バンッ
夜空に響く、銃声。
この音は、幾度も聞いている。
その音と共に、鮮血が飛び散るのも、何度も見ている。
柳 炸
…こちら2ー4ノ32番。
柳 炸
特能正義学園重要人物、二戸嶋 梢、射殺完了。
カチッ、と冷たいボタンを押す。
そして、一息つく。
柳 炸
ふう…
俺は、柳 炸(やなぎさく)。
ー闇ノ学園、刹那学園の暗殺者だ。
朝、俺は冷たいコンクートの道路を靴で踏み鳴らす。
柳 炸
(…昨夜の敵には手を焼いたな)
柳 炸
(はあ、疲れた…)
今日はもう早退しようかな、と思った矢先
猩路 屑
さーーーーくーーー!!
柳 炸
がっ!?
背中から、とてつもない衝撃が襲ってきた。
猩路 屑
さくー!!
猩路 屑
おはよーー!!
柳 炸
…あう…あうう…
柳 炸
…なんだよ、屑(せつ)…
柳 炸
朝から…騒がしいな…
猩路 屑
炸が静か過ぎるの!!
猩路 屑
もうちょっと明るくすればいいのに…
柳 炸
これが俺の普通なんだよ…
猩路 屑
知ってるよ〜
猩路 屑
私は炸は、姉弟見たいなモンだからね!
柳 炸
…まあね
猩路 屑
ささ!早く行こ〜
猩路 屑
遅刻しちゃう〜
柳 炸
…はあ
柳 炸
ほんと…能天気だな…
ー学校ー
キーンコーンカーンコーン…
先生
席に着けー
先生
HR始めるぞー
皆が、ガタガタと音を立て、席に 座っていく。
先生
えー、
先生
昨夜、特能正義学園のターゲットが射殺された。
先生
名前は、二戸嶋 梢。
その瞬間、教室がざわついた。
クラスメート
マジかよ…
クラスメート
二戸嶋 梢って、確か周囲察知の能力だったよな…?
柳 炸
(うわ、先生余計なことを…)
柳 炸
(…この、能力は)
柳 炸
(本当に、人殺しにしか役に立たない)
柳 炸
(…俺なんでここの学校に入ったんだろう…)
先生
だから、ターゲットはまた新しく変わることになる
柳 炸
(…次は…と…)
先生
次は、砒石 颯(ひせき そう)だ。
先生
注意するように
先生
砒石にあったら、逃げろ。
先生
分かったな?
クラスメート
はぁい
授業そろそろ始まるなと思って、机に教科の準備をする。
すると、先生に呼び止められた。
先生
柳
柳 炸
はい…?
先生
ちょっと、職員室に来れるか?
柳 炸
…分かりました
俺は、席を立って職員室に向かった。
ー職員室ー
柳 炸
それで、何の用でしょうか…
先生
…昨夜、二戸嶋 梢を射殺したのはお前だよな
柳 炸
…はい
柳 炸
そうですか、何か…?
先生
今朝、その事で重要会議が開かれた。
柳 炸
…!?
重要会議とは、刹那学園で一番内容が重たい話し合いだ。
柳 炸
…何か俺やらかしたんですか…?
先生
やらかした訳ではない
先生
でもな、柳
先生
お前の才能と能力は、この刹那学園の運命を変える力があるんだ
先生
だから…
先生
…
先生
俺も、少しは躊躇った
柳 炸
先生
柳 炸
間合いは要りません
柳 炸
単刀直入に言ってください
先生
そう、か…
先生
じゃあ、言うが…
先生は、少し眉をひそめた後、下を瞑ってこう言った。
先生
柳、お前に
先生
特能正義学園にスパイとして通って欲しいんだ
柳 炸
!?
視界が、少しぐらついた。