テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
33
芙月みひろ
248
#ソフトバンクホークス
さくら
90
kty(ちけっと!、nrkr)
1,923
日曜日、午前十時。 『博士と学ぶ新科学』の生放送が始まった。 舞台上へ照明が灯り、スタッフたちが慌ただしく行き交う。 その様子を、メルシィ所属事務所の面々は舞台袖から見守っていた。
クロミヤ・ヒビキ
響希が不安そうに舞台を覗く。
アスーカル
ミークワームは腕を組み、呆れたように息を吐いた。
潮崎梅津
梅津だけは、妙に落ち着いている。
ユモト・リンネ
琳寧が遠い目をした。 世間一般から見れば、ローゼとヴァローナは長年にわたる犬猿の仲。 言い争う。 睨み合う。 時には周囲を巻き込む。 今更、生放送で喧嘩を始めたところで、視聴者からすれば『いつものふたり』で済む。 問題は、その喧嘩の内容なのだが。
クロミヤ・ヒビキ
響希がふと呟いた。 すると、近くにいたディレクターが何気なく台本を差し出す。 響希は受け取り、表紙へ視線を落とした。 『今こそ知りたい、カガクと繁殖』 ――今避けたいワード過ぎる。 響希の背中を、冷たい汗が伝う。 無言のまま台本をディレクターへ返した。
司会者
司会者
司会者
司会の声と共に幕が上がる。 瞬間。 観客席から大きな歓声と拍手が巻き起こした。 つい先日、結婚が明らかになったばかりの英雄。 当然のように、客席のあちらこちらから祝いの言葉まで飛び交っている。 あまりの盛り上がりと話題性に、誰もがひとつ、大切なことを見落としていた。 この番組には。 ヴァローナと犬猿の仲として知られる、ローゼも出演している。
司会者
ヴァローナ
司会者
ヴァローナ
ヴァローナは首を傾げる。 何を聞かれているのか、 いまいち分かっていない顔だった。
司会者
司会はそれを照れ隠しと受け取ったらしい。 深く追及することもなく、番組を進行していった。 それから数十分。 生命の成り立ち。 種族による繁殖方法の違い。 魔素との関係。 そして、第二性別。第三性別。 様々な専門分野の研究者たちが、 それぞれの知識を持ち寄りながら説明を続けていく。
司会者
司会者
ひとりの研究者が尋ねる。 観客たちも興味深そうに頷いた。
ヴァローナ
司会者
司会者
ヴァローナ
本人だけが、他人事のように首を傾げる。 人造人間、ヴァローナ。 その身体にも繁殖が可能な機能が残されている。 初めて明かされた事実に、SNSは瞬く間に湧き始めた。
学者
今度は天体学者が尋ねる。
ヴァローナ
その答えに、観客席から黄色い声が上がった。
司会者
司会者
司会の声が止まる。 視線の先。 ヴァローナの二段上、斜め後方の席。 ローゼは相変わらず不機嫌そうに腕を組み、座っていた。 ――犬猿の仲。 ここでようやく。 司会は、今日の共演者にローゼがいることを思い出した。 舞台袖。
スタッフ
誰が言ったのか。 響希や琳寧たちも、揃って頭を抱える。 生放送は、まだ始まったばかりだった。
コメント
1件
あおいです🤍 第31話、読みました!生放送のテーマが『カガクと繁殖』で、しかもヴァローナさんがゲスト…これはもう修羅場確定ですね(笑)ローゼ先輩が同じ空間にいるのに、司会者がうっかり振ってしまった空気感、ひりひりしました。ヴァローナさんの「そうなんですか?」の他人事感と、それでいて「好き合うもの同士がすれば」とさらっと言うロマンチックさに、不意を突かれてじんと来ました。続きが気になります!