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ミュール

…ッ

ミュール

(ああ、皮肉なことに)

ミュール

(欲しいと望んでいた感情が…今は、邪魔)

ミュール

(私は自由に旅をして来た分、他の子達より感情が強い)

ミュール

(畏れも劣等感も…強く感じてしまう)

 

あなたのしていることは───無駄だらけ。戦い方も生き方もね

 

ほんと…マジ、デメリットだらけ損だらけ

 

あたしたちに生き方を、命を絶えず与えてくれるのは主様だけなのに…

 

どうして殺しに加担したのかしら

 

分からないわ〜

 

あたしってほら、機械だから

 

得のないことは分からないの

そして女は銃を撃ち、無駄のない動きでミュールに近づく

ミュール

(ああ、そうか──。)

 

間合いの詰め方、リズム、最大限の…力

 

全てあたしには視える

 

"失敗作"のあなたとは違ってね

ミュール

多弁ね。

ミュールは背後に回り込むと、髪を引っ張り、銃口を額に突きつける

 

フッ…そうやって止まるのは、迷い?それとも…その間があなたの独白?

ミュール

そうした質問も全てデータになってしまうのでしょう

ミュール

私は答えない

ミュール

それと───

ミュール

私は知っているんです

ミュール

意志は人を強くする。

ミュール

だから私は主様の言う完璧も失敗も気に留めない

ミュール

所詮感情のない玩具でしょう?

 

矛盾してるわ

言うと女はどこからか器用にすり抜け、再度銃を構える

そしてミュールを狙って撃つ

 

あなたも玩具。玩具には感情はないし、得られたとしてもそれで強くなるわけじゃない

 

玩具は玩具なりに、その道を突き詰めるのが最も得意を活かせる

女はミュールを壁に追い詰め、銃を向ける

 

当然でしょ?

ミュール

ふふ…ふ……ふふふっ!

 

────あら?

ミュール

さっきから…そうやって質問ばっかり

ミュール

本当は────貴方も感情が欲しいのではないですか?

 

そんな馬鹿なことあるわけないわ

その瞬間、ミュールは女の足を踵で思いっきり蹴った。

 

っ!

 

何、馬鹿なことを…

ミュール

効率?非効率?

ミュール

そんなもの相手の戦力を予想できてなきゃ分からないことよ

ミュール

貴方の想定する未来は…その根底となるデータは正しいのかしら?

ミュール

"失敗作"なんて言葉に囚われてちゃ…

ミュール

私に勝てないわ

ミュールはその瞬間、自分のヒールを脱ぎ捨てた。

そして弾を装填すると、ミュールは距離を詰め、撃ち続ける

ミュール

(この子達を殺すことは…過去の私を殺すことのようで少しだけ、寂しい)

女は避け、そして対抗する

ミュール

(でも───)

ミュールが一歩、強く足を踏み出す

女は瞬間、くるりと回ってミュールの背後へ向かってくる

ミュール

貴方たちを乗り越えない私では、きっとどこにも行けませんから。

ミュールはまず女に撃ち、女が避けたその先に銃弾を撃ち込む。

パン!!!

 

!!!!

女は一瞬目を見開くと、その場にうずくまってミュールを睨む

ミュールは姿勢を正すと、女をまっすぐ身捉え、もう一発、確実に女を撃つ。

 

y¥!○°々〒…ッ#

ミュール

成功作の貴方の考え…実に効率的でした

ミュール

私には原理の分からない行動、私より早い予測までの計算

ミュール

全てがクリアで、だから貴方は…分かりやすいの

ミュール

私が嫌な方向に、貴方が欲しい方へ…まっすぐ進む

ミュール

私がそこまで対応できると見越せないなんて…舐められたものね

ミュール

…なんて、聞こえてないかしら

ピーーーーー。

カチ、と音がして、彼女の動きは完全に止まった。

ミュール

おやすみなさい。

ミュールはその瞬間ガクンと倒れ込むと、ふっと息を吐いた。

ミュール

こ…わかったぁ……

震える指を自身で包み込み、ミュールはもう一度立ち上がる。

ミュール

(この感情は、私のもの)

ミュール

(感情を邪魔だって思うことも、感情がある私の気持ち)

ミュール

(それは、ヒトのもの。)

ミュール

(主様に一つだけ、感謝をするとするなら)

ミュール

(私を主様の失敗作として生んでくれたこと)

ミュール

(主様への気持ちも、自分への想いも…こんな私だったから、私はここにいる)

ミュールは辺りを見回す

ミュール

(悔しいなぁ)

ミュール

(やっぱみんな、私より強い)

ミュール

(そんな私が…いまできること)

ミュール

(サポートに決まってる、そんなの)

ミュール

(人手が欲しいのは絶対に…アメリア様と、メラ)

ミュール

(行こう)

アメリア

ン、!!

その頃、アメリアは呼吸を荒げ、ライアンと向かい合っていた。

メラ

アメリア様!

アメリア

ああ!

単純な2対2。

ただ、ライアンとステイシーの連携は息が合っていて、やはり隙が少ない

それでもやはり隙を突き、お互いに傷を負いながら戦っていた。

ライアン

早くその足でまといを切り捨てたらどうだ!?

アメリア

コイツは私を何度も助けてくれてる!強ぇ味方だよ!

ライアン

そんなことあってたまるか

アメリア

だったらお前は何故…未だステイシーといる!?

アメリア

強いやつは他にいくらでもいるだろ!!!

ステイシー

なっ!

ライアン

…フン、魔術が使えるのがおいしいだけだ

アメリア

そんなことあってたまるかー!!

アメリアはライアンと戦いながら、時折いつも通りの会話を繰り広げていた。

余裕など、勿論ない。

ただライアンの意志を知るためだけに、アメリアはふつうを装い会話をし

ライアンもまた、何を思ってか、それに返していた。

パン!

アメリアは銃を持つ手を引っ込めた

アメリア

ん゙っ…そろそろ勘弁したらどうだよ

アメリアが引き、垣間見えたライアンの腹部には──。

アメリア

戦ってると伝わってくるよ

アメリア

お前も気づいてんじゃないのか?

ステイシー

ステイシーはライアンに目を向け、ギョッとする

アメリア

お前では私に勝てない。

ライアンの膝が一瞬、ガクリと力を抜く。

ライアン

…ッは、俺が敗ける道理がない

ライアン

俺は間違っていないと…証明、する…

アメリア

ライアンは再び剣を構え、アメリアを視線で捉える

アメリア

お前は強い、本来の力が出れば…私もどこまでやり合えるか分からないとさえ思うよ

アメリア

でも今のお前には──迷いがある。

ライアン

────は?

ライアンは思ってもいなかったというように目を見開く

ライアン

…迷い……?そんな、馬鹿な。

ライアン

俺はそんなものとうに捨てている

ライアン

お前に…人殺しを依頼したあの日から!!

銃口の先のエンディング

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コメント

3

ユーザー

「成功作」「失敗作」なんて言葉に執着ばっかしてるから成功作なのにミュールさんに勝てなかったんだよね……可哀想に……逆にミュールさんは「失敗作」という言葉よりも自分の力を信じて戦ったから勝てた……!!これもアメリアさん達と出会えたから勝てたんだと思ってる✨✨ 確かにライアン王子もステイシーさんにこだわってるような気がする……そーゆーとこはアメリアさんとメラさんの関係と似てる、よね🤭💭

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