この作品はいかがでしたか?
40
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放課後
私は、吸い込まれるように
図書室に入った
中は、まるで、
別世界のような空気感だった
そんなこんなで、
なにか、面白い本はないかと
探していると
私に読んでほしいかのように
その本しか、目に入らなかった
気づけば、その本を手にしていた
その本には、題名が無かった
本の著者も書かれていない
でも、綺麗にカバーが掛けられている
決して汚い訳ではなかった
ちょっと気になってカバーを外した
そこには、消されたかのような
跡が残っていた
私は、この本を読むことにした
家に帰って早速本を開く
どんな本なのかは、まだわからない
けれど、そこには、
ホワイト〜白〜
ただ、それだけが書かれていた
やっぱり、著者は書かれていない
でも、これは、きっと
この本のタイトルなのだということ
それだけしか、わからない
こんな本は初めてだった
だからこそ、読みたいという 気持ちが増していった
ページをめくる
白
それしかない
黒なんて一つもない
何も無い
他のページを見ても
同じだ
私は、がっかりして
本を閉じた
まわりはいつもと同じ
ではなかった
さっきは、もう、夕方だった
外は、紅く染まっていたはず
でも今は、
真っ白だった
雲なんかじゃ無い
なんの汚れもない空だった
まるで、あの本のように
白だけだった
太陽もなければ
月もない
まわりにも、誰もいない
その時、ふと昔の記憶がよぎった
毎日のように読書をすることが 大好きだった
沢山の本を読む
その中の一冊に
今の私のように
主人公が、なんの汚れもない世界に 迷い込む話を 読んだ
本当に、その話とそっくりな現象だ
だから、その話と同じことが起きる
そう察した
でも、結末が思い出せない
ハッピーエンドなのかもわからない
その本の題名も思い出せない
でも、さっきの本は ホワイト〜白〜
そう書かれていた
でも、何をすればいいのかわからない
辺りを見渡すと
崖があった
なんの変哲も無い崖だ
なのに、足が勝手に動いていく
崖の端から見た景色は、
なぜか、綺麗だとは、思えなかった
空は白
でも、海が青い
普通じゃない
海は空の色と同じになるはず
けど、違った
崖で寝そべって空を見る
すると、いつの間にか寝ていた
不意に、海を見た
紅
夕焼けのように染まっている
でも、空は白
その光景は
空だけが時間を知らないようだった
あたりの建物にも夕焼けがうつっている
空は、何も寄せ付けたくないかのように
白
ホワイトだった
空だけが時間を忘れている
なんとも不思議な光景
汚れ
時を過ごした汚れがない
今の空はそんな風に思えた
トントンと肩をたたかれた
振り向くと
男の人が立っていた
私と同じか ちょっと上くらいだろうか
でも、その人の服を見ると
同じ学校の制服を着ていた
その人は
この空と同じように
なんの汚れもないように見える
その人は
静かに隣に座って空を見上げた
真っ白な空を
そして、私に白いバラのネックレスを 差し出した
私は、不思議に思った
なぜ、私に渡すのか
私は、ずっとネックレスを 見つめるだけでいた
すると、男の人が口を開いた
『あげる』と、
私は、恐る恐る受け取った
その、ネックレスはとても綺麗だった
何色にも染まっていない
すると、雪が降ってきた
すると、空が元に戻って行く
その時、ふと時計が見えた
そこには、日付と時間が
あの本を開いてから一週間だった
目を開けると、そこは、図書室
日付と時間は、
本を開いてから、1時間
おかしい
あの時とは、違う
とっさに手を見た
手には、あの時のネックレスがある
もう片方の手には、本
本を開くと、
中には、びっしりと、文字があった
あの出来事から年月が経ち
私は、社会人になった
あれから、あの本は、 もう、見ていないけれど
ずっと、ネックレスはもっている
時々思う、
あの学校で私と同じ体験を する人はいるのかと…
コメント
81件
んーやっぱなんもない!勘違いさせてごめんね!!💦
とうしたの!?
( ੭ ・ᴗ・ )੭そうだね!