D
今回のゲームは、サクリファイス。
即ち、生贄だ。

優樹
生贄っ......!?

D
ルールは簡単。
ある。

ある
!?

D
君が、この銃を使って紗友、咲希、優樹の誰かを殺す。
そうすれば部屋の扉が開いて次に進める。
それだけだ。

咲希
私達の誰かが死...。

優樹
嫌だ...死にたくない...!

D
制限時間は10分。
それを超えるとこの部屋には毒ガスが充満する。
それまでに出ないと死んじゃうね✩
それじゃあスタート!

ピッという音がしてDの持つタイマーが動き出した。
ある
(...俺には撃てない...。)

紗友
...あるさん、私を撃って。

咲希
待って!もっとしっかり考e...。

紗友
私は、馬鹿なだけで脳が無い。
よく言われるんだ。
だから、私がいても意味は無い。
それなら、希望のある人達に生き残って欲しい。

咲希
そんなことない!
確かに紗友は馬鹿だったとしても、紗友だけの良さはあるはず!

優樹
そうだよ!俺なんて学力も閃力もないし...!

紗友
2人の言う通りだとしても、これは私が選んだ道。
これでいいの。

咲希
焦らなくてもまだ時間はある!

優樹
そうだよ!もっと冷静に...!

紗友
私は至って冷静だよ。
考えれば考えるほど、分からなくなる。
この手の決断はそうなんだ。
だったら、やるって言った人が逝くべき。
私が適任者なの。
だって...、死って...。
興味あったから、怖くないの。

ある
(嘘だ......。
手は震えてるし、顔だって最初より青白くなってる...。
本当は凄く怖いはず...。)

紗友
だから...ね?あるさん。
私を殺して。

紗友は、あるの持っている銃の口を自分の心臓に向けた。
ある
でも......。

咲希
...引いてあげて、引き金を。

優樹
でもっ...!

咲希
私、紗友と一緒に過ごしてきて、こんなに本気になってるの初めて見たの。
いつもマイペースで面倒くさがりなのに。
それほど、紗友の決断が固いってことだと思う。

咲希
だから、私は、紗友の命を受け継ぐ覚悟ができてる。

ピッピッピッと一定のリズムを刻み続けている。
紗友
遺言なんて...。

紗友
遺言なんて、長々と残す時間が無い。
だから一言だけ。
生きて。
生きてこのゲームを...。
この“カラクリ”から脱出して。
それだけ。

ある
紗友の想い、受け取った。
短い間だったけどありがとう。
さよなら。

咲希
時間が無い、早く行こう。
