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詐欺師を騙す復讐方法

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詐欺師を騙す復讐方法

1 - 詐欺師を騙す復讐方法 第1話

♥

635

2021年01月05日

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ほんの数月前まで

ぼくには愛する家族がいた

タクミの母

ホタル、誕生日おめでとう!

芦辺ホタル

ありがとー

芦辺タクミ

ローソクは4本でいいよな?

芦辺ホタル

14歳だから14本!

芦辺タクミ

ケーキが穴だらけになっちゃうぞ

タクミの父

ほら、プレゼントだ

芦辺ホタル

やった!

タクミの父

ホタルが欲しがってた

タクミの父

ノートパソコンだぞ

芦辺ホタル

マッグブック!?

芦辺タクミ

すげぇ!

タクミの母

そんな高いもの…

芦辺ホタル

おとうさん、ありがとう!

芦辺タクミ

ホタルばっかりずるくない?

タクミの父

オマエの誕生日も、もうすぐだろ

タクミの父

もっといいもの買ってやるぞ

芦辺タクミ

ホントに?

タクミの母

…………

その夜──

タクミの母

どういうつもり?

タクミの父

んあ?

タクミの母

私に相談もなしに

タクミの母

あんな高いものを…

タクミの父

まだ言ってるのか

タクミの父

ホタルも喜んでたじゃないか

タクミの母

ウチにそんな余裕はありません

タクミの母

工場の経営もうまくいってないんでしょ?

タクミの父

金のことなら心配するな

タクミの父

確実に儲かる投資先を教えてもらったんだ

タクミの母

なによそれ…

タクミの母

そんな怪しい話を信じたの?

タクミの父

浅沼の紹介なんだよ

タクミの父

あいつの言うことなら信用できる

父さんは、小さな町工場を経営していた

浅沼ハルオは、父さんの高校時代からの親友だった

浅沼ハルオ

よう!

浅沼ハルオ

調子はどうだ?

タクミの父

最高だよ

タクミの父

もう200万も儲かった

浅沼ハルオ

だろ?オレの言うとおりだ

タクミの父

この調子でいけば

タクミの父

工場の設備も新しくできそうだ

浅沼ハルオ

おいおい、なんだよ

浅沼ハルオ

これっぽっちで満足してるのか?

タクミの父

…え?

浅沼ハルオ

もっとオレに金を預けろ

浅沼ハルオ

いくらでも、ぼろ儲けできるぞ

タクミの父

そんな金はないよ

浅沼ハルオ

ないなら、銀行に借りればいい

浅沼ハルオ

工場と自宅を担保にしろよ

タクミの父

いや、それは…

浅沼ハルオ

ま、どうするかはオマエの自由だ

浅沼ハルオ

オレならこのチャンスを逃さないが

タクミの父

…………

浅沼ハルオ

なあ、ここで大勝負に出て

浅沼ハルオ

家族を喜ばせてやろうぜ

タクミの父

(来年はホタルが高校に進む)

タクミの父

(タクミも再来年には大学生だ)

タクミの父

(工場の赤字のことも考えると)

タクミの父

(いくらあっても金がたりない…)

翌日──

浅沼ハルオ

もしもし?

タクミの父

ハルオ、私だ

浅沼ハルオ

なんだ、どうした?

タクミの父

昨日話した、追加投資の件だよ

タクミの父

オマエの言うとおり

タクミの父

チャレンジしてみようと思う

浅沼ハルオ

本当か、よく決意したな

タクミの父

絶対に…儲かるんだろ?

浅沼ハルオ

オレが保証するよ

浅沼ハルオ

いまからそっちへ行ってもいいか?

タクミの父

ああ、工場に来てくれ

ツー、ツー、ツー

浅沼ハルオ

へへへ…

浅沼ハルオ

バカめ

浅沼を信じて、父さんはさらに大金を投資した

だけど2ヶ月後には──

タクミの父

もう少し、待ってください

銀行員

そう言われましてもね

銀行員

今月分の利息は払っていただかないと

タクミの父

金はすぐに用意できます!

タクミの父

資産を預けた知人から、入金があるはずなんです

タクミの父

なぜか遅れていますが…

銀行員

その知人の方とは

銀行員

連絡がとれているんですか?

タクミの父

いや…それが…

タクミの父

スマホを変えたのかな…

銀行員

よくある手口ですね

タクミの父

え?

銀行員

あなた、騙されたんですよ

銀行員

投資したお金を持ち逃げされたんです

タクミの父

ち、違う!

タクミの父

あいつはそんな人間じゃありません!

タクミの父

私を騙すなんて…そんな…

ピンポンピンポンピンポーン!

タクミの父

ハルオ、いるんだろ!

ドンドンドン!

タクミの父

なあ、ハルオ!

タクミの父

預けた金を返してくれ!

タクミの父

月末までに金が戻らないと困るんだ!

タクミの父

工場も自宅も、銀行に持って行かれ

タクミの父

私は…破産する…

タクミの父

頼むよ、ハルオ!

隣家の住人

──なあ

タクミの父

はい?

隣家の住人

隣で叫ぶのはやめてもらえんか

隣家の住人

うるさくてかなわん

タクミの父

申し訳ありませんが

タクミの父

こっちも人生がかかってるんです!

タクミの父

ハルオに会うまでは──

隣家の住人

浅沼さんなら戻らんよ

タクミの父

…え?

隣家の住人

半月ほど前に引っ越した

隣家の住人

挨拶もなしに、とつぜん消えたんだ

タクミの父

そんな…

タクミの母

ねえ、投資はどうなってる?

タクミの父

…え?

タクミの母

順調に儲かってるの?

タクミの父

あ、ああ…

タクミの母

もうすぐ、タクミの誕生日でしょ?

タクミの母

あの子、ロードバイクが欲しいんですって

タクミの父

そうか…

タクミの母

かなり高い買い物だけど

タクミの母

本人は買ってもらえると思ってるみたいよ

タクミの母

期待させておいていい?

タクミの父

…………

タクミの母

…あなた?

タクミの父

大丈夫…

タクミの父

私に任せておけ…

それから、4日が過ぎた

ぼくたち家族は、誰も父さんの異変に気づけなかった

タクミの母

あっ…が…!

タクミの父

すまない…

タクミの母

や…め…!

タクミの父

こうするしか…

自分の部屋で寝ていたぼくは

母さんが絞め殺される声に目を覚ました

芦辺タクミ

なんだ…?

ベッドを這いだし、部屋から出ると

真っ暗な廊下に、誰かが立っていた

芦辺タクミ

父さん…?

タクミの父

…………

芦辺タクミ

なにしてんの?

タクミの父

こうするしかないんだ…

芦辺タクミ

え…?

タクミの父

せめてオマエたちは

タクミの父

苦しまないように…

父さんはそう呟くと、妹の部屋のドアを開けて中に入った

芦辺タクミ

なにやってんの

芦辺タクミ

勝手に入ったらまた──

ドガッ!

芦辺タクミ

え?

ぼくは父さんを追って妹の部屋へ入り

急いで電気を点けた

ベッドの上は血まみれだった

鉄アレイで頭を砕かれたホタルが

無惨な死体となって横たわっていた

芦辺タクミ

なんだよ…これ…

タクミの父

な、一瞬だろ

タクミの父

痛くないから、安心しろ

芦辺タクミ

父さん…どうして…

タクミの父

私たちは家族だ…

タクミの父

ずっと一緒に…

芦辺タクミ

(まずい、父さんが鉄アレイを振り上げて──)

ブンッ!!

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コメント

11

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父さん、、、うそだろ、、

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