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ほぼ同時にメールが届いたであろうイシカワと目を合わせる。

イガラシ

今成からだ……。

イシカワ

あぁ、ようやく返信してくれた。

今成――とは、いわゆる不登校児というやつであり、唯一イガラシやイシカワが個人的に連絡先を交換している生徒。

事件の全貌を知るために、校長先生が亡くなった直後、2人で相談した後に密かに連絡をしていたのだった。

キョウトウ

今成って――あぁ、あのしばらく学校に来ていなかった例の子か。

不登校児の人数はそこまで多くはなく、学校全体で当たり前のように把握できている――とイガラシは思っているのだが、なんとかキョウトウは把握してくれているらしい。

フワ

でも、どうして今成君に?

イガラシ

あぁ、さっき連絡を取ってみたんですよ。

イガラシ

今回の事件、成立するには――生徒達の協力が必要なんじゃないかと思いまして。

キョウトウ

そ、それはどういう――。

少しばかり触れたような気もしなくはないのだが、こうして教師陣の前で堂々と生徒を疑ったのは初めてかもしれない。

しかし、事実である以上、それをいたずらに隠すこともできないだろう。

イガラシ

聞いた通りです。

イガラシ

みんな、うっすらとは気づいていたと思うけど、生徒達――やたらと静かだと思わないか?

イガラシ

こうしている今も、彼らはじっと教室に留まっている。

ホソヤ

それは――クラスの中に混じっていた【革命軍】が脅しているからじゃないか?

ホソヤ

【革命軍】の格好をしている時に、ちょっと学校内を見て回ったけど、そんな雰囲気だったな。

イガラシ

確かに、今はそうかもしれないけど、初動の際に恐ろしいほどに統制が取れていたんだよ。

イガラシ

あんなことが起きたら、不安を感じた生徒の1人や2人が教員室に駆け込んできてもおかしくない。

イガラシ

それに、普通はパニックを起こします。

イガラシ

それなのに、恐ろしいほどに統制が取れていたんです。

イガラシ

まるで、あらかじめ事件が起きることを知っていたかのごとく。

ヤナギ

なるほど、だからパニックも起こさず、しかも校長先生の命を左右するゲームにも参加できたと。

イガラシ

その可能性は高いと思います。

イガラシ

もっとも、結果的に校長先生が死ぬ――というところまでは知らなかったのかもしれませんが。

ミヤギ

ナポレオンの呼びかけに応じて【革命軍】が動き始めた。

ミヤギ

でも、ある意味でこの高校の生徒全員が【革命軍】に加担していたってことだよね。

イシカワ

だから恐ろしい。

イシカワ

どれだけの生徒が【革命軍】側なのか、そしてどれだけの生徒が加担しただけの傍観者なのか。

イガラシ

とにかく、ナポレオンの狙いは――間違いなく俺です。

イガラシ

いや、便宜上では俺達教師を相手取っているようにも見えます。

イガラシ

だから、今成にあらかた聞いてみますよ。

イガラシ

教室を見て回るのは、それからにしましょう。

イシカワがスマホを片手にアイコンタクトをしてきた。

どうやら――今成から同じグループメールに誘われたらしい。

もちろん、その誘いを断る理由はない。

今成

先生、やっほー元気?

イガラシ

そのアイコンやめろよ。

イガラシ

縁起悪い。

イシカワ

まぁ、とにかく連絡してくれてありがとうな。

今成

いやいや、だってさ、自分の学校がとんでもないことになってんじゃん。

今成

本当ならそこに行きたいくらいなんだけど、ちょっと外は苦手だからさ。

今成

こうして誘ってもらってありがたいくらいだよ。

イガラシ

そうか、それじゃ今成――早速だけど。

今成

お察しの通り、今回の事件のことは随分と前から全校生徒が知ってた。

イガラシ

話が早くて助かるよ。

今成

先生達、裏クラスサイトって知ってる?

イシカワ

あぁ、俺が高校の時に流行ったな。

イシカワ

いわゆるネット上の掲示板で、特定のクラスメイトの名前が書き込まれていたり、とにかく気持ちの悪いサイトだよ。

イガラシ

SNSなんかが台頭してきたから、すっかりなりをひそめているとばかり思っているけど。

今成

実はその裏クラスサイトってのは、まだ割と活用されてたりすんだよなぁ。

今成

ほら、今時のSNSって誰が発言して、誰が読んだのか――ってところまで相手に分かっちゃうじゃん。

今成

でも、裏サイトなら基本的に匿名。誰が発言したかも分からないし、誰が読んでいるのかも分からない。そもそも、どれくらいの人間が参加しているかさえ把握できないんだ。

イガラシ

それを利用して、連絡していたってことだな。

今成

正解。

今成

ちょっと探しにくいけど、ネットで検索すれば、いずれは出てくるよ。

今成

この高校の裏クラスサイトも。

今成

鍵がかけられたりしている時もあるけどね。

イシカワ

とにかく、それを使って、生徒全員が今回の事件のことを知っていたってことか――。

今成

そう言うこと。

今成

ただ、全員が全員【革命軍】側ってわけじゃない。

今成

むしろ、そっちのほうが稀で、面白半分でいたやつが大半だろうね。

今成

クソみたいなルールに縛られて、その場にいる大人達は偉そうにする。

今成

それが学校だから。

今成

あ、でもイガラシとイシカワは別な。

今成

あんたらは俺と同じ目線に立ってくれるし、何よりフレンドリーだ。

イガラシ

そう思ってもらって光栄だけど、せめて呼び捨てはやめてもらえないか?

イシカワ

まぁ、一応俺達は教師なわけだし。

今成

分かったよ。

今成

それじゃあ、敬愛するティーチャーの方々に、俺からのアドバイス。

今成

次のゲームは、かつての投票ゲームと同じだ。

イガラシ

ん、それはどういうことだ?

今成

さぁ?

今成

ただ、ナポレオンがそう書き込んでいたのをさっき確認してさ。

今成

あいつ、誰も返事をしない掲示板に、事細かく経過を書き込んでいるんだぜ。

今成

相当なナルシストだよな。

今成

まぁ、テレビとネット配信のおかげで、そっちのことは把握できているからさ。

今成

何か動きがあったらまた連絡するよ。

今成

これからちょっとだけ寝るから、また連絡は後になる。

今成

じゃーなー。

イガラシ

あ、今成。

イガラシ

まだ聞きたいことが――。

この後、イガラシのメッセージが既読になることはなかった。

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