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現実に殺される前に

4 - 現実に殺される前に 第1章 灯原 光喜③

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2019年08月21日

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ジリリリリリリッ‼︎

灯原

灯原

うわぁっ⁉︎

僕は、けたたましい目覚ましの音で強制的に起こされた。

灯原

灯原

はぁ...

今日はいつもと違う日だ。

灯原

学校に行きたくないけど、昨日の夜約束したしなぁ...

あの夢だか現実だかハッキリとしない出来事。

信じるか信じないかは置いておいて、ただ気になりはする。

灯原

灯原

行くか...

僕は久しぶりに学校に行く支度を始めた。

正午を少し過ぎた頃、僕は屋上の扉の目の前にいた。

灯原

予定だと大体、この時間かな...

僕は力一杯に扉を開けた。

すると彼女はこちらに気付いた様子で笑みをこぼした。

水鏡

やっほー‼︎昨日ぶりだね‼︎

灯原

やっぱり、夢じゃなかったんだ...

水鏡

えー?夢だと思ってたの?

灯原

だって昨日別れた後、僕は部屋にいたから...

水鏡

あー、あれはね...

水鏡

水鏡

雫マジックだよ‼︎

灯原

は?

水鏡

まあ、要するに秘密ってことだよ‼︎

灯原

(何だか、はぐらかされたような...)

水鏡

それより、早く本題に入ろうよ‼︎

灯原

あ、うん...

言われるがまま、僕と水鏡さんは対面をするように座った。

水鏡

で、小説が炎上して暴露されて今に至る訳だけど...

水鏡

灯原君は小説を書くことはどのくらい好きなのかな?

灯原

ど、どのくらいって...

僕は両手を目一杯に広げて表した。

水鏡

あははっ‼︎なるほどね‼︎

水鏡さんは僕をからかう様に笑った。

水鏡

じゃあさ、その小説は誰の為に書いてるの?

誰の為...?

灯原

それは...僕の小説を見てくれる人の為だよ...

水鏡

ホントニー?

灯原

な、何だよ...

水鏡

まあ、いいや。

水鏡

じゃあさ...

水鏡

水鏡

炎上した時にいつも読んでくれている人は君を助けてくれた?

灯原

それはもちろ...

...あれ?

どうして即答しないんだ...?

水鏡

いつも、いいねをしてくれる人は?いつも、コメントをくれる人は?

灯原

....

水鏡

もしかしてさ...

水鏡

水鏡

誰も助けてくれなかったんじゃないかな?

灯原

そ...そんな筈...

『いつも楽しみにしてます‼︎』

あれ...?あの人は確か...

『謝るってことは認めたってことですよね?さっさと消してください。』

灯原

灯原

う、嘘だ...

水鏡

思い出したかな?

僕はショックで頭を抱えた。

灯原

じゃあ僕は...

灯原

灯原

誰の為に小説を書いているんだ...?

水鏡

....

水鏡

灯原君。君はさ、難しく考え過ぎなんじゃないかな...?

水鏡

私も昔、小説じゃないけど詩を書いていた時期があってね...

水鏡

私はそれを何も考えずにSNSで発信したんだよ。

水鏡

そうしたら、いいねやコメントがたくさん来たんだよね。

水鏡

その時に私は、共感者がたくさんいて嬉しい‼︎...とかは思わなかったんだ。

水鏡

水鏡

お前らに私の何が分かるんだよ...って思ったんだ。

灯原

えっ...

水鏡

だって私は私の為に書いただけなのに、知らない人達が同情してくるんだもん。

水鏡

...だからね、灯原君。

水鏡

水鏡

小説を書くのなら人の為じゃない。自分の為に書いてごらん。

灯原

自分の為に...?

水鏡

そう‼︎自己中で何が悪い‼︎

灯原

ふふっ...

水鏡

おや?今、笑ったね?

灯原

あっ...いや、これは...

水鏡

あははっ‼︎恥ずかしがらなくてもいいよ。

僕は落ち着いたのか、不思議と笑みがこぼれた。

そんな僕を見て水鏡さんも笑った。

だがそれは、からかう様な笑みではなかった。

心の底からの笑顔だと分かった。

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