蒼い私はもういない

第1話

蒼い私はもういない第1話

6,438

2020年08月14日

#ドラマ

#感動

#病気

#切ない

#バイト

#年上

春野せり

ある日の昼休み

高瀬　亘

綾香、最近バイトはどうなんだ？

武藤　綾香

どうって別に…普通だけど？

奥西　多恵

亘くんはなにを気にしてるの？

高瀬　亘

なにって…僕は綾香が孤立してないかな？って…

武藤　綾香

孤立はしてない

武藤　綾香

それに、バイトは短時間なんだから、周りとワイワイする必要もなくない？

武藤　綾香

（その日が無事終われば、それでいい）

武藤　綾香

（他になにも望んでないし）

高瀬　亘

うわ～出たよ、出た…。クール綾香！

奥西　多恵

も～、亘くん！そういう言い方良くないよ～

奥西　多恵

クールなのは今に始まったことじゃないんだし笑

奥西　多恵

私は綾香の性格好きだけどな～

奥西　多恵

誰にも媚を売らず、『私は私』って感じいいじゃん♪

武藤　綾香

…………

武藤　綾香

（ふたりとも好き放題言ってくれちゃってさ）

武藤　綾香

（でも…多恵と高瀬くんには感謝してる）

武藤　綾香

（私の事情を知っても）

武藤　綾香

（このふたりは、こんな私と一緒にいてくれるんだしね）

奥西　多恵

バイトは毎日じゃないんでしょ？

武藤　綾香

うん、さすがに毎日はちょっと疲れるしね

奥西　多恵

今日は？

武藤　綾香

今日はバイトある日

奥西　多恵

そっか～。いつかカフェに遊びに行くね！

武藤　綾香

うん、私のいない日ならいいよ

奥西　多恵

えぇ～！？それ意味なくな～い？笑

高瀬　亘

もしかして、ひらひらのエプロンとかして接客してるのか？

武藤　綾香

…………

武藤　綾香

普通のエプロン

高瀬　亘

な～んだ笑

高瀬　亘

ひらひらだったら、見てみたかったんだけどな！

奥西　多恵

亘くん、そういう趣味あるの？

高瀬　亘

はぁ！？ないよ！

武藤　綾香

…バーカ

高瀬　亘

バカとはなんだっ！バカとは…

奥西　多恵

そのうろたえよう、あながち、嘘でもなさそうじゃん？笑

奥西　多恵

そうなんだ…亘くんってそういう趣味があるのか…意外かも

高瀬　亘

だから、違うって！勝手に意外な趣味を作るな…

武藤　綾香

（このふたりといるのは心地いい…）

武藤　綾香

（素の自分でいられるから、気を遣わなくていいし）

その日の放課後

奥西　多恵

じゃあ、また明日ね～！

高瀬　亘

気をつけてな

武藤　綾香

うん、ありがとう

バイトがある日は、帰り道の途中でふたりとわかれる

その近くに私がバイトしているカフェ『アンダンテ』があるのだ

武藤　綾香

お疲れ様です…

店長

武藤さん、今日もよろしく頼むよ～

武藤　綾香

はい

着替えて店に戻ろうとすると、店長に呼び止められた

店長

武藤さん！ちょっとこっちへ来て

武藤　綾香

あっ、はい…

武藤　綾香

（どうしたんだろう？）

武藤　綾香

（私、なにかやっちゃったっけ…？）

店長

今日からバイトとして入ってくれることになった、石森くんだ

店長

武藤さん、色々教えてあげてくれる？

武藤　綾香

…はい

武藤　綾香

（何で私が…？店長が教えればいいのに…）

石森　隼人

石森隼人（いしもりはやと）です。よろしく！

武藤　綾香

…どうも

私は小さくお辞儀をした

店長

石森くん、武藤さんは無口そうに見えるけど

店長

仕事はきっちりやる人だから、色々教わればいいよ

石森　隼人

はい、分かりました！

店長

じゃあ、頑張って

石森　隼人

俺は19なんだけど、武藤さんは？さっき制服着てたよな？

武藤　綾香

高3です

石森　隼人

そうなんだ～。女子高生か～

武藤　綾香

（なに、この人…）

武藤　綾香

（女子高生だったら何だっていうの…）

武藤　綾香

年下から教わるのが嫌でしたら、店長に──

石森　隼人

いや、俺そんなこと一言も言ってないけど？

石森　隼人

逆に、武藤さんが嫌なら俺から店長に話そうか？

武藤　綾香

結構です…

石森　隼人

そう？

石森　隼人

（何か少し変わった子だなぁ…）

石森　隼人

（クールなだけなのかもしれないけど）

石森　隼人

じゃあ、よろしくお願いします。武藤先輩

武藤　綾香

…っ

武藤　綾香

年下ですし、その『先輩』っていうのはいらないです

石森　隼人

ははっ、分かりました笑

武藤　綾香

…はぁ

武藤　綾香

（私、もしかして…からかわれてる？）

武藤　綾香

（なんか面倒な人に教えることになったなぁ…）

石森　隼人

（武藤さんってイマイチつかめない人だな）

石森　隼人

（でも俺も精一杯頑張るって決めたし…悔いが無いようにしないと！）

武藤　綾香

いらっしゃいませ～！何名様ですか？

客

3人です

武藤　綾香

それではこちらへどうぞ～

石森　隼人

（へぇ…ちゃんと笑顔も出来んじゃん）

石森　隼人

（仕事だからか、本当は明るいのか分かんないけど）

武藤　綾香

…？

武藤　綾香

（何かさっき、石森さんに、じっと見られてたような…）

武藤　綾香

（まぁ仕事を覚えてもらうためだし、見られててもおかしくないか）

武藤　綾香

石森さん、次はこっちを教えるので来てもらえますか？

石森　隼人

あっ、はい！

武藤　綾香

これはいつもここに置いてあるので──

石森　隼人

うん

この日は、新人の石森さんに仕事の流れや簡単なドリンクの作り方などを教えて

バイトの時間が終わった

店長

武藤さん、石森くん、ふたりとももう今日は上がっていいよ

武藤　綾香

はい。…お疲れさまでした

石森　隼人

お疲れさまでした

午後8時すぎ

石森　隼人

なぁ、武藤さん…ひとつ聞いていい？

武藤　綾香

はい。なにか分からないことでもありましたか？

石森　隼人

あ、いや…そうじゃなくて…

石森　隼人

武藤さんって何でそんなクールなの？せっかくキレイなのに

武藤　綾香

…………

武藤　綾香

（キレイって…そんなこと言われたの、初めてなんだけど）

石森　隼人

学生時代って貴重だと思うよ？

石森　隼人

もっとこう…なんていうか、パーっと明るくいたほうがよくない？笑

石森さんの価値観と私の価値観は違うと思う

一緒にしないでほしい…

武藤　綾香

（…なんて、今日初めて会った人に面と向かって言えるほど）

武藤　綾香

（馬鹿正直じゃない…）

武藤　綾香

石森さんにどう見えてるか分かりませんが

武藤　綾香

これでも楽しんでますので、どうぞご心配なく

石森　隼人

…………

石森　隼人

お、おぉ…そっか笑

石森　隼人

（落ち着いてるというか、クールというか…）

武藤　綾香

（自分でキレイだとは思っていないけど）

武藤　綾香

（キレイな人でクールな人だっているっつーの…）

武藤　綾香

（キレイだったら明るくないといけないの？）

武藤　綾香

（そういう決めつけする人ってめんどくさい…うざっ）

武藤　綾香

（石森さんみたいなアツい人に限って、いざとなった時に正論をふりかざすんだろうな…）

武藤　綾香

（って、これも決めつけか…。ダメダメ…決めつけは良くない）

武藤　綾香

（頑張れば報われるとか、周りに認めてもらえるとか…）

武藤　綾香

（私だってそう思ってたけど、結局、世渡り上手が得するんだよ）

武藤　綾香

（馬鹿正直は、本当にバカをみるだけ）

武藤　綾香

（そんなの…高校に入るまでに自分が経験してきたことじゃん）

武藤　綾香

（パーッと明るくってなに？そんなの疲れるだけ…）

学校の制服に着替えて外に出ると、石森さんが店の前に立っていた

武藤　綾香

…！？

武藤　綾香

（何でいるの…！？）

石森　隼人

武藤さん、よかったら途中まで一緒に帰らない？

武藤　綾香

ひとりで大丈夫です

石森　隼人

…………

石森　隼人

（夜だから心配して言ってるだけなんだけどなぁ）

武藤　綾香

（もう…構わないでほしいのに！）

石森　隼人

どうせ、駅方面行くんでしょ？なら、途中まで──

武藤　綾香

石森さん、しつこい

武藤　綾香

ちょっとイケメンだからって、誰でもついていくと思ったら大間違いなんだから…！

武藤　綾香

あ…

武藤　綾香

（ちょっと言い過ぎた？でもしつこいこの人が悪いんだから…！）

蒼い私はもういない

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私はそういう女好きよ（ｳｴｶﾗﾒｾﾝ🙇‍♀️）

でもまたそれがいいんですよねー

なんか展開が読めません！

春野せり

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