椛 朱音
人生においてお金さえあればなんとかなる
椛 朱音
私は両親にそう教えられました
椛 朱音
実際私のお父様は会社の社長でしたし
椛 朱音
お母様は政治家でした
椛 朱音
「お金」と言ったものをばら撒くことで楽に生きていました
椛 朱音
ただそんな概念は物心がついてすぐの頃
椛 朱音
簡単に打ち砕かれました
椛 朱音
お父様が殺害された
椛 朱音
理由は「お金」
椛 朱音
害悪武族がお父様の「お金」を狙ったのです
椛 朱音
私は色んな人に「お金」をばら撒きました
椛 朱音
お母様にも、親戚の方にも
椛 朱音
いろんな人に大量の「お金」をばら撒きました
椛 朱音
ただ…
椛 朱音
お父様に会える日は来ませんでした
椛 朱音
あんな一万と印刷されただけの紙切れ
椛 朱音
紙切れでは運命は変えられない
椛 朱音
そんなものでは何もできない
椛 朱音
紙切れなどいくらあっても無駄だと知った
椛 朱音
あの日から
椛 朱音
以後私は知った
椛 朱音
本当に必要なのは自分の能力
椛 朱音
なんでもできる能力が有ればどうにか運命を変えられる
椛 朱音
それをきっかけに私は武族選抜に立ち向かうことにした
椛 朱音
誰かの縁が断ち切られないように
椛 朱音
同時に私が
椛 朱音
少しでも存在していると思いたくて
椛 朱音
「才能」、「センス」
椛 朱音
そんなもの私には皆無
椛 朱音
あったのは一つの突出能力
行動制限化
椛 朱音
私が言った言葉の範囲内にさせられるもの
椛 朱音
私より格下なら『死ね』
椛 朱音
これでおわる
椛 朱音
ただ上ならもっと具体的でコストの低いものでないとかなわない
椛 朱音
コストの高いものを叶えるにはそれなりの代償がいる
椛 朱音
例えば…
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格上を「死ね」で殺すには自分も殺される
椛 朱音
…とか
椛 朱音
100%勝てないならそれも手段
椛 朱音
たかが紙切れより有能なものだった
椛 朱音
私はいつかお母様と笑える日が来る
椛 朱音
そう信じていた
椛 朱音
だけど…
椛 朱音
争いは悪化していった
椛 朱音
私の家はある日襲撃された
椛 朱音
たまたま私が能力持ってたから死者が出ないままで追い返せた
椛 朱音
ただ…
椛 朱音
私の左目は見えなくなった
椛 朱音
その瞬間私に時間がないことを悟った
椛 朱音
もう、終わりが迫ってるって
椛 朱音
私は非効率なことは一切しない
椛 朱音
何故なら私には時間が残されていないから
椛 朱音
「特眼支障故障症」
椛 朱音
遊族ならではの病気
椛 朱音
今は25歳
椛 朱音
だけど特眼支障故障症の患者は28 歳までしか生きられない
椛 朱音
私の人生の終わりは決まっている
椛 朱音
それに28までに死ぬことだって少なくない
椛 朱音
だから一刻も私は無駄にできない
椛 朱音
いつ死ぬかわからないもの
椛 朱音
だからいかなる時も私はムラを削り
椛 朱音
最も効率的で合理的な選択を選ぶ
椛 朱音
私が死んだ後でも多くの人が笑えてほしい
椛 朱音
だから常に選択には迷わない
椛 朱音
その代償が私の命だとしても
椛 朱音
私の運命を変えた武族…そこを今倒すべき
椛 朱音
選択するべきなのは私が楽な道ではない…
椛 朱音
遊族の勝利
椛 朱音
二度と理不尽なことが起こらないように努めること
椛 朱音
私は武族選抜を消すためなら…
椛 朱音
すでに
椛 朱音
とっくに
椛 朱音
命など天秤にかけている