が探偵をしていることは、 時雨桜としてじゃなく、 “相川真冬”としてでも知ってる
でも、疑われてるボクがこんな 怪しい誘いをするんだから、こっちに 乗らないはずがない
……っていう、ソラの想定だ
渉
ちゃんと想定通り事が進んで、 約束が決まった
あの時ソラが言ってたのは、 探偵の浦田先輩と優のことだった
二人なら、ボクらと一緒に表で 動けるし、浦田先輩の力で 警察も使えるかもしれない
本当は敵同士だけど、今回ばかりは そんなことを言ってられない
真冬
次は、屋上だ
そこで、二人に正体を明かす
真冬
時雨桜のコスチュームの 頭飾りをつけて、屋上で二人を待つ
ソラとはこれで繋がってて、二人が ここに入って来た後、すぐ入って 来れるように扉の外で待機する予定だ
ガチャッ
不意にドアが開いて、 浦田先輩と優が入ってきた
渉
警戒しているのか、ボクと一定の 距離を保って、浦田先輩が聞いてくる
優
ボクの頭飾りに気づいたらしく、 目を見開いて驚いた顔をした優
真冬
少し笑って、頭飾りを 指差しながら言う
渉
途端に、浦田先輩の目が鋭くなった
真冬
ユキ
念の為、ボクは柵の すぐ近くに立っている
二人が捕まえにきても、 すぐ飛び降りて逃げられるように
渉
さっきとは違う険しい表情で、 浦田先輩が聞いてきた
ユキ
本題とは、全く関係の無い話
だけど、どうしてもこの二人と、 面と向かって話したい事があった
渉
ユキ
たしかにボクらは怪盗で、 今までずっと、盗みを働いてきた
でも、それで得たお金の利益なんて、 一円もない
渉
ユキ
十年前のあの日、ボクらの故郷の里を 襲った、あいつらへの
ユキ
ユキ
思い出す度に湧いてくる憎悪を、 両手を握りしめて抑えながら言う
ユキ
ユキ
そこまで言って、 しばらく沈黙が流れた
渉
渉
ユキ
これが、ボクが一番言いたかったこと
“ブラッド”にハメられた時、 怪盗と探偵として、初めて会った
それから、ずっとボクらの 邪魔をしてきて……
ユキ
本人が聞いている中、つい、 ぽつりと本音を溢してしまう
元々ソラは、あんな冷たい 性格じゃなかった
昔は、誰にでも優しくて、 笑顔もあって、ボクが何かをしたら、 誰よりも褒めてくれる
ボク“ら”にとっては、 本物の兄のような存在だったのに
そんな人に感情を忘れさせたのは、 襲撃を起こしたファントムのやつら
両親を殺されて、家も燃やされて、 彼にとって妹同然の存在だった 姉さんも、おかしくなって
ソラが笑わなくなったのは、 それからだ
優
渉
……流石探偵、もう気づかれたか
ユキ
ガチャッ
通信機越しに呼ぶと、ボクと同じ 頭飾りをつけて、ノートパソコンを 持ったソラが入ってきた
優
渉
二人とも……優は特に、 彼方さんが入ってきて驚いてる
時雨桜が複数人なのはバレてても、 彼方さんはあまり疑われて いなかったらしい
ソラ
ソラ
いつもの冷たい口調で、 ソラに言われる
ユキ
溢れかけた感情を抑えて、そう答えた
そうだ、今話すことはこれじゃない
ソラ
ユキ
改めて、浦田先輩達と向き合う
二人も、身構えたように ボクらの方に向き直った
ソラ
ソラ