テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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夢々、君へ揺れ

第42話 - 夢は透け

250

2024年03月28日

#一次創作

#ファンタジー

#夢

#理想

#運命

#青春恋愛

四阿朧

ゆいとくん

…あれ？ここ、いつもの教室？

めお

…夢、だよね…？

ゆいとくん

昨日の夜なにかいつもと違うことでもあった？

めお

…え、そういうのが、影響するの？

ゆいとくん

いや…でも今までの感じ的には？

ゆいとくん

とにかくまた夢で会えるようになってよかった

めお

……うん…

ゆいとくん

…なんでここなんだろう…

ゆいとくん

そういえば今までも俺らどっちかは見覚えのある場所ばっかりだったけど

めお

ああ、探ったときほんとにそうだったね

めお

結局夢の謎は解けないままだし…

めお

あ、そうだ、雨莉ちゃんはお互いが同じことを望んでるんじゃないかって昨日言ってた

ゆいとくん

そんなこと言ったの？

めお

うん、家帰ってからね、ライムで

ゆいとくん

へー

ゆいとくん

まあ…そこはそうだよね、お互い、夢見てたでしょ

ゆいとくん

童話みたいな世界でいられる、そんな場所を

めお

…うん

めお

（…でも、もう……）

ゆいとくん

…めおちゃん、なんか今日ぼーっとしてる？

めお

え、いや

ゆいとくん

…明日は文化祭でしょ？何か心配事あるとか？

めお

…ああ…、そっか、ないよ

めお

大丈夫…

ゆいとくん

…あれ、めおちゃん？

ゆいとくん

もう起きるの？早くない？

めお

…うん

めお

ほら、文化祭だから。女の子は準備に時間がかかるの。

ゆいとくん

そうなんだ…？

芽生

…

時計を見ると、時刻は4時を指していた

朝か夜かもあやふやな空の色を見てから、私は起き上がった

お母さん

芽生ー？起きたー？？

芽生

…はーい！

芽生

…ごめんね

芽生

行かなきゃ。

ああ、結局私には

夢なんて、見られないんだ。

パシッ

芽生

…

朝焼け空が、ひどく儚く目に映る

この色が消えるころには、雨が降って

すべてを水に流してしまえば

こんな、今までの、平穏で不思議な生活にも、さよならできる

芽生

そう、思ってたのに…

芽生

なんで…っ

唯兎くん

…

芽生

なんで唯兎くんが、ここに…っ

芽生

…え？なん、どういうこと？

お母さん

あら？言わなかった？

お母さん

お母さん、転勤するの。本社に移動なのよー

お母さん

この家紹介してもらって悪いけど、広くて会社に近いところに住みましょう

芽生

聞いてない…と思うんだけど……

お母さん

そうだっけ？ごめんね

お母さん

でも学校にも連絡したし…芽生は言うこと聞いてくれるでしょう？

お母さん

お母さんの知り合いのやってる私立、受けたでしょう？

お母さん

あそこなら会社も近いし、転入してもいいよって言ってくれたわ

お母さん

ここ明日には出るから、早く準備しちゃって

芽生

え…私……

お母さん

あ、電話、ちょっと待っててね

芽生

（…どう、しよう…）

芽生

（…でも…私が何か言ったところで……）

お母さん…それからお父さんも

私の意見を尊重しようなんてしてくれたこと、一度もない

きっと今回だって…それに、友達といたいなんて理由で許されるわけがない

願ってもがいて失敗するくらいなら

…逃げた方が、苦しまなくて済む。

唯兎くん

嫌な予感が…したんだよ…っ

唯兎くん

芽生ちゃんの笑顔がいつもと違って…

お母さん

芽生ー？何してるの？まだー？

芽生

あ、えっと…

唯兎くん

…

唯兎くん

行っちゃうの？…どっかに

芽生

…行くよ、転勤なんだって

芽生

ごめんね、最後まで…いろいろ、誤魔化したままで

唯兎くん

…黙っていなくなろうとするなんて、寂しいじゃん

唯兎くん

…今、教えてよ

芽生

え？

唯兎くん

俺のこと…好きだった？

唯兎くんの声は、いろんな気持ちを含んでいて

とても心が痛んだ

芽生

好きじゃ、なかったよ。

芽生

ここから離れることも、別に私は寂しくなんてない。

突き放さなきゃ

じゃなきゃ…きっと、泣いてしまうから。

芽生

…お母さん、ごめん、待たせて

お母さん

もう、遅いわよ

芽生

ごめんね、もう大丈夫────

車に乗り込もうとしたとき、グッと唯兎くんが私の手を引いた

芽生

ぅえっ！？

唯兎くん

俺は好きだよ。

芽生

っ、何？

唯兎くん

芽生ちゃんのことがずっと大好きだよ

唯兎くん

今日だって文化祭一緒に回るのめっちゃ楽しみにしてた

唯兎くん

遊びに行くことも、いっぱい考えてたよ

唯兎くん

どうしたら芽生ちゃんが笑ってくれるかなって

唯兎くん

芽生ちゃんが、心の底から楽しいって思ってくれるように

唯兎くん

自分の幸せに、もっと貪欲になってくれるように

唯兎くん

…芽生ちゃんはすぐ強がるから

唯兎くん

俺だけは芽生ちゃんが本音で言えるようになったらって思ってた

唯兎くん

それから雨莉や十和と笑う芽生を見て、それでもいいと思った

唯兎くん

みんなといっしょにいるのは俺も楽しいし

唯兎くん

そんなとき見せる芽生ちゃんの笑顔が、大好きだったから

唯兎くんが心底愛おしそうに、私を見つめていた

唯兎くん

…ねえ、なんで、泣いてるの？

唯兎くん

寂しくなんかないんでしょ？

芽生

…っうるさい、ばか…っ

芽生

だったらぁ…っひぐっ、どうしたらよかったの…！

芽生

唯兎くんたちのことぉ…大好きだけどお…っ

芽生

お母さんのこと困らせられない…っ

芽生

誰にも…いらないとか困った子だとか、思われたくない…っ

芽生

唯兎くんたちに弱音吐いたら、みんな辛くなって…

芽生

それが1番寂しいんだもんっ…！！！

夢々、君へ揺れ

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え、えええ！？嘘、え！？予想外の展開すぎて今めちゃくちゃ脳バグってるんだが！？芽生さんは元の世界に戻ってきてからお母さんの転勤を聞いていたにも関わらず、今まで通り何気ない日常を過ごしてる…フリをしてた、ってことだよね……？？何で芽生さんは一人で抱え込もうとするのかなあ……そんなの雨莉ちゃん達誰一人として望んでないよ……😭😭 でも、ここで唯兎くんが来てくれたのは嬉しかったかな……ここで

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