テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ギャンブル
りんご
904
19
朽華 歌仙
78
コメント
1件
うわ……今回の試練、めっちゃ重いですね……。「理解」っていう言葉が、どんどん恐ろしいものに変わっていく感じがしました。絹玖と姫羅莉、同じ相手と交際してたっていう仕掛けも衝撃的でしたし、何より死んだ直後に存在が薄れていく描写がゾッとしました。でもこういう「人の記憶って脆いよね」ってところをちゃんと書けるのが、ルミエールさんの作品の魅力だなって思います。次は由香利と莉乃の番……どうなるんだろう。続き、怖いけど読みたいです。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
貝塚絹玖と近藤姫羅莉は、互いに視線を交わす。
爽香と弥生は、第8試練から復帰できるシード権を得た。
自分たちも同じようにクリアできるかもしれない。
そんな希望と、あれを本当に“理解”と呼べるのかという疑念があった。
相手の秘密を暴き、隠しているものを当てる。
それを理解と呼ぶなら、この“黒の間”はあまりにも悪趣味だった。
2人が向かい合って座る。
金属製のベルトが伸び、胸元と腰、両手首を固定した。
貝塚絹玖
近藤姫羅莉
けれど、その声にはわずかな硬さがあった。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
2人の前に、半透明のパネルが浮かんだ。
問題は相手にも、他の生徒たちにも見えない。
2人だけが目の前の言葉を読む。
絹玖のパネルに表示された、“姫羅莉に関する問題”。
【SYSTEM】
貝塚絹玖
貝塚絹玖
絹玖は、喉の奥がきゅっと縮むのを感じた。
久我正樹。
その名前は、絹玖にとっても他人ではなかった。
けれど、姫羅莉の交際相手であるはずがない。
絶対に。
一方、姫羅莉のパネルにも、“絹玖に関する問題”が表示されていた。
【SYSTEM】
近藤姫羅莉
近藤姫羅莉
2人の中で、疑念と否定が交差する。
自分は相手を理解している。
そう思っていた。
だが、その自信が揺らぎ、黒い部屋の空気がさらに重くなる。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
頭上の半球状の装置が、微かに黒く光った。
内部の矢先が、2人の頭頂部を狙っている。
パネルの端に、2桁の数字が浮かんだ。
60。
59。
58。
貝塚絹玖
近藤姫羅莉
2人の声は、ほとんど同時だった。
迷いはなかった。
いや、迷いを認めたくなかった。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
2人は、互いの顔を見た。
相手も同じ答えを出した。
それなら大丈夫なはずだった。
同じ名前を否定したのだから。
それなのに、胸のざらつきは消えない。
パネルの文字が切り替わる。
絹玖――
不正解。
姫羅莉――
不正解。
貝塚絹玖
近藤姫羅莉
2人の叫びが、黒い部屋に重なった。
自分が知らなかったこと。
相手が隠していたこと。
自分たちが、同じ相手と交際していたこと。
すべてを一瞬で突きつけられた。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
貝塚絹玖
近藤姫羅莉
次の瞬間、2つの装置から矢が射出された。
短い金属音。
続いて、鈍い音。
絹玖と姫羅莉の身体が、ほとんど同時に跳ねた。
2人は顔を伏せ、そのまま動かなくなる。
黒い部屋に沈黙が落ち、誰も声を出せなかった。
理解。
その言葉が、また別の意味に変わっていく。
相手を大切に思うことでも、信じることでもない。
この部屋では、相手が隠した事実を知らないことが、そのまま死に繋がる。
納富由香利
次の由香利は、青ざめていた。
隣の和久井莉乃の袖を、震える指で掴む。
納富由香利
和久井莉乃
莉乃はすぐに答えなかった。
幼馴染みだから大丈夫。
長く一緒にいるから大丈夫。
そう言えたはずだった。
けれど、今の2人を見た後では、その言葉はあまりにも軽かった。
黒い人影が、壁の奥から現れた。
ベルトを外し、2人の身体を静かに持ち上げる。
絹玖。
姫羅莉。
菜々美は、名前を覚えておこうと心で繰り返した。
けれど、部屋のどこかで誰かが呟く。
生徒の誰か
生徒の誰か
菜々美は唇を噛んだ。
まただ。
死んだ直後から、輪郭が薄れていく。
理解を問われた2人が、理解されないまま、記憶から削られていく。
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
【SYSTEM】
3つ目の黒いテーブルが、ゆっくり光を帯びた。
由香利の指が、莉乃の袖をさらに強く握った。