小学校3年生の夏休み──
由貴
虹雨(コウ)
由貴
冒険しよ!
天狗山の裏道に入っていく2人。
しかし──
ザァアアアアアアア!!
由貴
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
崖下に転げ落ちる2人
由貴
虹雨(コウ)
びしょ濡れになりながら、 這うように前進
由貴
屋根……ある……
2人、祠の中で横たわる
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
そもそもこの道に決めたの、お前やろ!
由貴
怪我しても口は達者か!
虹雨は何か頭に温かいものを感じる
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
ハンカチで止血する由貴
虹雨(コウ)
由貴
そのまま目眩がして横になる
2人、祠の中で寄り添いながら、 ただ静かに雨を聞く
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
由貴
静かに目を閉じる2人
由貴
この世、つまんなくなるな……
由貴
由貴
由貴
祈るように、命乞いをする由貴
???
声のする方を見る由貴。
由貴
天狗様
天狗様
天狗様
由貴の視界がぐにゃりと揺れる。 何かが流れ込むような感覚
由貴
そんなことを、言われたんだっけ……
由貴
僕だけじゃなくて、コウも。
それだけだったのに……
天狗の力が、2人の体に宿っていく
由貴
虹雨(コウ)
由貴
由貴
虹雨(コウ)
でも、代わりに──
虹雨(コウ)
由貴
由貴
虹雨(コウ)
由貴
由貴
由貴
虹雨(コウ)
怒鳴れば消える奴もいる。
由貴
由貴
虹雨(コウ)
そういうセットになってるのかもな、俺たち
由貴
虹雨(コウ)
由貴
実に無駄。東京で一人の時とかもう、無駄無駄の極み
虹雨(コウ)
由貴
お前みたいに祓えりゃ違ったのにな〜
虹雨(コウ)
なのにお前だけサクッと東京行っちまって
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
天狗様に命と力をもらった二人。
だが“進学”という現実の分岐点で、能力はバラバラに分断された。
幽霊が見えるだけの由貴。 祓えるが活かしきれないコウ。
そして30を越えた今、 ようやく――再会を果たす。
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
また始まった。
けれど、目が合った瞬間、2人はふっと笑ってしまう。
そう。こうして喧嘩して笑える日が、ようやく戻ってきた。
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
由貴
由貴の肩には、真っ赤なヒールを履いた“脚だけ”の女性の幽霊が座っていた。
妖艶さと不気味さが同居する、 得体の知れない霊。
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
続く