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三日月さんの事件簿

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三日月さんの事件簿

3 - 凶器のない殺人事件【3話目】

♥

20

2021年02月27日

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三日月

種明かししてあげますからね。

三日月

山和歌さん。

三日月

トロフィーとは、どんなものか、説明できますか。

佐々木

え?

佐々木

そんなの簡単よ。

佐々木

優秀な成績を残した者に与えられる優勝杯。

三日月

そうですね。

三日月

ですが、トロフィーには、ある意味合いがあります。

三日月

元々トロフィーは、戦利品を意味し、勝利の女神に祝福された勝者を称える儀式的な意味合いがあるんです。

山和歌

あら、そうなのね。

山和歌

だけど、それがどうかしたの?

三日月

犯人は、これを利用しました。

山和歌

・・・はい?

三日月

犯人は、旦那様のことをある一面では尊敬していましたが

三日月

その一方で、自分にない才能を持っている旦那様を、嘆賞しながら妬んでいた。

三日月

佐々木さん、あなたが腕につけている時計にプリントされている写真は、自分で描いた油絵の写真ですよね?

佐々木

な、何故わかったの。

三日月

手に、絵の具がついているので。

三日月

それに、キーホルダーも高級色鉛筆のミニチュアですし、絵がお好きなんだろうなと思いまして。

佐々木

ま、そうだけど。

佐々木

それが何よ。

三日月

旦那様の写真お持ちでないですか?

佐々木

あ、あるけど。

三日月

見せてください。

佐々木

…いいわよ。

佐々木

これよ。

三日月

…やっぱり。

三日月

旦那様、油絵を描くのがお得意でしたね?

佐々木

!!

佐々木

そ、そうよ。

三日月

佐々木さんの旦那様、新米油絵師集に載っていた方じゃないですか。

三日月

私、画集とかそういうのが大好きで、知っているんですよ。

三日月

…まぁ要するに何が言いたいのかと言いますと

三日月

自分より才能がある旦那様を、あなたは妬んでいたのでしょう?

三日月

それが、旦那様を殺そうと思ったきっかけですよね。

佐々木

だから私は夫を殺してなんか…

三日月

人を殺しておいて、嘘をつくんじゃない!

佐々木

っ!!

しばらく沈黙が続いた。

沈黙を破ったのは、混乱した山和歌さんだった

山和歌

…み、三日月さん。

山和歌

も、もし仮に殺したんだとして、どうやってまっちゃんが殺したというのです…?

三日月

佐々木さんは、当然、旦那様と同居していましたよね

三日月

ですから、何時だって旦那様を殺すことはできます。

山和歌

けど、私、まっちゃんの旦那さんが殺されてしまった日、まっちゃんと一緒にいたのよ?

三日月

旦那様が死んでしまった時、佐々木さんがそばにいたとは限りません

山和歌

ど、どういうことなの…?

三日月

例えば、少しずつ死へと近づけていくのだとしたら。

三日月

遠くにいたって、旦那様を殺すことは可能です。

山和歌

徐々に命を削るなんて、そんなこと出来るわけないでしょう…?!

三日月

いいえ。

三日月

色々と方法はありますよ。

三日月

例えば、薬を飲ませておくとか。

三日月

ほら、珈琲をつくってあげたりすると、仕事も捗る、と佐々木さんの旦那様が絵師集に載った時、そういうふうなことを自己紹介で書いていたじゃありませんか。

三日月

佐々木さんは、当然の事ながら、ご存知でしょう?

佐々木

…知らないわ。

佐々木

あの人が絵師集になんて…あんな絵で…

佐々木

ありえないでしょ!

三日月

佐々木さん、やっぱりあなた、旦那様がお嫌いだったのでしょう?

三日月

そして、仕事のお供に珈琲を作って
あげた時、薬を混ぜ込んだ。

三日月

どんな薬なのか、詳しくは分かりませんが、少しずつ死へと近づける事ができる薬なのでしょう。

三日月

あとは、もう簡単。

三日月

旦那様が珈琲を飲むのを見ていないで

三日月

山和歌さんと一緒に居ればアリバイだってできて、犯人にとっては、一石二鳥なのでしょうねぇ。

三日月

違いますか、佐々木さん。

佐々木

……ぁあああもう!

佐々木

そうよ!私が殺したのよ!

山和歌

え、ま、まっちゃんが…?

山和歌

なんで…?

佐々木

さっきこの女が言った通りよ!

佐々木

私は…あの人の才能が気に食わなかった。

佐々木

悔しかった。

佐々木

私は、ちっとも才能がないのに、あいつはあってさ。

佐々木

ほんとに…自分が嫌になった。

佐々木

どんな理由があっても人を殺しちゃいけない

佐々木

そんなことわかってたわ。

佐々木

けど…迷っていた私に、夫のビジネスパートナー、三ケ崎陸哉がある薬を差し出してきたの

佐々木

「これを使えば、心臓に行く血液を目一杯汚してくれて、これを飲んだ人はそのうち死んでしまう。」

佐々木

そう言って、私にタダであげると言ってきた。

佐々木

最初は、少し躊躇ったわ。

佐々木

だけど…もう限界だった。

佐々木

私は、そばに実力者がいると、おかしくなってしまいそうだったのよ!

佐々木

いや、もう…もうおかしくなっていたのよ!

佐々木

だから、その薬を、あんたが言った通り夫に作った珈琲に溶かして、あとは死んでもらうのを待っているだけだった。

佐々木

アリバイもできて、本当に本当にいい殺し方だった。

三日月

…そうですか。

三日月

では、質問です。

三日月

あなたは、旦那様を殺した後、正常な精神になりましたか。

佐々木

三日月

楽になりましたか。

佐々木

佐々木

…私は

佐々木

やっばり、あの人を嫌いになりきれていなかったみたい

佐々木

殺してしまった後悔の方がたくさん残っているわ。

佐々木

ざまぁみろと思えたのは一瞬だけ。

佐々木

清々しい気持ちになんてなれやしなかった。

三日月

楽にもなれないなら、旦那様を殺さずに自分の画力の向上を目指して努力をすればよかったわね。

三日月

本当に人間というのは愚かなものね。

三日月

さっ、警察に行きますよ、佐々木さん。

三日月

あと、三ケ崎陸哉さんにもお話を伺って警察に突き出しますよ。

佐々木

はい…

山和歌

ま、待って、まっちゃんを、連れていかないで…!

三日月

ダメですよ山和歌さん。

三日月

犯罪者は犯罪者ですから。

山和歌

そん、な…

佐々木

よみちゃん、ごめんね。

佐々木

こんな私と、仲良くしてくれててありがとう

佐々木

刑務所でみっちり教育してもらって、ちゃんと真っ当な人生を歩めるようになったら戻ってくるからね…。

三日月

一度犯してしまったことはもう償うことはできない。

三日月

行動するより先に、これをやってしまったらどうなるのか、未来を想像しないとですよ…

この作品はいかがでしたか?

20

コメント

3

ユーザー

面白かったですストーリー事件とかそうゆうの好きなのでまた書いてください!॑⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝⋆*

ユーザー

⤵初コメ失礼しますm(*_ _)m

ユーザー

0609って誕生日ですか?

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