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不浄坊

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不浄坊

1 - 不浄坊 第1話

♥

108

2021年06月22日

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葉子

水曜日、早くこないかなぁっ

朱里

水曜って…蒼井先生の補習?

葉子

そ!

朱里

葉子…

朱里

カンニングした罰の補習なんだから

葉子

わ、分かってるよ!

葉子

すっごい反省した

葉子

水曜日もするし

朱里

…本当かなぁ

葉子

本当本当

葉子

蒼井先生にもたっぷり怒られたんだから…うふ

朱里

(嬉しそう…)

朱里

(本当、蒼井先生が好きなんだから)

そこで、背の高い男が2人を追い抜いた

葉子

あっ!

葉子

蒼井せんせ──

蒼井先生

──桃山先生!大丈夫ですか!

蒼井先生の行く先に

具合の悪そうな女教師がうずくまっていた

桃山先生

…………

朱里

(桃山先生、久しぶりだ)

朱里

(もう身体大丈夫なのかな)

葉子

もう…

葉子

桃山先生ったら

葉子

蒼井先生の気を引きたくて

葉子

わざとヨロヨロ歩いてるんじゃないかな

朱里

よ、葉子!

葉子

ペンダントなんてつけて

葉子

色気づいちゃってさ!

朱里

(そういえば)

朱里

(桃山先生がアクセサリーなんて珍しい)

葉子

2人が付き合ってるなんて噂あったけど

葉子

あれ、デマだからね

朱里

そうなの?

葉子

うん、補習の時に確認したから間違いない

葉子

桃山先生みたいに小さい人は

葉子

蒼井先生の好みじゃないんだって

朱里

そうなんだ、知らなかった

葉子

ね、朱里!

葉子

蒼井先生を手伝いに行こう

朱里が目を向けると

蒼井先生は桃山先生に肩を貸し

2人分の荷物を持っていた

朱里

…そうだねっ

蒼井先生

何で来たんだ?

桃山先生

…………

葉子

蒼井せんせーい!

男子生徒1

おい!!あれを見ろ!!

葉子

え?

朱里

なに?

男子生徒2

──え?

男子生徒2

ってうわあああああああ!!!

女子生徒

いやああああ!!!!!!

辺り一帯が騒然とした

朱里

(一体何が起こって…?)

朱里

(皆、上を見てる…?)

男子生徒1

落ちる!!危ない!!!

男子生徒1

──避けろ!!

朱里

(は?)

ドシャッ

朱里が振り返ると──

視界が真っ赤に染まった

朱里

(──は?なにこれ…?)

朱里

(あったかい…)

葉子

いやああああああああ!!!

女子生徒

きゃあああああ!!!

男子生徒2

うわあああああああ!

朱里

(鉄の匂い…)

葉子

朱里!何してるの!!

葉子

早く離れようよぉ!!!!

朱里

(転がる首と…身体…)

朱里

(し、死んでる…?)

葉子

ねえ!朱里ってばああ!!!

葉子

何見てる…──!!

横たわる生首の目は未だギョロギョロと動き

朱里たちを捉えた

葉子

ヒイイイ!!!

生首はゆっくりと唇を開く

『ユルサナイ…オマエモ、オマエモダ…!』

葉子

きゃああああああああああ!!!!

朱里

(あ…)

朱里

(──頭が真っ白に…)

ドンッ

朱里

(あれ…?今何かが胸を突き抜けた?)

朱里

(白い風…)

朱里

(あったかくて優しい…)

そこで朱里は気を失った

朱里

…………

朱里

ん?

朱里

あれ、私何をして…

朱里

──ッ!

朱里

(なんか頭痛いな)

朱里

(それよりここは…)

朱里

(見覚えがある。どこのアパートだっけ)

桃山先生

離して!

朱里

え…?

朱里

(あ、桃山先生と…)

蒼井先生

桃山先生、落ち着いて

朱里

(蒼井先生も!?)

桃山先生

落ち着いてます!

蒼井先生

何言ってるんですか、そんな声を荒げて

蒼井先生はそう言いながら

桃山先生をアパートの一室へ入れた

朱里

──!

朱里

(あれ、ここ…)

朱里

(急に玄関?)

桃山先生

出して!

蒼井先生

いいから落ち着けって!

朱里

(…私、瞬間移動した、よね)

朱里

(目の前に私がいるのに)

朱里

(先生たち気付かないし)

朱里

(これ、夢か…)

桃山先生

離して!

桃山先生

もうあなたとは終わりな──

桃山先生

──ん!

朱里

(やだ、ちょっと…)

桃山先生

んん…んっ…

蒼井先生が桃山先生を壁に押し付けていた

桃山先生

んっ──はぁ、やめてって

蒼井先生

落ち着いた?

桃山先生

──っ…私の意志は変わりません!

桃山先生

あなたとは別れますし

桃山先生

この子は産みます

朱里

(2人は付き合ってて、桃山先生は妊娠してたんだ…)

朱里

(それで、産むか揉めてるのかな…?)

蒼井先生

あんなに長い時間を掛けて

蒼井先生

話し合ったじゃないか…

桃山先生

私どうかしてたんです

蒼井先生

病院も予約しているのに

桃山先生

電話しておきます。ではさような──

蒼井先生

──チッ!

朱里

え?

桃山先生

きゃあ!!

桃山先生は、フローリングに突き飛ばされた

桃山先生

いったっ…

朱里

(なにこの夢…)

さらに蒼井先生は桃山先生に跨る

桃山先生

蒼井先生、一体何を…!?

蒼井先生

お前が…悪いんだからな…

蒼井先生は荒々しく服をはぎ取っていった

朱里

(え!?何?何が起こっているの!?)

桃山先生

や、やめてくださ──

──バシン!

朱里

(え…?)

蒼井先生

──大人しくしとけ!!

朱里

(こわ…)

桃山先生

どうして…こんな…

蒼井先生

お前がガタガタ言うからだろ

朱里

(口調、別人みたい…)

朱里

(──ってやばっ、今からする気なんだ…!)

朱里は視線を逸らした

桃山先生

お、お腹に赤ちゃんがいるから…

蒼井先生

なら腹を押し潰してやろうか

朱里

(蒼井先生の声…低い…)

桃山先生

何を言って…

蒼井先生

はぁ…

朱里

(──あっ、やだ生々しい音が…)

朱里

(聞きたくない…!)

朱里は耳を塞いでうずくまった

朱里

(どうしよう、まだ聞こえてくる…!)

朱里

(ヤダよ…)

朱里

(私、何でこんな夢見てるの…)

朱里

(一体いつまで続くの…!?)

と、そこに血の匂いが漂う

朱里

(え、なに…?)

朱里

(この匂い、背後から?)

朱里が振り返ると

僅かに開いたクローゼットの暗闇に

真っ赤な目が浮かび上がっていた

朱里

──きゃああああああああ!

朱里は反対の壁にへばりついた

朱里

(なにこれ気持ち悪い!!)

目前では先生らが絡み合い

部屋は荒い息で満たされている

朱里

(何なの、これは…!)

朱里

(何なのよ!!!!)

朱里

──早く

早く起きてよ私!!!!!!!!

朱里

──!!

朱里

(ここは、私の部屋…?)

朱里

(やっぱり全部夢だったんだ…?)

朱里

(はぁ…心臓、バクバクして痛い…)

朱里

(そうだ!)

朱里はスマホを手に取った

どうやら死んだのは、ミズキという先輩らしかった

朱里

…あれは、夢じゃなかったんだ

朱里の体は震えた

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