ナーチェス
お前大して強くないな?
ゾル
なんだと?
ナーチェス
強さ的にはそうだな……
ナーチェス
初期のXと同じくらいか
ゾル
そのXてのが誰か知らねぇが
ゾル
俺ァそんなに弱かねぇよ
ゾル
少なくともお前よりはな?
ナーチェス
その弱いと言われた俺より弱いのはお前なんだぞ?
ナーチェス
現に未だにお前の攻撃を一度も受けてないからな
ゾル
調子に……乗るなぁァァァァァ!!
ナーチェス
お前の太刀筋はもう読めている
ナーチェス
今更無駄なんだよ…
ゾルの攻撃を軽々と避けたナーチェスだがどこか違和感を感じる
ナーチェス
(どういう事だ?)
ナーチェス
(何故か被弾したような…そんな感覚が…)
確認のために避けた方を見ると左足に何故か切り傷があるのがわかる
ナーチェス
(コイツは一体……)
ゾル
何避けたと勘違いしてんだ?
ゾル
お前は避けきれてねぇんだよ!
ナーチェス
(それは確実にないはずだ)
ナーチェス
(あいつの太刀が俺に到達する前に俺は避けていた)
ナーチェス
(元いた場所に俺はいないし左足もそこには無い……)
ナーチェス
(完全に先読みして俺は右に避けたんだ)
ナーチェス
(にも関わらず俺は攻撃を受けている)
ナーチェス
(しかもこの傷ノコギリのような刃がギザギザものと似ている)
ナーチェス
(あいつの太刀は…そんな風には見えないがもしかするとそうなってるのかもしれない)
ゾル
どうだ?怖いか?
ゾル
理解不能なその傷が怖いか?
ゾル
俺の攻撃が恐ろしいか?
ナーチェス
……確かに驚いた
ナーチェス
だが、まだ一撃だ
ナーチェス
恐怖という感情は出ては来ないな
ゾル
強がってんのか?
ゾル
なら、その強がりも言えねぇようにもう一撃食らってみろやぁ!
ゾルの太刀筋を見切り余裕を持って攻撃を躱すが、またもあの傷ができる
ナーチェス
(またか……)
ナーチェス
(だが、2発目で何となく分かったぞ)
ナーチェス
(確認のためにもう一撃もらう必要がある)
ゾル
また食らったなぁ?
ゾル
避けたのに傷を負うこの恐怖!
ゾル
さぁ?考え悩みそして苦しめ!
ナーチェス
理解できないものほど怖いものはない、か
ナーチェス
残念ながら俺はもう謎が解けている
ゾル
なに?
ナーチェス
だが、確証が得られない
ナーチェス
あと一撃だけでいいから来いよ?
ゾル
この俺を……
ゾル
舐めるなァァァァァァァ!!
ナーチェス
毎度毎度叫んじゃって…
しかし何事も無かったかのようにナーチェスはそれをするりと避ける
だが、どれだけ余裕を持ち躱しても小さな切り傷はできてしまう
ナーチェス
(なるほどな…)
ナーチェス
(そりゃ余裕を持っても当たるはずだ)
ゾル
どうしたァ?
ゾル
分かったんじゃねぇのかよォ?
ナーチェス
あぁもう分かった
ゾル
!?
ナーチェス
お前の使ってるその剣は特殊なものだ
ナーチェス
恐らく生き物のように意思が宿っていてそれの特徴としては収縮ができるということだ
ナーチェス
だから俺がどれだけ余裕を持って避けても必ず切り傷ができる理由はそれだ
ナーチェス
もうひとつ…この傷は刃がギザギザしていないとできない傷だが
ナーチェス
お前のその剣はそんな風には見えない
ナーチェス
だが、どのくらいの倍率でみるかは分からないが
ナーチェス
寄りで見ると恐らくキメ細やかな凹凸のある刃ができてるのだろ?
ナーチェス
その凹凸のある刃と収縮する特徴があるものがその剣だな
ゾル
分かったところで対処はできない
ナーチェス
いや?それも可能だ
ナーチェス
どうやらその剣には伸びるのに限界があるようだ
ナーチェス
現に最初に食らったものと最後に食らったものを比較する
ナーチェス
最初に傷を受けた時の方は少し傷が深い
ナーチェス
だが、最後に食らったものは傷がとても浅い
ナーチェス
この事から限界があることが分かる
ゾル
くっ……
ゾル
だが、それを知ったことでお前は迂闊に俺に近づけねぇぞ?
ナーチェス
何故だ?
ゾル
収縮する特徴を活かしお前をこの刃で縛りあげれば何も出来まい
ゾル
きつく閉めれば閉めるほどその刃はお前の体を引き裂いていく!
ゾル
近づくということはそうなるということだ
ナーチェス
なかなか面白い発想だ
ナーチェス
とはいえ、そんな考えがあっさり通ると思ってるのか?
ナーチェス
お前のような三下相手では俺もつまらないね
ゾル
んだとぉ!?
ナーチェス
お前の実力は俺以下だ
ナーチェス
それをカバーしてるのはその剣のおかげではないのか?
ナーチェス
その剣がただの鉄の剣だったのならば
ナーチェス
お前は何年かかっても俺には勝てない
ゾル
この剣の性能のおかげで俺が対等に戦えてるとでも言いてぇのか?
ナーチェス
あぁその通りだが?
ゾル
いい加減に……
ゾル
いい加減にしやがr……
ゾルが攻撃を繰り出す前にナーチェスの剣がゾルの体を貫く
ナーチェス
動きが少しばかり遅いな
ナーチェス
やはりその剣に頼っていた分己の強化はしてないようだったな
ナーチェス
基礎的能力の時点でお前は俺に負けている
ゾル
い………いいや…
ゾル
まだ…負けて………ねぇぞ
ナーチェス
なに?
ゾル
お前はもう俺のテリトリー内だ
ゾル
俺ごと……引き裂け……
ゾル
【水神 笹海】
ナーチェス
さざめ…
ナーチェス
それがこの剣の名か…
ナーチェス
残念な主に使われてるな笹海よ
ゾル
なん……だ………と?
ナーチェス
笹海!
ナーチェス
この俺の剣になる気はないか?
ナーチェス
俺ならもっとお前を上手く使えるぞ
ゾル
剣に話しかけるなど無駄なことを…
ナーチェス
そうでも無いようだぞ?
ゾル
!?
笹海はナーチェスを包むのをやめてゾル1人だけを縛り上げていく
ゾル
やめろ!
ゾル
俺はお前の……
ゾル
お前のご主人様だ……
ナーチェス
細切れになるといいカスめ…
ゾル
いやだ………
ゾル
嫌だァァァァァァ!!
ナーチェス
次は俺が使ってやるよ
ナーチェス
前のやつよりお前の力を活かしてやる
ナーチェスは直ぐにその場をあとにして、ディキィ達のいる村にと戻る