ガキの時から俺は、その名の通り人の上に立つ存在だった。
人一倍図体が大きく、なんでも主張を通して
逆らうやつは拳で己の無力さを分からせてやる。
成長してもガタイを保つためにトレーニング欠かさず、金にも女にも困ったことなど一度もない生活を送っていると……
俺の噂を聞きつけたひと回り年上の先輩が「組織」へと勧誘してきた。
「組織」の期待通りに拳を振るうと鰻登りに俺は出世していき
瞬く間に幹部へと上り詰める事ができた。
……だがヘマをしちまって、敵対組織であろう奴らに捕まっちまった。
そこで拷問を喰らい続けたが、「人の上に立つ」運命の俺が屈服する訳がない。
1.2か月もすると具すらない握り飯と水という粗末な飯に加えて酒を出してくれるようになった。
やれやれ、ようやく俺の価値が分かったというのか。
扱いの変貌に内心勝ち誇っていると……
御門(みかど)
御門(みかど)
御門(みかど)
体の変化に動揺していると、いつもの男とは違う猫背の女が部屋に入ってきた。
…‥なんだこの女。
無駄に知識で煽ってきやがってむかつく。
殴りかかってやろうと歩み寄ろうとしたら、体がよろけていうことを聞かなくなっていた。
御門(みかど)
どこからか取り出したリンゴを齧りながら女は嘲笑う。
俺が縛られて、尚かつ力が出ない事をいい事にふざけやがって……!!!
……助けがきたと思ったらイかれた女が増えやがった。
そう言って団子頭の女は薬瓶を手にとって振る。
……ここまでコケにされて黙って死ねない。
ここは言うことを聞くふりをして、頃合いを見てぶちのめしてやる。
情報を書いたメモを渡すと、長髪の女がわしゃわしゃと俺の頭を撫でる。
……俺を見下すな、侮辱するな。
血が滲む歯茎を気にもせずに奥歯を噛み締める。
団子女はガラスの瓶を手渡す……
と見せかけて俺の眼の前で床に溢した。
こいつはどこまでも俺の人格を無視する。
いつか後悔するまでギタギタにしてやるからな。
そう心に誓って薬に舌を伸ばし、ベロベロと舐め取っていくうちに……
御門(みかど)
御門(みかど)
喉が焼けそうな痛みが押し寄せてきた。
そう好き勝手言いながら部屋を出る女たちを追いかける気力はもう残っておらず……
俺はその場で力尽きた。
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転生前に書いていたキャラクターで一作品。