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良かったです…! 本当に良かったです…!!! 孝太君も澪さんもおめでとうございます😭 そして、非リア弟さんのお話ならどんなに長くても全く疲れません 長いとすら思いません
澪「作者がビクビクしてんねん。ちょうどいい長さの物語を作る為に100~130タップで話を作るってルールが一応作者にはあるんやけど 最近破りまくってるから。(今回182タップ)そろそろ読むの疲れるな~って思われてるんじゃないかって作者がビクビクしてる。 次回は番外編やで!読んでくれてありがとう!」
(」’ω’)」オォオォオ!!!ウウゥゥアアォオo( '-' )ノ)`-' )ボコッ すみませんでした
澪
塞がった喉をこじ開けて、ようやくその言葉を引きずり出した。
「もう帰るよ」と声をかけられた子どものような、
痛みに耐えるような微笑を浮かべて 孝太君は掴んでいた手を離した。
直視出来なくて水槽に視線を移した。
___館内に薄くかかっているBGMも シャッター音も話し声も
高速で脈打つ なにか が遮って 何も聞こえない。
息が詰まって喉がカラカラに渇いてるけど 懸命に言葉を絞り出した。
澪
ぴったりと寄りそって漂う2匹の海月(クラゲ)が視界に入った。
澪
限界だった。
澪
何を言って何をしたら良いのか分からなくて、逃げるように「クラゲ」エリアを出た。
掴まれた手から全身に熱が広がって、クールダウンする為に1人になりたかった。
孝太君は追って来なかった。どこに行くのか も尋ねて来なかった。
__ただ何か吹っ切れたような顔をして海月を眺めていた。
幸いにも人が少ないトイレの、1番奥の個室に入り鍵をかけた。
ドアを背にして しゃがみ込んだ。
鏡を見なくても自分がどんな顔をしているか分かる。 ____夢じゃない。
口に手を当てて呼吸を落ち着かせる。
澪
私の震えた声は 吐き出したそばから空気に溶けていった。
意味が分からない。 脈絡が無さすぎて急展開すぎる。
本当に意味が分からない。 「少し時間が欲しい」なんて
答えなんて ずっと前から出てるのに。
返事なんて あの3文字で充分なのに。
なにを求めているんだろう。
__あの人が塾に行くまでの短い距離を埋める話し相手__ それ以上 なんて求めてはいけない。
偶然に偶然が重なって話すようになっただけ。それだけ。
高校に行って大学に行って……きっと私より素敵な女性に出会えるはずだ。
6歳も年が離れてて、流行りにも あまり乗れない私では釣り合わない。相応しくない。
傷つくだけ。そんな傷は負いたくない。
きっと立ち直れない。
答えはずっと前から出てるから。
___呼吸が落ち着いてきた。
ノーと言わないといけない。
私と貴方の為に。
足取りは自然と ゆっくりになった。
私はちゃんと平静を保てるのだろうか。 ちゃんと返事が__
____ふと足の裏に違和感を感じた。
足元を見ると、何かを踏んでしまったらしいことが分かった。
拾ってみると小銭入れだった。結構な量が入っている。
落とし物はどこに預けたらいいのか考えていると___
前方から 派手な服装とメイクの女性が喚きながら歩いてきた。
隣を歩く男性は、しきりに頭を掻きながら困ったような笑みを浮かべている。
会話の内容から察するに落とした小銭入れを探しているようだ。
私は さっき拾った小銭入れを持って彼らに近づいた。
澪
女性は 私が差し出した小銭入れを指差して大袈裟に喚いた。
探し物が見つかった安堵からか 普段から思うところがあったのか
女性は こっちが気の毒に思うほど男性を罵った。
男性は しきりに頭を掻きながら愛想笑いを浮かべているが、笑みはひきつってる。
よく耐えてられるなぁ、と思っていると男性の頭を掻く手が止まった。
男性は愛想笑いを納めると私を指差した。
澪
思わず声が出た。 ___そんなにも彼女に気に入られたいのか…
「彼女の財布を盗んだ悪者を弾劾するカッコいい自分」を演じるのに熱が入ってきたのか
男性の声のボリュームはどんどん大きくなる。
澪
そろそろ面倒臭くなってきたので刺々しい声が出た。
私の反論に男性は顔を歪めて、ひときわ大きな声で喚いた。
___また か。
中学の時から幾度も味わってきた 胸が引き裂かれるような感覚_____。
「次の音読あの人からだよ」 「お楽しみタイムじゃん」 「アンタいつも笑いすぎだから」 「次の音読は私語厳禁だからね!」
「あーーやっぱりネットで見た通りだ。[雨]の発音違うね。[め]が高い。もう1回言ってみて。 いーーーよ。無理に標準語にしなくて。逆に変だから」
「相原さん関西なの?じゃあ あの挨拶してる?[儲かりまっか]って。 え、それヨシムラ新喜劇だけ?何マジレスしてんの。ノリ悪いな関西人のくせに」
_____嫌な思いも不快な思いも沢山してきた。
「無理に ここに留まる必要はない」 「望むなら関西の学校に進学してもいい」
高校、大学と進学するたびに両親から そう言われたけど 様々な理由でその申し出を断った。
自分を理解してくれる親友が出来たから。 こっちの学校の方が魅力的だったから。
こんな人達に「逃げた」と思われたくないから。
_____きっと こういうところも 、あの人と釣り会わへん一因なんやろな
澪
澪
興奮気味の男性は私の肩を強く押した。
思いがけず強い力で、バランスを崩しかけた私を
誰かが後ろで支えた。
振り返らなくても誰か分かった。 耳の近くで聞き慣れた声が通過した。
山崎孝太
山崎孝太
彼の声は薄暗い館内に浸透していった。
「確かにアレはひどい」「すぐ暴力に訴えるのマジ無理」 あちこちで控え目な声が上がる。
気づかなかったけど、私たちのやり取りは結構注目を集めていたらしい。
周りから非難の目を向けられて、ようやく男性も我に返ったようだ。
ずっと隣にいた女性が不機嫌な顔で 男性の服を引っ張った。
女性は男性を引きずるようにして去って行った。
山崎孝太
山崎孝太
澪
澪
澪
澪
山崎孝太
山崎孝太
山崎孝太
澪
山崎孝太
澪
山崎孝太
山崎孝太
山崎孝太
澪
澪
山崎孝太
私はズルい人間だと思う。
答えなんて決まってるのに保留にして
釣り会わないって分かってるのに
さりげなく彼女が居ないか聞いて、彼女が居ないと分かった時も 今こうやって慰めて貰った時も
嬉しかったんだから。
捨てないといけないのに、また手繰り寄せてしまった。
たくさん笑った。
涙が出るほど笑った。
間違いない、と確信した。
夕日が白い「ハート石」をオレンジに染めている。
時刻は5時半を回っている。 のぞみ達と合流して夕食を食べにいくことになった。
水族館を出てみたけど、まだ のぞみ達は来ていない。
「ハート石」の近くに設けられているベンチに腰掛けたけど
私も孝太君も「そこ」に行こうとはしなかった。
夕日が照らす中、「ハート石」の前で記念写真を撮るたくさんの人を眺めながら
呟くように声を出した。
澪
澪
澪
山崎孝太
山崎孝太
澪
山崎孝太
即答したことが気になって横目で孝太君の様子を伺うと、孝太君も私を見ていた。
山崎孝太
息を吐いた。 自然と笑みが漏れた。
澪
澪
孝太君も同じような笑みを浮かべて頷いた。
澪
山崎孝太
澪
山崎孝太
密やかに言葉を紡いだ。 貴方だけに聞こえるように。
澪
山川のぞみ
山川のぞみ
澪
澪
山川のぞみ
澪
澪
山川のぞみ
私は のぞみにスマホを預けると
孝太君の手を引いて「ハート石」へと歩き出した。