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アカネライの噂

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アカネライの噂

9 - アカネライの噂 ⑨

♥

75

2021年09月10日

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大迫美奈

千佳子さん!危ない!

赤松千佳子

きゃあ

馬場龍河

大丈夫か?

アカネライ

赤は嫌!赤は嫌!

馬場悠河

どうなってんだ!

馬場悠河

相手は自分の妹だろ!

馬場悠河

分かってないのか?

馬場龍河

簡単な話だ!

馬場龍河

あれは赤松明日香の
形をしているだけで

馬場龍河

もう人格は
あってないようなもんだ!

馬場龍河

もうあいつは

馬場龍河

人間だった頃の
記憶なんざ

馬場龍河

はなっから
持ってなかったんだろう!

馬場悠河

そんな・・・

赤松千佳子

姉さん・・・

アカネライ

赤ハ嫌!あかはイヤ!

赤は嫌

大迫美奈

きゃ

馬場悠河

美奈!大丈夫か!

赤松千佳子

美奈ちゃん!

大迫美奈

私は大丈夫!

馬場龍河

ったく!
好き放題暴れやがる!

アカネライ

赤は嫌!

アカネライ

赤だけは許せない!

アカネライ

赤は私から家族を奪った!

馬場悠河

え?

馬場龍河

まさか

馬場龍河

こんな状態でもまだ

馬場龍河

記憶が残ってんのか?

赤松千佳子

姉さん!

赤松千佳子

家族ならまだ

赤松千佳子

私がいるじゃない!

赤松千佳子

妹の私が!

アカネライ

妹・・・・・

馬場悠河

そうだ!

馬場悠河

こいつに!千佳子さんが
妹だってわからせれば!

馬場悠河

もしかしたら・・・

アカネライに 近づいていく悠河

大迫美奈

悠河!なにやってんの!

馬場龍河

馬鹿か!無闇に近づくな!

馬場悠河

この子は君の妹じゃねえか!

馬場龍河

お前・・・

馬場悠河

たった一人で
君の帰りを待ってた

馬場悠河

ただひとりの妹を
そんなに拒絶して

馬場悠河

お前は何がしてぇーんだぁ!

大迫美奈

悠河・・・・

馬場悠河

これじゃ、あまりにも

馬場悠河

千佳子さんが
可哀想じゃねーかよ!

赤松千佳子

悠河さん・・・・

アカネライ

う・・・ぐ・・・

馬場悠河

君にはまだ
家族は残ってんだろ?

馬場悠河

そんなに家族家族いうなら
千佳子さんだって家族だろーが!

馬場悠河

姉貴なら妹を
傷つけるんじゃなくて

馬場悠河

守ってやったらどーなんだよ!

アカネライ

うう・・・・・

アカネライ

ぐ・・・

アカネライ

ち・・かこ・・・

馬場悠河

やったぞ!

大迫美奈

すご・・・・

馬場龍河

まさか!
こんな事って・・

赤松千佳子

姉さん!

アカネライ

ちかこ・・・・

アカネライ

ちかこなの?

アカネライ

あなたは
千佳子なの?

赤松千佳子

そうよ!姉さん!

赤松千佳子

私は姉さんの双子の妹!
赤松千佳子よ!姉さん!

アカネライ

ほんとに・・・・・

赤松千佳子

そうよ!姉さん!

赤松千佳子

私は姉さんを
ずっと探してたのよ?

アカネライ

ごめん・・・・

赤松千佳子

謝らなくていいの!

赤松千佳子

姉さんだって
辛かったんだよね?

赤松千佳子

苦しかったんだよね?

アカネライ

私は・・・

赤松明日香

ここに居ちゃいけないの

アカネライは 東の方角へ走り出した

赤松千佳子

待って!姉さん!

馬場龍河

待つんだ!千佳子さん!

赤松千佳子

離して!姉さんが!

赤松千佳子

明日香姉さんが!

馬場龍河

アカネライは多分
さっき俺たちと君が出会った

馬場龍河

あの家に向かったんじゃ無いか?

赤松千佳子

え?

馬場龍河

あっちの方角には
あの家がある!

馬場龍河

車で先回りだ!

大迫美奈

千佳子さん!

馬場悠河

早く!

赤松千佳子

わかりました!

馬場悠河

兄貴!あれ!

馬場龍河

悠河が指さした先には 赤松家の空き家に入っていく アカネライが居た

赤松千佳子

姉さん!

馬場龍河

よし!車を降りて
追いかけよう!

アカネライ

・・・・・

赤松千佳子

姉さん!

馬場龍河

まだ人間だった頃の記憶が
かすかに残ってるなら

馬場龍河

姉として
妹の言葉に耳を貸すべきだ!

アカネライ

・・・・・・

馬場龍河

俺にも弟がいる

馬場悠河

・・・・・

大迫美奈

龍河さん・・・・

馬場龍河

どうしようもなく
鈍感でアホで

馬場龍河

言っていい言葉と
悪い言葉の区別も
つかないような
バカだけど

馬場悠河

おい!

馬場龍河

俺にとっては血を分けた
この世でたった一人の兄弟だ!

馬場悠河

・・・・・

馬場龍河

こいつのため為だったら
何だって出来る!

馬場悠河

兄貴・・・・

赤松千佳子

・・・・・・

馬場龍河

君もそうだったんじゃないのか?

赤松明日香

私は、千佳子を裏切ったの

赤松千佳子

それは違うわ!姉さん!

馬場悠河

それは両親のせいだろ?

赤松明日香

しかし私は

赤松千佳子

私は姉さんが暮らしてた
町にも行ったことあるわ!

赤松明日香

・・・・・・

赤松千佳子

姉さんが辛い思いを
したって話も聞いた!

赤松明日香

私は、両親に
千佳子も一緒に
連れていくように説得した

赤松明日香

けどまだ小さかった私は
両親に従うしがなかった

赤松千佳子

それは仕方のない事よ!

赤松千佳子

私が姉さんの立場でも
同じことをしたはずよ!

赤松千佳子

姉さんも私も
身勝手な両親に振り回された
被害者でしょ?

赤松明日香

わたしは・・・・

赤松千佳子

シャキッとしなさいよ!

赤松明日香

!!!!!!!!!

わぁーん おねーちゃーん 痛いよー

ちょっと転んだだけでしょ?

ホラ!行くよ!

嫌だ!歩けない!

おんぶして!

ワガママ言わないの!

だってぇー・・・

シャキッとしなさいよ!

そんな傷 あとで私が薬塗ってあげるから!

ほら行くよ!

・・・・ぐす うん・・・・

シャキッとしなさい

それは姉さんが 幾度となく私に 投げかけてくれた言葉

その言葉に 何度も救われた

赤松明日香

・・・・・・

赤松明日香

私はバカね・・

赤松千佳子

姉さん・・・・

赤松明日香

こんなに私を信じて
待ってくれてる妹一人を残して

赤松明日香

私一人だけ・・・

赤松千佳子

でも、こうして
また会えたじゃない!

赤松明日香

ありがとう

赤松明日香

千佳子

赤松明日香

お兄さんたちも
ありがとう

馬場悠河

・・・・・・・

馬場龍河

・・・・・・

赤松明日香

それから彼女

大迫美奈

え?私?

赤松明日香

ごめんなさいね

赤松明日香

君の友達に八つ当たりして

大迫美奈

いえ・・・

赤松明日香

いや、それだけじゃないわね

赤松明日香

私は今までに
色んな人を傷つけてきた

赤松明日香

もうここには居られない

赤松明日香

私は人を不幸にする

赤松明日香

千佳子、さようなら

赤松千佳子

姉さん!待って!

赤松明日香

私はここに
いちゃいけないのよ!

赤松明日香

分かるでしょ?

赤松明日香

私がいると
不幸になってしまう人が
大勢いるのよ!

赤松千佳子

でも・・・

赤松明日香

あなたは私と
血を分けた姉妹だから

赤松明日香

あなたにはまだ
こっちには来てほしくないの

赤松千佳子

姉さん!

赤松明日香

まだ来ちゃだめよ!千佳子!

赤松千佳子

ぐす・・・

赤松明日香

ホラ!すぐ泣く!

赤松明日香

シャキッとしなさいよ!

赤松千佳子

うぐ・・・・・

赤松明日香

その時が来れば
また会えるわ!千佳子!

赤松千佳子

うん!

赤松千佳子

それまで待ってて!

赤松千佳子

必ず会いに行くから!

赤松明日香

うん!待ってる!

赤松明日香

じゃな、みなさん

赤松明日香

さようなら

赤松明日香

そして

赤松明日香

ありがとう

アカネライは 私たちの前から消えた

まるで満点の星空で輝く 星々のようにキラキラ輝きながら 消えていった

その輝きは アカネライの中に かすかに残っていた 明日香さんの 命の灯火だったのかな?

元気でね!明日香さん!

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