切島鋭児郎
な、なんすか…?俺なんか悪いことでも…

如月四葉
いえお説教ではないのでご安心ください

切島鋭児郎
あはい…。

如月四葉
先日この教室から出てくる芦戸さんと遭遇しましたよね

切島鋭児郎
おう

如月四葉
…何故切島くんはこの廊下を通ったのですか?

普通に気になってしまっていた。生徒会室はあまり人気(ひとけ)のないところに設置されているため生徒会室の前の廊下を通ることはあまりない
切島鋭児郎
別に…たまたまだけど

如月四葉
何か私に゛伝えたいこと゛があったのではないですか?

切島鋭児郎
…先生鋭いっすね

如月四葉
…?

切島鋭児郎
先生はなんか三奈と俺の関係知ってるの?

如月四葉
中学から疎遠だったことぐらい…

切島鋭児郎
そうそう

切島鋭児郎
…先生と俺と緑谷で緑谷の本音を聞いたときあったじゃん

如月四葉
…はい

切島鋭児郎
あんときさ俺が「分かんだよ、俺もっ…!」って言ったの覚えてる?

如月四葉
覚えてます

切島鋭児郎
俺ね中学の頃いじめ受けてたんだ

如月四葉
…えっ、?

切島鋭児郎
今じゃ想像つかねーよな。緑谷ほど酷くはなかったけどかなり精神的にきたんだ。そのときは俺たち中学で三奈とも疎遠でさ

如月四葉
…「三奈もいじめを受けているんですか?」ってあの廊下で聞いたときはことはそういうことだったんですね

※そういうことっていうのは自分(切島くん)もいじめにあったことがあるから「も」をつけていた
切島鋭児郎
俺の言ったことよく覚えてるなwあれは過去に俺もいじめをされていたっていうサインだったんだよね。んでいじめをされてたときは毎日毎日「助けてほしい」って心の底から願ってた。腐るほど。

切島鋭児郎
本当に死にそうになったときあいつ静かに助けてくれたんだ

如月四葉
静かに…?

切島鋭児郎
そう。「何してんの?やめなよ」って。そんときから三奈は陽キャで権力を持ってた人だからさいじめてたやつらはいじめすんの辞めたんだ。でも助けてくれたからもしかしたらまた仲良くなれるきっかけになるかもって思ったけど結局話しかけることすらできなくて…

切島鋭児郎
気づいたら高校生になってた

如月四葉
…

切島鋭児郎
もう高校まで別々になったら三奈と話すことは一生ないんだなーって思ってた。けど高校も同じでクラスも同じになった。これは…運命だなって

切島鋭児郎
そん時から俺気づいたんだよね。「こんなに三奈のこと考えんならあいつのこと好きなんだな」って。こんなにあいつに話しかけたいって思うなら好きなんだなって

切島鋭児郎
でも高校になってからの三奈は昔と違って緑谷のいじめに加担していたし悪い意味で明るいっていうか…。俺の中での三奈とは正反対になっていた。でもこれ俺の気のせいかもしんないけど緑谷をいじめているときの様子おかしかったんだ

切島鋭児郎
それで唯一気づいたのは三奈は本心でいじめたいっていうわけじゃないってこと。あいつは自分の居場所を常に傍らに置いておきたいタイプだからどんなに悪い奴らでも居場所があればそれでいいって。

切島鋭児郎
多分三奈は気づいてほしかったんだと思うんだ

如月四葉
気づいてほしかった…?

切島鋭児郎
そう。緑谷のときみたいに「助けてほしい」って。本当の居場所はここじゃないって

如月四葉
…

切島鋭児郎
それで俺が導いてやっていればよかったんだ。それなのに俺は…三奈の手を振り払った。(物理的にではない)

切島鋭児郎
俺もう…三奈に嫌われてるよな…?もう1回肩を並べて話したいだけなのに…もう話せることもねえよっ…!当たり前に隣りにいた人が他人だなんて辛えよ…。「ずっと前から好きだった」って言いたかった。…もうそれも叶わねえなんて…

如月四葉
それがもし叶うと言われたら?

切島鋭児郎
え、?

如月四葉
6日後

切島鋭児郎
、!?

如月四葉
体育祭です。貴方は借り物競走に出ますね

切島鋭児郎
お、おう…

如月四葉
絶対に自分の意思で書いてある紙に進んでください。そしたらきっと貴方が今抱えている問題も…解決できるでしょう

切島鋭児郎
…本当かよ、…

如月四葉
必ず保証は取ります

切島鋭児郎
…そっか、俺は自分の思い通りに行けばいいんだな

如月四葉
そうです

切島鋭児郎
…本当に?

如月四葉
本当ですよ

切島鋭児郎
わかった。ありがとう話聞いてくれて

如月四葉
いえ、呼び止めたのは私ですから

切島鋭児郎
…三奈にもなにか言ったんすか

如月四葉
…

切島鋭児郎
…まあ先生の言う通りにすればいいんすよね

如月四葉
…はい

切島鋭児郎
ならそうするしかないよな、じゃさよなら

如月四葉
…さようなら

切島くんはもう芦戸さんの好意に気づいていた…?いや…でも。
2人はお互い話さずにいるから…違うのでは…?