ゴミみたいな元彼が自殺したらしい。

その手紙を見つけたのは 何の変哲もないありふれた朝だった

結婚して、大和と同じ屋根の下で過ごした初めての夜が明けた朝。

朝日に照らされていつもより光って見えたポストの中に その手紙は落ちていた

結婚おめでとう 蒼

名前を確認した時の私の顔色は きっと真青だったに違いない。

でも、きっと誰だって私と同じ状況になれば、 顔色は真っ青になるに決まってる

蒼は3年前の夏 自殺したのだから。

3年前の夏、 私たちは大学になって2度目の夏休みを迎えていた

こんなくだらない会話が 当時はどうしようもなく愛おしかった

当時の私は蒼の事がどうしようもなく 好きだった。

私は蒼の彼女であることを 誇らしく思っていた。

余韻に浸っている私に 容赦なくその知らせが届く

ピコン！ 携帯の画面が一瞬明るくなり 直ぐに元通り暗くなる。

「大和」 メッセージの差し出しは 蒼の友達の大和だった

そう言って大和が送ってきた画像は 蒼と顔の知らない女性が ホテルから出てくる姿だった

携帯にひとつぶの水滴が落ちた。 それを確認すると同時に ポタポタと 止まらなくなった。

私は震える手で文字を打つ

視界が歪んでいく。 悲しみ、怒り、 色々な感情の渦が私の中で暴れている

部屋には私の嗚咽が響き渡る

何度耳を塞いでも 最後に蒼が呟いた言葉が離れない

頭の中で響いている

「飽きた笑 アデュー！！笑」 そう言い残すと彼との電話が切れた。

私はさっきの手紙を大和渡す。 蒼は、私との浮気がもう1人の女にもバレたらしく、 振られ、更にSNSなどにも拡散され 家で首を括って死んでいた。

大和の顔が怖ばっていく。

もう、いいんだ。 全て伝えても

余命１ヶ月。 3年前の夏、 蒼の残りの寿命は１ヶ月だった。

蒼は俺に相談してきた。

彼女と別れたい。

彼女といたら、生きたくなる。

彼女がいなければ死んでもいいと思える

でも、玲奈がいたら生きたくて仕方がない

だから、 俺の身勝手な行動だが別れたい

そして、蒼は俺に1枚の画像を送ってきた

それが玲奈に送った浮気の画像だ。

そして、玲奈と別れたあと 蒼は病気で息を引き取った。

だが、賢い玲奈の事だ、 病死だと知れば勘づかれるかもしれない

だから、蒼は自殺したと玲奈には伝えろとみんなに伝えた

そして、最後に 玲奈が結婚したらこの手紙を、と 「結婚おめでとう」 と書いた紙を俺に託した

目の前の大和は私と目を合わせようとしない。

きっと、目を合わせてしまうと泣いてしまうのだろう

でも、

でも、そんなこと急に言われても どう反応したらいいのか分からない。

ただ、1つ行きたい場所が出来た

やっと大和が目を合わせてくれた。 やはりその目は泣いていた。

それに釣られるように 気がつけば私も･･･

お墓の前で私たちは さっきお供えした花を 見つめながら話をする。

アデューの意味 何気なく今朝、 玲奈がネットで検索した。

そこにはこう書かれていた。

アデュー さよならの意味をもつ。 また、

長い別れを告げる時に使う

結婚おめでとう！

風に乗り蒼の声が聞こえた気がした

読んで頂きありがとうございます

ぜひ、コメント、ハート、フォローお願いします！