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画面の向こうの彼女は

画面の向こうの彼女は

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画面の向こうの彼女は

♥

224

2018年08月29日

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Kaito(`・ω・´)

はじめましてー

♥☜みくり☞♥

はじめまして!

♥☜みくり☞♥

よろしくね(´˘`*)

Kaito(`・ω・´)

こちらこそよろしく!

俺はKaito。本名は木田海斗という。

彼女は「みくり」。このチャットアプリでたった今友達になったばかりだ。

Kaito(`・ω・´)

なんて呼べばいい?

♥☜みくり☞♥

みくりでいいよ(・ㅂ・)و

インストール初日なのに、もう友達ができるとは…

すげぇな、このアプリ。

Kaito(`・ω・´)

何歳なの?

♥☜みくり☞♥

中二だよー(๑>ᴗ<๑)

Kaito(`・ω・´)

おー!同じだ

♥☜みくり☞♥

やったー笑笑

Kaito(`・ω・´)

あ、ごめん風呂入んなきゃ…

Kaito(`・ω・´)

落ちるね

♥☜みくり☞♥

ばいばーいヾ(ω` )/

しかし可愛いな…

風呂から出たら母ちゃんからのお叱りをくらい、その日はさっさと寝ることにした。

♥☜みくり☞♥

(*・ω・)ノ"やほ!

Kaito(`・ω・´)

ん?どしたの

♥☜みくり☞♥

お話しよーかなーって笑

Kaito(`・ω・´)

おけ笑

ほんとにこのアプリすごいと思う。

♥☜みくり☞♥

ちょっと暗い話していー?

Kaito(`・ω・´)

え、なになに?笑

♥☜みくり☞♥

かいとくんはさー

♥☜みくり☞♥

いじめられてる子は嫌い?

Kaito(`・ω・´)

え、いや全然

みくりは学校でのいじめについて話してくれた。

♥☜みくり☞♥

話しかけても無視されて

♥☜みくり☞♥

何も無いみたいに机に座られて

Kaito(`・ω・´)

まじか…ひどいな

♥☜みくり☞♥

まあいつもの事なんだけどね笑

Kaito(`・ω・´)

嫌だって言えよ

♥☜みくり☞♥

言ってるんだけど、聞こえてないみたいに反応されるんだー

Kaito(`・ω・´)

俺でよければ相談乗るよ!

♥☜みくり☞♥

ありがとう。゚(゚இωஇ゚)゚。

こいつは俺が守らなきゃ…

って、何言ってんだ俺。

また叱られそうなので、布団に入った。

♥☜みくり☞♥

かいとくんごめんね(*´・人・*)

♥☜みくり☞♥

愚痴言ってもいい?

Kaito(`・ω・´)

全然いいよー!

♥☜みくり☞♥

あのね、私の部屋のもの全部お母さんに捨てられちゃったんだ笑

Kaito(`・ω・´)

は?どゆこと?

♥☜みくり☞♥

わかんない笑なんか帰ってきたらタンスとか持ち出してて、

♥☜みくり☞♥

何やってるのって聞いてもなんも答えてくんなかった笑

Kaito(`・ω・´)

ひどすぎね?

Kaito(`・ω・´)

普通子供にそんなことする?

♥☜みくり☞♥

うーん…うちが普通じゃなかったりして?笑

Kaito(`・ω・´)

みくりは悪くないだろ笑

♥☜みくり☞♥

かいとくん優しい(つω`*)

Kaito(`・ω・´)

笑笑

まさかみくりが虐待まで受けているとは…

まじでやばくないか、これ。

Kaito(`・ω・´)

俺まじで仲間だからね!

♥☜みくり☞♥

え、めっちゃ嬉しい笑

Kaito(`・ω・´)

初めてのネッ友だし笑

♥☜みくり☞♥

大事にしてね?笑

Kaito(`・ω・´)

もちろん笑笑

打ってから気づいたけど、これプロポーズみたいじゃないか?

今から恥ずかしくなってきた…

夜しか会話出来ないのがもどかしい。

いつも通りの時間に横になった。

数日間、みくりからの連絡はなかった。

チャットアプリなんてそんなものだろうと、自分から連絡はしなかった。

俺はそのあいだ、新しく出来た友達とチャットを楽しんでいた。

♥☜みくり☞♥

かいとくん

Kaito(`・ω・´)

おーみくり!なんか久しぶりじゃん笑

突然の連絡に、驚きつつもササッと返信を返す。

みくりの雰囲気がいつもより暗いことに、俺は気づいていなかった。

♥☜みくり☞♥

あのね、もう限界かなって

Kaito(`・ω・´)

え?

♥☜みくり☞♥

しんじゃおっかなって

Kaito(`・ω・´)

は??ダメだろそんなの…

♥☜みくり☞♥

でももう無理なの、無視されるのつらいよ

Kaito(`・ω・´)

俺がいるじゃん!

♥☜みくり☞♥

うん…かいとくん、ありがとう…

Kaito(`・ω・´)

よかった…

♥☜みくり☞♥

ごめんね、ほんとごめんね

Kaito(`・ω・´)

は、え?

♥☜みくり☞♥

このアカウント、消さないでいてくれる?

Kaito(`・ω・´)

ちょ、嘘だろ?冗談だよな?

♥☜みくり☞♥

ごめんね

♥☜みくり☞♥

お話してくれてありがとう

♥☜みくり☞♥

ばいばい

Kaito(`・ω・´)

え、みくり?

Kaito(`・ω・´)

みくりって

Kaito(`・ω・´)

おい返信しろよ?

Kaito(`・ω・´)

まさかほんとに…

Kaito(`・ω・´)

冗談だよな?

Kaito(`・ω・´)

みくり?

Kaito(`・ω・´)

みくり!?

その後も返信が来ることはなかった。

目の前で友達が息絶えたところを想像したときにはもう、足が震えていた。

その日はいつもより早く寝た。

返信が来ないことは知っていても、アカウントを残してほしいとみくりはいっていた。

トーク履歴もそのままにして放置し、数日がすぎた。

♥☜みくり☞♥

かいとくん…

Kaito(`・ω・´)

みくり!?

Kaito(`・ω・´)

よかった、生きてたんだな!!

Kaito(`・ω・´)

ほんとよかった…

♥☜みくり☞♥

心配かけてごめん(´・ω・`)

Kaito(`・ω・´)

心配どころじゃなかったぞ笑

Kaito(`・ω・´)

思いとどまってくれてほんと良かったわ…

♥☜みくり☞♥

そのことなんだけどね

♥☜みくり☞♥

ちゃんと飛んだの

Kaito(`・ω・´)

え?

♥☜みくり☞♥

ちゃんと、学校の屋上から飛んだんだよ

Kaito(`・ω・´)

は?

♥☜みくり☞♥

それなりに高さもあったし、地面に当たった感覚もあった

♥☜みくり☞♥

なのに今生きてるの

Kaito(`・ω・´)

…夢だったとか?笑

♥☜みくり☞♥

かいとくんほんと面白いよね笑

♥☜みくり☞♥

でも現実のはずなんだ

♥☜みくり☞♥

私が書いた遺書も、今あるの

♥☜みくり☞♥

なんで私生きてるんだろ…

Kaito(`・ω・´)

え、でも生きてるんだろ?

Kaito(`・ω・´)

また死のうなんて考えんじゃねぇぞ…

♥☜みくり☞♥

…それは、守れそうにないかな…

♥☜みくり☞♥

アカウントは残してほしいな笑

♥☜みくり☞♥

おやすみ´³`)ノ

Kaito(`・ω・´)

ほんとに死んじゃダメだからな…

Kaito(`・ω・´)

おやすみ

その日はいつもより寝つきが悪かった。

また数日連絡が途絶えた。

みくりのことは考えないようにしていた。

今頃、みくりは生きているのだろうか。

そんなことを考えただけですうっと冷たいものが背中を駆け抜けた。

♥☜みくり☞♥

かいとくん

Kaito(`・ω・´)

みくり!!

Kaito(`・ω・´)

もう俺に心配かけんなってまじで…

♥☜みくり☞♥

ごめんね

♥☜みくり☞♥

また、愚痴言ってもいい?

Kaito(`・ω・´)

もちろん!!

みくりが生きていた。チャットしてくれた。

そのことだけで、俺は満足だった。

♥☜みくり☞♥

あのね

♥☜みくり☞♥

Kaito(`・ω・´)

うん

♥☜みくり☞♥

引かないでほしいんだけど…

Kaito(`・ω・´)

引くわけないじゃん笑

♥☜みくり☞♥

よかった笑

♥☜みくり☞♥

あのね、私

♥☜みくり☞♥

生きてなかったの

♥☜みくり☞♥

死んでたの

Kaito(`・ω・´)

…そういうこと言うもんじゃないだろ

♥☜みくり☞♥

ほんとなんだよ…

♥☜みくり☞♥

無視されてたのは見えなかったから

♥☜みくり☞♥

死ねなかったのは死んでたから

Kaito(`・ω・´)

ありえないって…

Kaito(`・ω・´)

死んでたとしたら、なんでチャットできるんだよ笑

♥☜みくり☞♥

きっと因縁とかそういうものだと思うんだ

♥☜みくり☞♥

とにかく、私…辻村美久里は死んでる

Kaito(`・ω・´)

嘘だろ…

Kaito(`・ω・´)

お前、辻村…?

♥☜みくり☞♥

え?

Kaito(`・ω・´)

辻村美久里って…小五の夏休み明けから学校に来なくなった…

♥☜みくり☞♥

…なんで、知ってるの…

Kaito(`・ω・´)

…木田海斗って、知らない?

♥☜みくり☞♥

木田くん、なの…?

Kaito(`・ω・´)

うん

♥☜みくり☞♥

そっかぁ…

♥☜みくり☞♥

木田くんだったんだね

♥☜みくり☞♥

やっぱり私死んでるんだよね、きっと

Kaito(`・ω・´)

違うよ

♥☜みくり☞♥

え?

Kaito(`・ω・´)

辻村美久里は夏休みの旅行で事故にあって、

Kaito(`・ω・´)

今植物状態だって聞いたことある

Kaito(`・ω・´)

だから

Kaito(`・ω・´)

お前は生きてるよ。

Kaito(`・ω・´)

きっとな。

♥☜みくり☞♥

木田くん…

♥☜みくり☞♥

木田くん、ありがとう…

♥☜みくり☞♥

ありがとう、私戻らなきゃ

Kaito(`・ω・´)

え、どこにだよ?

♥☜みくり☞♥

本体に決まってるじゃん!笑

♥☜みくり☞♥

やっと…自分のことを思い出せたからね

Kaito(`・ω・´)

目が覚めたら、また話せる?

♥☜みくり☞♥

もちろんだよ笑

Kaito(`・ω・´)

よかった笑

♥☜みくり☞♥

じゃあ、また明日ね

Kaito(`・ω・´)

うん、きっと

♥☜みくり☞♥

おやすみ、

♥☜みくり☞♥

かいとくん。

小学校の頃同級生だった辻村美久里が目を覚ましたというのは、クラスの女子から聞いた。

そういう情報はどこから来ているのか。

俺はその日に「みくり」に会いに行くことにした。

女子のお見舞いなんて初めてだ。

そもそも入院するやつも珍しかった。

加えてここはかなり大きい病院だ。

つまり俺は緊張している。

Kaito(`・ω・´)

失礼します…

♥☜みくり☞♥

…木田、くん?

Kaito(`・ω・´)

目が覚めたら話そうって言ったろ?

♥☜みくり☞♥

でもまさか会いに来てくれるなんてさ…

Kaito(`・ω・´)

だって、友達との再会だぞ?

Kaito(`・ω・´)

直接じゃなきゃかっこわるいじゃん笑

♥☜みくり☞♥

ほんと、かいとくんって変わんないんだね…

そのとき見せた彼女の笑顔は、

ひまわりのように明るく、

ばらのように繊細で、

俺と同じく涙が光っていた。

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