ピピピ────
ピピピピピピ────
カチッ
優菜
私はアラームを切った後、起き上がる事なく、そのまま布団にくるまった。
そんな時、ドアの向こうで私を呼ぶ声が聞こえた────
蓮
優菜
ガチャ────
優菜
ドアの開く音がしたかと思うと、足音が聞こえた。
私の背後でピタッとそれが止み、布団の中をゴソゴソし始める。
背を向けている私は嫌な予感がした…
そして私の体に何かが触れた瞬間、その勘は当たった────
蓮
優菜
そう、後ろから抱きしめるのは私、片桐 優菜の義理の兄、片桐 蓮。
私がまだ4才だった頃、母は再婚し、その時に義父と一緒にいたのが、5つ上のこのお義兄ちゃん。
その頃のお義兄ちゃんは、妹思いで優しくて、いつも私と遊んでくれ、実の兄妹のように育ってきた。
はずなんだけど……
蓮
優菜
蓮
優菜
あれから大学生になったお兄ちゃんは、眩しいくらいにカッコよくなって、頭も良くて、優しくて…
大学の間で噂になるくらい人気者。
友達からも……
「優菜のお兄ちゃん、本当素敵だし、カッコイイよね!」
と羨ましがられて、すっごく自慢のお義兄ちゃんで、私も大好きなんだけど……
蓮
そう言って暴れだす私を更にギュッと抱きしめるお義兄ちゃん。
身動きが取れなくなったのを確認すると、私のおデコにそっとキスをし、頭を撫でてきた。
蓮
優菜
そう、お兄ちゃんは異常とも言える程、シスコンだった────
優菜
私は力ずくでお義兄ちゃんを押し除け、部屋を追い出して鍵を閉めた。
優菜
優菜
ドンドン──
お義兄ちゃんがドアを勢い良く叩く。
蓮
ドア越しで叫ぶお義兄ちゃん。
追い出されたことで、少し怒った口調で言う。
優菜
優菜
蓮
優菜
ガンッ───!!
私は、近くにあったカバンをドアに向けて投げた。
蓮
そう言って諦めたのか、階段を降りる音が聞こえた。
私も身支度を整え、1階のリビングへと降りて行った。
蓮
優菜
蓮
今日は、学校が休みでお義兄ちゃんと出掛ける約束をしていた。
といっても、休みの日はいつもお義兄ちゃんが勝手に予定を決めてしまう。
そのせいで、友達との約束も毎回キャンセル…
この服だって、お義兄ちゃんが私に似合うからって、買ってくれたのは良いんだけど………
「俺と出掛ける時は、俺が買った服を着ろよ?」って……
強制的に着さされている。
だから、お義兄ちゃんのさっきの言葉は全く当てはまらない。
けど───
優菜
とまぁ、お義兄ちゃんに逆らえないのが現実。
蓮
蓮
蓮
そう言って私の髪を手に絡ませ……
おデコにキスをする───
本日2度目のキス……
優菜
これが私の唯一の弱点だった───
いくら“お兄ちゃん“だとは言え、血の繋がらない義兄妹(きょうだい)……
その上、こんなイケメンお義兄ちゃんに毎日の様に愛され続ければ、平常心を保てるはずかない。
たまに、理性が吹っ飛びそうになってしまう。
優菜
私は胸の高鳴りを必死で抑えつつ、食卓の椅子に腰を掛け、お兄義ちゃんが作った卵焼きを食べようとした──
しかし…次の瞬間───
お義兄ちゃんはとんでもないことを言い出した───
蓮
優菜
私は思わず、口に入れかけの卵焼きをその場に落としてしまった。
優菜
優菜
ぇぇぇぇぇえ────!?
お兄義ちゃんからの突然過ぎるプロポーズ。
私は頭が真っ白になってしまった────
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