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──久しぶりに“部屋”らしい部屋に 戻った由貴。
ラーメン屋での連続除霊と撮影で体力も気力も限界だったが、
安心できる場所があるというだけで、心は少しホッとしていた。
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
虹雨が地団駄を踏んだ音が響いた。
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
さっきの除霊が よっぽどしんどかったのだろう。
虹雨の説教型除霊は 霊の数だけ喉が枯れる。
由貴
虹雨(コウ)
由貴
マンション自体は古い四階建て。
だが、室内はリフォームされており、 浴室も脱衣所もまるで新築のような 清潔感があった。
由貴
鏡をふと見る由貴
???
由貴
鏡の隣に、女が立っていた。
目を合わせてくるわけでもなく
ただ“居る”
由貴
女は動かない
由貴
由貴は諦めて、 そのまま全裸になり風呂場へ。
そして、浴室に足を入れたその瞬間──
由貴
浴室が、一瞬で真っ赤に染まった。
血のような液体が壁を伝い、床を覆い、天井まで広がっていく。
由貴
由貴
浴室のドアは、案の定ビクともしない。 鍵がかかってる……いや、違う。
すりガラス越しに“アレ”が立っていた。
由貴
女は動かない
由貴
ガラス越しに、口元がにやついているように見える。
由貴は霊に慣れている。 が、浴室一面が血のように真っ赤に染まっているのは、さすがにムリ
由貴
そのとき、浴室の中に“もうひとり”の気配が現れる
由貴
そこに立っていたのは、血まみれの男。
由貴と同じくらいの身長で、なぜか全裸。上半身しか見えない。 しかも──
由貴
混乱する由貴をよそに、男の口が開く。
血まみれの男
由貴
そこに、背後からさらに高音の絶叫が
女の霊
由貴
その瞬間……
虹雨(コウ)
由貴
女の影がスッと消え、 同時に叫び声が止まる。 血まみれの男はバタリと倒れ込んだ。
由貴
虹雨(コウ)
由貴
怒りながらドアを勢いよく開けると、 そこにはスマホを構える虹雨の姿。
虹雨(コウ)
由貴
倒れている血まみれの男。 よく見ると──「おじいちゃん」だった
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
虹雨はおじいちゃんの身体に手をあてる
血まみれの男
虹雨、息を深く吸い込んで──
虹雨(コウ)
声が浴室中に反響する。
次の瞬間、老人の霊は霧のようにすうっと消え、 浴室の赤は全て消え去っていた。
虹雨(コウ)
由貴
虹雨(コウ)
由貴
虹雨は脱衣所の棚から、 牛乳パックくらいの箱を手に取って、浴室のほうへ向ける。
由貴
虹雨(コウ)
由貴
塩──それは2人にとって、子供の頃から欠かせない除霊アイテムだった。
最初に教わったのは、地元の寺の坊さん。以来、ずっと食塩一択である。
虹雨(コウ)
由貴
由貴
湯船に体を沈めながら、由貴はぽつりとつぶやく。
虹雨(コウ)
由貴
由貴は慌てて浴槽から立ち上がり、 ボックスの塩を これでもかというほど浴槽にぶちまけた
由紀子は風呂から出た。脱衣カゴには服や下着が入っていてそれを着た。
由貴
虹雨(コウ)
由貴
由貴
虹雨(コウ)
由貴
由貴は詰め寄る。虹雨はめんどくさそうに腕を組む。
由貴
由貴
虹雨(コウ)
畳の上。そこには、小さな男の子が膝を抱えて座っていた。
目は合わない。 ただ、そこに“いる”。