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怪盗 時雨桜

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怪盗 時雨桜

19 - 怪盗の理由

♥

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2021年12月14日

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〜真冬 side〜

真冬

二人とも、ちょっといい?

ん?

どうした?

午前の授業が終わって、昼休み

ちょうど集まっていた優と 浦田先輩に話しかけた

真冬

放課後、屋上に来てほしくて。

真冬

話したいことがあるんだけど……あ、今日って何か仕事あったりする?

二人が探偵をしていることは、 時雨桜としてじゃなく、 “相川真冬”としてでも知ってる

でも、疑われてるボクがこんな 怪しい誘いをするんだから、こっちに 乗らないはずがない

……っていう、ソラの想定だ

いや、大丈夫だ

ちゃんと想定通り事が進んで、 約束が決まった

あの時ソラが言ってたのは、 探偵の浦田先輩と優のことだった

二人なら、ボクらと一緒に表で 動けるし、浦田先輩の力で 警察も使えるかもしれない

本当は敵同士だけど、今回ばかりは そんなことを言ってられない

真冬

じゃあ、また放課後に

次は、屋上だ

そこで、二人に正体を明かす

真冬

…………

時雨桜のコスチュームの 頭飾りをつけて、屋上で二人を待つ

ソラとはこれで繋がってて、二人が ここに入って来た後、すぐ入って 来れるように扉の外で待機する予定だ

ガチャッ

不意にドアが開いて、 浦田先輩と優が入ってきた

真冬、話ってなんだ?

警戒しているのか、ボクと一定の 距離を保って、浦田先輩が聞いてくる

って、それ……!

ボクの頭飾りに気づいたらしく、 目を見開いて驚いた顔をした優

真冬

二人とも、これ、見覚えあるでしょ?

少し笑って、頭飾りを 指差しながら言う

……やっぱり、お前だったんだな

途端に、浦田先輩の目が鋭くなった

真冬

そうだよ

ユキ

時雨桜はボク

念の為、ボクは柵の すぐ近くに立っている

二人が捕まえにきても、 すぐ飛び降りて逃げられるように

もう一度聞く、要件はなんだ?

さっきとは違う険しい表情で、 浦田先輩が聞いてきた

ユキ

……ボクが怪盗をやってる理由、二人は知ってる?

本題とは、全く関係の無い話

だけど、どうしてもこの二人と、 面と向かって話したい事があった

知らない。金の為じゃないのか?

ユキ

そうじゃないって言ったら?

たしかにボクらは怪盗で、 今までずっと、盗みを働いてきた

でも、それで得たお金の利益なんて、 一円もない

だったら逆に何がある

ユキ

……復讐だよ

十年前のあの日、ボクらの故郷の里を 襲った、あいつらへの

ユキ

金なんていらない。持ってたって、ボクには何の意味もない。

ユキ

ボクはただ、母さん達を……里の人達を殺したあいつらに、復讐することを目的としてやってきた

思い出す度に湧いてくる憎悪を、 両手を握りしめて抑えながら言う

ユキ

たった一日で、大好きだった人達をみんな奪われた。

ユキ

……この気持ち、二人は分かる?

そこまで言って、 しばらく沈黙が流れた

……怪盗をする理由は粗方分かった。

それで、結局お前は何が言いたい?

ユキ

もうこれ以上、ボクらの邪魔をしないで

これが、ボクが一番言いたかったこと

“ブラッド”にハメられた時、 怪盗と探偵として、初めて会った

それから、ずっとボクらの 邪魔をしてきて……

ユキ

……お願いだから、ソラを救わせてよ……

本人が聞いている中、つい、 ぽつりと本音を溢してしまう

元々ソラは、あんな冷たい 性格じゃなかった

昔は、誰にでも優しくて、 笑顔もあって、ボクが何かをしたら、 誰よりも褒めてくれる

ボク“ら”にとっては、 本物の兄のような存在だったのに

そんな人に感情を忘れさせたのは、 襲撃を起こしたファントムのやつら

両親を殺されて、家も燃やされて、 彼にとって妹同然の存在だった 姉さんも、おかしくなって

ソラが笑わなくなったのは、 それからだ

な、なぁ、さっきからボク“ら”って言ったり、その“ソラ”ってのも誰なん?

やっぱり一人じゃないんだな?

……流石探偵、もう気づかれたか

ユキ

ソラ

ガチャッ

通信機越しに呼ぶと、ボクと同じ 頭飾りをつけて、ノートパソコンを 持ったソラが入ってきた

えっ、会長!?

一ノ瀬……

二人とも……優は特に、 彼方さんが入ってきて驚いてる

時雨桜が複数人なのはバレてても、 彼方さんはあまり疑われて いなかったらしい

ソラ

ユキ、今話すことはそれじゃない。

ソラ

こいつらに言ったところで無意味だろ

いつもの冷たい口調で、 ソラに言われる

ユキ

っ……ごめん、感情が出過ぎた

溢れかけた感情を抑えて、そう答えた

そうだ、今話すことはこれじゃない

ソラ

本題に入るぞ

ユキ

うん

改めて、浦田先輩達と向き合う

二人も、身構えたように ボクらの方に向き直った

ソラ

断られること承知で言う。

ソラ

俺らに、協力してほしい

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