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302号室
神聖r.
入室早々、神聖ローマは震えるフェリシアーノに声を掛けた
すると間もなくフェリシアーノはこちら側に振り向いた
フェリシアーノ
神聖r.
神聖ローマ!
机の代わりに置かれた、17本の白薔薇があしらわれた無垢なドレッサーに乗った神聖ローマを軽く手で包み込み、抱きしめる
フェリシアーノ
神聖r.
困惑に陥る神聖ローマは咄嗟に何かを察し、内心を悟られぬよう、優しい顔を作った
フェリシアーノ
フェリシアーノ
さらに強く締め付けられると同時に、熱い涙が頬を伝って一滴、また一滴と零れ落ちてくる
フェリシアーノの顔に目をやると、ひどく顔をぐしゃぐしゃにして、目が腫れるのも耳が赤くなるのも鼻がやられるのも気にせずに泣きじゃくっていた
嬉しそうな、幸せそうな、でも「デスゲーム」であることが身体では理解しているのか苦しそうな顔をしていた
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノ
フェリシアーノ
嬉しそうに話すフェリシアーノの姿を見て、神聖ローマは少し悩み始めた
このまま何も知らないまま、何も知らせないままにするか
それとも、自分がフェリシアーノの言っている“神聖ローマ”ではないことを言って誤解を解くか
よく世間では「何も知らない幸せ」と言われるが、あまりにも置かれた状況が例外すぎるのだ
それに、衰弱しきった相手に折角元気が戻ってきたというのに現実を突きつけてしまえば再び精神が崩壊しかねない
最悪の場合、自◯に至ることも考えられる
しかし今回は「どちらか片方が戦闘不能にならなければ出られない」システムのため、相手に現実を突きつければ自分は生き延びることができる
神聖ローマは2つの究極の選択肢の狭間で揺れていた
神聖r.
フェリシアーノ
答えもロクに出せぬまま
神聖r.
フェリシアーノ
曖昧なラリーを続けたまま
フェリシアーノ
神聖r.
フェリシアーノ
ただ、「今は“夢”から覚めないように」と先の自分に託し続けた
これで良いのか、そんな問いが頭を酷く殴りつける
知らぬ素振りにもやがて限界はくる
まるで「サンタさんはいるよ」と語りかける親のように、脆い心を壊さぬように
普通の笑顔をつづけていた
さりげなくタイマーを見ては、無機質な声が取り繕った仮初の夢を切り裂いてしまわぬように
そっと小さな手と声で塞いだ
フェリシアーノ
神聖r.
フェリシアーノ
神聖r.
扉のほうへ目をやると、残り33秒だった
神聖r.
フェリシアーノ
耳を揉みながら“それ”を聞いてしまわないようにそっと話しながら塞いだ
体温を手に感じながら、再び神聖ローマは悩んでいた
第2ラウンドでは見事にエレベーター、つまり広間で待っていたため分かるのだが、制限時間が10秒を切ると赤いランプがつき、カウントダウン音声が流れる
そして、終いにはどちらか片方がランダムで撃たれてしまう
ここまできたら最期まで知らないままにしてあげよう、そう決意した神聖ローマにとってはかなり大きな壁となった
神聖r.
15、14、13、12……
神聖r.
神聖r.
フェリシアーノ
神聖r.
「残り10秒です」という声を塗りつぶすように声を出す
あまりにも不自然なやり方だったが、「あと数秒の命だ、仕方ない」と自分に言い聞かせた
やがて部屋はほんのりと赤く色づきはじめる
今まで無かったはずの「罪悪感」の三文字が心を蝕んでいくのを感じながら、その時を待った
フェリシアーノ
フェリシアーノ
塞ぐ手の力を緩めてしまったタイミングが悪かった
無機質な声と鳴り響いた銃声で目が覚めた
フェリシアーノ
フェリシアーノ
ドレッサーの上で横たわる神聖ローマのもとへ駆けつけると、床に落ちている2本を除いた薔薇は鮮やかな赤に染まっていた
触れれば手に染液がついてしまうような、鮮やかな緋色が目に焼きついた
フェリシアーノ
神聖r.
神聖r.
神聖r.
フェリシアーノ
フェリシアーノ
神聖ローマを撫でると、少し冷たくなっていた
フェリシアーノ
ポケットからいつものピストルを取り出し、銃口をこめかみに突きつけた
震える指で冷たい引き金をなぞった
フェリシアーノ
強く殴られたような痛みも薬となり、頭を駆け巡る
しかし、なぜか意識が遠のかない
弾ではない何かが入っていたのかもしれない、そう思い確認のために目を開けると─────
そこは広間だった
スタッフ
ゲームマスター
スタッフ
第3ラウンド終了 生存者5人→2人
to be continued...