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銃口の先のエンディング

第87話 - 歪み歪み

371

2024年11月09日

#一次創作

#ファンタジー

#冒険

#殺し屋

#人間関係

#日常

四阿朧

アメリア

お前、馬鹿だから攻撃が単純だ

ハロルド

で、でも！言う通りに…！

アメリア

そういうことじゃない

アメリア

お前、マルチタスク苦手？

ハロルド

へ？まるち…？

アメリア

2つのことを同時にできないのか聞いてんの

アメリア

誰でも複雑なように見せかけて、隙は絶対に"在る"とは言うが…

アメリア

お前の場合は、攻撃している間防御が疎かになっていて

アメリア

そのままじゃ…隙だらけだぞ

ハロルド

ハッ！

アメリア

…起きたか

ハロルド

な、なんで…

アメリア

なんで殺さないのかって？

ハロルド

…

ガチャリ。

扉を開き、メラはハロルドを看病しているアメリアの元へ戻る

メラ

アメリア様！

ハロルド

ごめんなさいごめんなさいぃ〜、見捨てないでよぉ

アメリア

いいから離れろ！

メラ

アメリア…様…

アメリア

お前もそんな浮気現場目撃したみたいな声出すな！

アメリア

はあ…ったく

アメリア

なんてったってお前はそんな変わり身がエグいんだ

ハロルド

えへっ、腕を試すような真似してごめんなさい！

ハロルド

でも…やっぱりアメリアさんは僕の師です！

メラ

な、なんでこんな懐いたの…？

アメリア

分かんねえよもう、私にはコイツが

メラ

ハロルドって分かんない子…

ハロルド

呼び捨てするな

メラ

なんで！？

ハロルド

僕はアメリア先生を尊敬しているだけでお前らには興味ない！

メラ

コ、コイツ…！

メラ

メラが一番の友達であり、弟子で仲間なんだから！

ハロルド

…、…？

ハロルド

友達………？

ハロルド

嘘ですよね、せんせ。

アメリア

嘘じゃない

アメリア

メラは私の…友達だよ

メラが頬を緩めたのも束の間、ハロルドはメラに向けて掌で空を切った

メラ

！

メラが咄嗟に身を屈めると、肩のあたりがピッと切れる

メラ

痛っ…あっ…ぶない…

アメリア

お前…

アメリアはハロルドの頭を掴み、銃口を突きつける

ハロルド

ぐ、い、痛いです、痛い、せんせ！

アメリア

…私の仲間に少しでも手を出せば…もれなくお前を殺す

ハロルド

なん────

アメリア

コイツらは私が殺すまで誰にも、殺させない。

ハロルド

！

ハロルド

なるほど！アメリアさんらしいです

アメリア

？

アメリアは小首を傾げた

しかしメラはゾッと背筋を凍らせ、戦慄を全身に走らせた

メラ

（ハロルドは…アメリア様に対して一種の"欲望"を抱いてる…？）

メラ

（こうあってほしい、って形の…）

メラ

（…いや）

メラ

（そうじゃなきゃ、許せないって形の。）

メラは人の感情の動きを重視する

多少自分に向けられる愛には疎いものの、小さな小さな好意や悪意を、繊細に感じ取る

だから思考の流れは分からなくとも、愛情や憎悪の向きはなんとなく分かっている

例えば。

メラが目が覚めたとき、テヘルとアイザックの仲は既に改善されていた

しかしメラがそれを不思議に思うことはなかった

メラはずっと、2人の感情が向き合っていることになんとなく気がついていたからだ

メラ

（テヘルもアイザックも、何考えてるかはあんまし分かんないけど）

メラ

（正直サミュエルとかミュールとかアメリア様とかはもっとよく分かんない）

メラ

（だってこの3人は好き嫌いも読めないもん）

メラ

（たぶん…好き嫌いを全く重視してないからなんだろうな…）

メラ

（けど…）

メラ

（ハロルドは出会った中でも分かりやすい子だ）

メラ

（むしろ、"好き嫌いでしか動いてない"ように思える）

メラ

（…とにかく、危険なのは、分かる…）

メラ

…アメリア様

メラ

あっちの様子はどうなんですか？

アメリア

分からんな、見てないし

アメリア

でもまあ…そろそろじゃないか？

ハロルド

？

アメリア

あ、そうだ、お前の通信機使わせてもらったぞ

ハロルド

！？

ハロルド

あの通信機は魔力がなきゃ使えないはず…！

アメリア

もう忘れたのか？

アメリア

うちにもある種の"魔法使い"がいるってことをさ

…お前が私たちを呼び出した者なの

サミュエル

いえーす

サミュエル

ま、きみのことは呼んでないんだけどーっ

サミュエル

で、俺たちを殺したい王子様はどこに？

クロエ

ここにいるよ

サミュエル

！

サミュエルの額から、汗が垂れる

それほどに、恐ろしかったのだ。気配なくそこにいたクロエが。

クロエ

驚かせちゃったなら申し訳ない

クロエ

僕はクロエだ。以後よろしく

サミュエル

…

そうして手を差し出したが、サミュエルは警戒して手を取らない

すると横からスッと誰かが手を取った

テヘル

よろしくお願いしますね

テヘル

…王サマ。

クロエ

…う〜ん、きみとは気が合いそうだ

満面の笑みで握手を交わす2人には、何か似たようなものを感じる

サミュエル

こえ〜ね

アイザック

だねー

アイザック

…ま、オーサマの首さえ斬っちゃえば…終わりっしょ

アイザックはゆったりと剣に手をかける

テヘル

ばか、待て

アイザック

？

クロエ

…きみは…察しがいいね

サミュエル

！

サミュエル

下がれテヘルくん！

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えーっと、……え？ハロルドくんが目覚めてからメラさんが来るまでの間に何があった……？え、私の気のせい……？え？？……とにかく、アメリアさん達が無事で良かった……！！ハロルドくんのアメリアさんに対する想いがどんなものであろうと大切な友達、仲間を殺されることだけはアメリアさんも許せないよね……💦 一方で王様に会いに行ってるサミュエルくん達……

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